文明のターンテーブルThe Turntable of Civilization

日本の時間、世界の時間。
The time of Japan, the time of the world

聞こえはいいが、ちょっと思考をはたらかせれば何の意味もない言葉だけを頼りにして、日本政治にかんする自分たちの判断を組み立てているという事実である

2019年06月26日 22時53分57秒 | 全般

以下は前章の続きである。
マスコミを幾重にもおおう紋切型の文体 
たとえば、ある酒場でマスコミ関係者四人ばかりに誘われて酒席を同じくしたことがある。
マスコミ関係者A
「西部さん、私たち社会党支持です。社会党政権の誕生を望んでいます」

「それは結構ですが、どういう理由で社会党を支持なさるんですか」


「西部さんも昔左翼をやっていたから知っているでしょうが、今のソ連を見てもわかるように一党独裁はいけませんよ、一党独裁は!」

「それはよくないですが、ソ連の場合は共産党以外の存在を許さず、国民にも投票させないというかたちでの一党独裁ですし、自民党の場合は国民が投票した結果の長期安定政権です。ちょっと違うんじやないかな、というより全然違うんじゃないかな。'自民党の一党支配打倒'と叫ぶことは、'国民打倒'と叫ぶのと同じことになりますよ」

「そんなこといったって、単独はよくないよ、単独は」

「たしかに単独はいいとはいえませんね。ところで皆さんにはお子さんがおられるでしょう。子供が単独の友人しかもっていないと、人格上の歪みも出るかもしれないから、複数の友人をもってほしいと思う親の気持ちはよくわかります。しかし息子の二番めの友達がスリとかカッパライだとしたら、複数だからいい、とはいえませんでしょう。社会党はいい政党だということを積極的にいわずに、単独反対だけではちょっと弱い議論ですよ」

「ともかく初体験はいいもんなんです。社会党政権を初体験として迎えようじやありませんか」

「……ところで皆さん、オカマをほられたことがありますか。私もありませんがね。この店を一歩出るとオカマバーがたくさんあります。でも僕は初体験をしにいこうとは思わないなあ」 
こんな酒場の会話それ自体はどうでもいいことであるが、ここで指摘したいのは、一流のジャーナリストと目されている人々が、一党独裁反対、単独政権反対、初体験歓迎といった種類の、聞こえはいいが、ちょっと思考をはたらかせれば何の意味もない言葉だけを頼りにして、日本政治にかんする自分たちの判断を組み立てているという事実である。 
これらの言葉を紋切型の文体というのなら、紋切型は少なくないどころではない。
マスコミを幾重にもおおっているのがこの種の紋切型文体なのである。 
いつぞやある大学で助手が学部長を惨殺するという事件があったとき、各紙の見出しに「衝撃、キャンパスを走る」とあった。
ちょうど夏休みの時期であった。
大学の教師であったことのある私は、夏休みのキャンパスがいかに閑散としているかをよく知っている。
あの静かなキャンパスのなかを、いかにすれば「衝撃が走る」のか、私には想像がつかない。
さらにいうと、紋切型も文法的に正しく表現されていればまだ救いはあるのだが、ときとして間違った紋切型すらみられる。
これはかなり前の話だが、ある新聞に「埼玉県議会、みだらな決定」という見出しが載った。
私は埼玉県議会がポルノの解禁でも決議したのかと本文を読んでみると、本文にも「みだらな決定」と表現されている。
ところが内容は「みだりな決定」ということなのだ。
つまり昨日決めたことを今日覆し、また明日には逆の決定を下そうとしているというふうに決定が二転三転にしたことにかんする報道なのだ。
「みだり」と「みだら」の区別すらできないような新聞記者もいるのである。 
もう一つ。つい最近、リクルート裁判がはじまったとき、ある被告の大きな写真が掲載されており、その下に「不安気な、緊張した顔」というキャプションがついている。
しかしその写真の人物は恰幅よく傲然とあごを上げていて、どうみても不安気ではないし、緊張している様子でもない。 
要するに、裁判所に入る被告の顔は不安気で緊張していなければならない、という紋切型が繰り返されてるだけのことなのだ。
またそうしたキャプションをつけることによって、その被告は自分の罪に脅えているということをほのめかし、かくして犯罪は実在するという予断を読者に与えようとしているのである。
次に、もう少し具体的な論点にふれてみよう。
この項続く。

