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ある朝スウプは [監督 : 高橋泉]

2006-11-11 09:55:37 | 映評 2006~2008
蓼科高原映画祭で観賞。1Kのアパートで同棲するカップルの姿をビデオカメラで追いかける。スタッフとしてクレジットされるのは数名だけ、しかもメインキャストもスタッフとしてクレジットされているから、多分出番がないときマイク持ったり、記録とったりしてたんだろう。よく映画に出てくる自主映画の撮影シーンってスタッフが大勢いて、キャスト用の椅子があって出待ちのキャストにコーヒー持ってくるスタッフがいたり、バカ長い竿につけたフサフサ付きのマイクとか、足場くんでライト照らしてたりとか、照度計つかってたり・・・ボクにはそういう光景がほとんどSFかファンタジーのように見えたものだ。それに比べ、どう考えても照明スタッフも下手したら音響スタッフもいそうにない現場が容易に想像できる「ある朝スウプは」の方がずっと親近感が持てる。
六畳くらいの部屋とキッチンしかないアパートだから、自然と俳優のアクティングスペースも固定されるから、カメラは1台は固定でよし。あと1台は監督が持って、押し入れに入って・・・
暗く、窮屈な空間ができあがるが、結果それがカップルの濃密な激闘を盛り上げる。

物語は、パニック障害で引きこもり気味の彼氏と、しっかりものの彼女の同棲生活。彼氏が新興宗教に走ってしまい、彼女はなんとかして彼氏を立ち直らせようとする。彼氏は彼女がバイトに出かけた隙に新興宗教の信者を部屋に呼んだりし、隙を見て金を持ち出して宗教の「セミナー」に行こうとする。彼女は金や通帳を常に管理し、彼が立ち直るまで、全ての面倒を自分が見ようとする。そんな激闘の記録が1Kのアパートでの2人の会話のみ(でもないけど)で繰り広げられていく
まるで2人とって世界は1Kのアパートが全てであるかのような世界。自分の内部に閉じこもろうとする彼氏と、そこから引きずり出そうとするも社会ではなく2人だけの世界に戻そうとする彼女。彼女も何やらいかがわしい空き地調査のバイトとかやっているし、社会の一員であるという自覚が2人とも薄く、それゆえ2人だけの世界でもがきどんずまりになっていく。
カメラが1Kのアパートを出ないからといって、観客にはそのアパートの住人になることを許さない。傍観者の視点を貫いている(その点が小津っぽいといえばそんな気もする)。そして絶望を通り越した諦めのラストも戦い終わった空しさが漂ってるみたいで印象深い。
低予算ならではの濃厚なドラマをたっぷり堪能し、自主でも面白い映画は作れるじゃないかと目が覚めるような思いを味わったのであった。

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