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大学の教師であったことのある私は、夏休みのキャンパスがいかに閑散としているかをよく知っている。あの静かなキャンパスのなかを、いかにすれば「衝撃が走る」のか、私には想像がつかない

2019年06月26日 22時50分45秒 | 全般

以下は前章の続きである。
マスコミを幾重にもおおう紋切型の文体 
たとえば、ある酒場でマスコミ関係者四人ばかりに誘われて酒席を同じくしたことがある。
マスコミ関係者A
「西部さん、私たち社会党支持です。社会党政権の誕生を望んでいます」

「それは結構ですが、どういう理由で社会党を支持なさるんですか」


「西部さんも昔左翼をやっていたから知っているでしょうが、今のソ連を見てもわかるように一党独裁はいけませんよ、一党独裁は!」

「それはよくないですが、ソ連の場合は共産党以外の存在を許さず、国民にも投票させないというかたちでの一党独裁ですし、自民党の場合は国民が投票した結果の長期安定政権です。ちょっと違うんじやないかな、というより全然違うんじゃないかな。'自民党の一党支配打倒'と叫ぶことは、'国民打倒'と叫ぶのと同じことになりますよ」

「そんなこといったって、単独はよくないよ、単独は」

「たしかに単独はいいとはいえませんね。ところで皆さんにはお子さんがおられるでしょう。子供が単独の友人しかもっていないと、人格上の歪みも出るかもしれないから、複数の友人をもってほしいと思う親の気持ちはよくわかります。しかし息子の二番めの友達がスリとかカッパライだとしたら、複数だからいい、とはいえませんでしょう。社会党はいい政党だということを積極的にいわずに、単独反対だけではちょっと弱い議論ですよ」

「ともかく初体験はいいもんなんです。社会党政権を初体験として迎えようじやありませんか」

「……ところで皆さん、オカマをほられたことがありますか。私もありませんがね。この店を一歩出るとオカマバーがたくさんあります。でも僕は初体験をしにいこうとは思わないなあ」 
こんな酒場の会話それ自体はどうでもいいことであるが、ここで指摘したいのは、一流のジャーナリストと目されている人々が、一党独裁反対、単独政権反対、初体験歓迎といった種類の、聞こえはいいが、ちょっと思考をはたらかせれば何の意味もない言葉だけを頼りにして、日本政治にかんする自分たちの判断を組み立てているという事実である。 
これらの言葉を紋切型の文体というのなら、紋切型は少なくないどころではない。
マスコミを幾重にもおおっているのがこの種の紋切型文体なのである。 
いつぞやある大学で助手が学部長を惨殺するという事件があったとき、各紙の見出しに「衝撃、キャンパスを走る」とあった。
ちょうど夏休みの時期であった。
大学の教師であったことのある私は、夏休みのキャンパスがいかに閑散としているかをよく知っている。
あの静かなキャンパスのなかを、いかにすれば「衝撃が走る」のか、私には想像がつかない。
さらにいうと、紋切型も文法的に正しく表現されていればまだ救いはあるのだが、ときとして間違った紋切型すらみられる。
これはかなり前の話だが、ある新聞に「埼玉県議会、みだらな決定」という見出しが載った。
私は埼玉県議会がポルノの解禁でも決議したのかと本文を読んでみると、本文にも「みだらな決定」と表現されている。
ところが内容は「みだりな決定」ということなのだ。
つまり昨日決めたことを今日覆し、また明日には逆の決定を下そうとしているというふうに決定が二転三転にしたことにかんする報道なのだ。
「みだり」と「みだら」の区別すらできないような新聞記者もいるのである。 
もう一つ。つい最近、リクルート裁判がはじまったとき、ある被告の大きな写真が掲載されており、その下に「不安気な、緊張した顔」というキャプションがついている。
しかしその写真の人物は恰幅よく傲然とあごを上げていて、どうみても不安気ではないし、緊張している様子でもない。 
要するに、裁判所に入る被告の顔は不安気で緊張していなければならない、という紋切型が繰り返されてるだけのことなのだ。
またそうしたキャプションをつけることによって、その被告は自分の罪に脅えているということをほのめかし、かくして犯罪は実在するという予断を読者に与えようとしているのである。
次に、もう少し具体的な論点にふれてみよう。
この項続く。

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……ところで皆さん、オカマをほられたことがありますか。私もありませんがね。この店を一歩出るとオカマバーがたくさんあります。でも僕は初体験をしにいこうとは思わないなあ

2019年06月26日 22時49分15秒 | 全般

以下は前章の続きである。
マスコミを幾重にもおおう紋切型の文体 
たとえば、ある酒場でマスコミ関係者四人ばかりに誘われて酒席を同じくしたことがある。
マスコミ関係者A
「西部さん、私たち社会党支持です。社会党政権の誕生を望んでいます」

「それは結構ですが、どういう理由で社会党を支持なさるんですか」


「西部さんも昔左翼をやっていたから知っているでしょうが、今のソ連を見てもわかるように一党独裁はいけませんよ、一党独裁は!」

「それはよくないですが、ソ連の場合は共産党以外の存在を許さず、国民にも投票させないというかたちでの一党独裁ですし、自民党の場合は国民が投票した結果の長期安定政権です。ちょっと違うんじやないかな、というより全然違うんじゃないかな。'自民党の一党支配打倒'と叫ぶことは、'国民打倒'と叫ぶのと同じことになりますよ」

「そんなこといったって、単独はよくないよ、単独は」

「たしかに単独はいいとはいえませんね。ところで皆さんにはお子さんがおられるでしょう。子供が単独の友人しかもっていないと、人格上の歪みも出るかもしれないから、複数の友人をもってほしいと思う親の気持ちはよくわかります。しかし息子の二番めの友達がスリとかカッパライだとしたら、複数だからいい、とはいえませんでしょう。社会党はいい政党だということを積極的にいわずに、単独反対だけではちょっと弱い議論ですよ」

「ともかく初体験はいいもんなんです。社会党政権を初体験として迎えようじやありませんか」

「……ところで皆さん、オカマをほられたことがありますか。私もありませんがね。この店を一歩出るとオカマバーがたくさんあります。でも僕は初体験をしにいこうとは思わないなあ」 
こんな酒場の会話それ自体はどうでもいいことであるが、ここで指摘したいのは、一流のジャーナリストと目されている人々が、一党独裁反対、単独政権反対、初体験歓迎といった種類の、聞こえはいいが、ちょっと思考をはたらかせれば何の意味もない言葉だけを頼りにして、日本政治にかんする自分たちの判断を組み立てているという事実である。 
これらの言葉を紋切型の文体というのなら、紋切型は少なくないどころではない。
マスコミを幾重にもおおっているのがこの種の紋切型文体なのである。 
いつぞやある大学で助手が学部長を惨殺するという事件があったとき、各紙の見出しに「衝撃、キャンパスを走る」とあった。
ちょうど夏休みの時期であった。
大学の教師であったことのある私は、夏休みのキャンパスがいかに閑散としているかをよく知っている。
あの静かなキャンパスのなかを、いかにすれば「衝撃が走る」のか、私には想像がつかない。
さらにいうと、紋切型も文法的に正しく表現されていればまだ救いはあるのだが、ときとして間違った紋切型すらみられる。
これはかなり前の話だが、ある新聞に「埼玉県議会、みだらな決定」という見出しが載った。
私は埼玉県議会がポルノの解禁でも決議したのかと本文を読んでみると、本文にも「みだらな決定」と表現されている。
ところが内容は「みだりな決定」ということなのだ。
つまり昨日決めたことを今日覆し、また明日には逆の決定を下そうとしているというふうに決定が二転三転にしたことにかんする報道なのだ。
「みだり」と「みだら」の区別すらできないような新聞記者もいるのである。 
もう一つ。つい最近、リクルート裁判がはじまったとき、ある被告の大きな写真が掲載されており、その下に「不安気な、緊張した顔」というキャプションがついている。
しかしその写真の人物は恰幅よく傲然とあごを上げていて、どうみても不安気ではないし、緊張している様子でもない。 
要するに、裁判所に入る被告の顔は不安気で緊張していなければならない、という紋切型が繰り返されてるだけのことなのだ。
またそうしたキャプションをつけることによって、その被告は自分の罪に脅えているということをほのめかし、かくして犯罪は実在するという予断を読者に与えようとしているのである。
次に、もう少し具体的な論点にふれてみよう。
この項続く。

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子供が単独の友人しかもっていないと、人格上の歪みも出るかもしれないから、複数の友人をもってほしいと思う親の気持ちはよくわかります。しかし息子の二番めの友達がスリとかカッパライだとしたら、

2019年06月26日 22時47分23秒 | 全般

以下は前章の続きである。
マスコミを幾重にもおおう紋切型の文体 
たとえば、ある酒場でマスコミ関係者四人ばかりに誘われて酒席を同じくしたことがある。
マスコミ関係者A
「西部さん、私たち社会党支持です。社会党政権の誕生を望んでいます」

「それは結構ですが、どういう理由で社会党を支持なさるんですか」


「西部さんも昔左翼をやっていたから知っているでしょうが、今のソ連を見てもわかるように一党独裁はいけませんよ、一党独裁は!」

「それはよくないですが、ソ連の場合は共産党以外の存在を許さず、国民にも投票させないというかたちでの一党独裁ですし、自民党の場合は国民が投票した結果の長期安定政権です。ちょっと違うんじやないかな、というより全然違うんじゃないかな。'自民党の一党支配打倒'と叫ぶことは、'国民打倒'と叫ぶのと同じことになりますよ」

「そんなこといったって、単独はよくないよ、単独は」

「たしかに単独はいいとはいえませんね。ところで皆さんにはお子さんがおられるでしょう。子供が単独の友人しかもっていないと、人格上の歪みも出るかもしれないから、複数の友人をもってほしいと思う親の気持ちはよくわかります。しかし息子の二番めの友達がスリとかカッパライだとしたら、複数だからいい、とはいえませんでしょう。社会党はいい政党だということを積極的にいわずに、単独反対だけではちょっと弱い議論ですよ」

「ともかく初体験はいいもんなんです。社会党政権を初体験として迎えようじやありませんか」

「……ところで皆さん、オカマをほられたことがありますか。私もありませんがね。この店を一歩出るとオカマバーがたくさんあります。でも僕は初体験をしにいこうとは思わないなあ」 
こんな酒場の会話それ自体はどうでもいいことであるが、ここで指摘したいのは、一流のジャーナリストと目されている人々が、一党独裁反対、単独政権反対、初体験歓迎といった種類の、聞こえはいいが、ちょっと思考をはたらかせれば何の意味もない言葉だけを頼りにして、日本政治にかんする自分たちの判断を組み立てているという事実である。 
これらの言葉を紋切型の文体というのなら、紋切型は少なくないどころではない。
マスコミを幾重にもおおっているのがこの種の紋切型文体なのである。 
いつぞやある大学で助手が学部長を惨殺するという事件があったとき、各紙の見出しに「衝撃、キャンパスを走る」とあった。
ちょうど夏休みの時期であった。
大学の教師であったことのある私は、夏休みのキャンパスがいかに閑散としているかをよく知っている。
あの静かなキャンパスのなかを、いかにすれば「衝撃が走る」のか、私には想像がつかない。
さらにいうと、紋切型も文法的に正しく表現されていればまだ救いはあるのだが、ときとして間違った紋切型すらみられる。
これはかなり前の話だが、ある新聞に「埼玉県議会、みだらな決定」という見出しが載った。
私は埼玉県議会がポルノの解禁でも決議したのかと本文を読んでみると、本文にも「みだらな決定」と表現されている。
ところが内容は「みだりな決定」ということなのだ。
つまり昨日決めたことを今日覆し、また明日には逆の決定を下そうとしているというふうに決定が二転三転にしたことにかんする報道なのだ。
「みだり」と「みだら」の区別すらできないような新聞記者もいるのである。 
もう一つ。つい最近、リクルート裁判がはじまったとき、ある被告の大きな写真が掲載されており、その下に「不安気な、緊張した顔」というキャプションがついている。
しかしその写真の人物は恰幅よく傲然とあごを上げていて、どうみても不安気ではないし、緊張している様子でもない。 
要するに、裁判所に入る被告の顔は不安気で緊張していなければならない、という紋切型が繰り返されてるだけのことなのだ。
またそうしたキャプションをつけることによって、その被告は自分の罪に脅えているということをほのめかし、かくして犯罪は実在するという予断を読者に与えようとしているのである。
次に、もう少し具体的な論点にふれてみよう。
この項続く。

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自民党の場合は国民が投票した結果の長期安定政権です.ちょっと違うんじやないかな、というより全然違うんじゃないかな。'自民党の一党支配打倒'と叫ぶことは、'国民打倒'と叫ぶのと同じことになりますよ

2019年06月26日 22時45分20秒 | 全般

以下は前章の続きである。
マスコミを幾重にもおおう紋切型の文体 
たとえば、ある酒場でマスコミ関係者四人ばかりに誘われて酒席を同じくしたことがある。
マスコミ関係者A
「西部さん、私たち社会党支持です。社会党政権の誕生を望んでいます」

「それは結構ですが、どういう理由で社会党を支持なさるんですか」


「西部さんも昔左翼をやっていたから知っているでしょうが、今のソ連を見てもわかるように一党独裁はいけませんよ、一党独裁は!」

「それはよくないですが、ソ連の場合は共産党以外の存在を許さず、国民にも投票させないというかたちでの一党独裁ですし、自民党の場合は国民が投票した結果の長期安定政権です。ちょっと違うんじやないかな、というより全然違うんじゃないかな。'自民党の一党支配打倒'と叫ぶことは、'国民打倒'と叫ぶのと同じことになりますよ」

「そんなこといったって、単独はよくないよ、単独は」

「たしかに単独はいいとはいえませんね。ところで皆さんにはお子さんがおられるでしょう。子供が単独の友人しかもっていないと、人格上の歪みも出るかもしれないから、複数の友人をもってほしいと思う親の気持ちはよくわかります。しかし息子の二番めの友達がスリとかカッパライだとしたら、複数だからいい、とはいえませんでしょう。社会党はいい政党だということを積極的にいわずに、単独反対だけではちょっと弱い議論ですよ」

「ともかく初体験はいいもんなんです。社会党政権を初体験として迎えようじやありませんか」

「……ところで皆さん、オカマをほられたことがありますか。私もありませんがね。この店を一歩出るとオカマバーがたくさんあります。でも僕は初体験をしにいこうとは思わないなあ」 
こんな酒場の会話それ自体はどうでもいいことであるが、ここで指摘したいのは、一流のジャーナリストと目されている人々が、一党独裁反対、単独政権反対、初体験歓迎といった種類の、聞こえはいいが、ちょっと思考をはたらかせれば何の意味もない言葉だけを頼りにして、日本政治にかんする自分たちの判断を組み立てているという事実である。 
これらの言葉を紋切型の文体というのなら、紋切型は少なくないどころではない。
マスコミを幾重にもおおっているのがこの種の紋切型文体なのである。 
いつぞやある大学で助手が学部長を惨殺するという事件があったとき、各紙の見出しに「衝撃、キャンパスを走る」とあった。
ちょうど夏休みの時期であった。
大学の教師であったことのある私は、夏休みのキャンパスがいかに閑散としているかをよく知っている。
あの静かなキャンパスのなかを、いかにすれば「衝撃が走る」のか、私には想像がつかない。
さらにいうと、紋切型も文法的に正しく表現されていればまだ救いはあるのだが、ときとして間違った紋切型すらみられる。
これはかなり前の話だが、ある新聞に「埼玉県議会、みだらな決定」という見出しが載った。
私は埼玉県議会がポルノの解禁でも決議したのかと本文を読んでみると、本文にも「みだらな決定」と表現されている。
ところが内容は「みだりな決定」ということなのだ。
つまり昨日決めたことを今日覆し、また明日には逆の決定を下そうとしているというふうに決定が二転三転にしたことにかんする報道なのだ。
「みだり」と「みだら」の区別すらできないような新聞記者もいるのである。 
もう一つ。つい最近、リクルート裁判がはじまったとき、ある被告の大きな写真が掲載されており、その下に「不安気な、緊張した顔」というキャプションがついている。
しかしその写真の人物は恰幅よく傲然とあごを上げていて、どうみても不安気ではないし、緊張している様子でもない。 
要するに、裁判所に入る被告の顔は不安気で緊張していなければならない、という紋切型が繰り返されてるだけのことなのだ。
またそうしたキャプションをつけることによって、その被告は自分の罪に脅えているということをほのめかし、かくして犯罪は実在するという予断を読者に与えようとしているのである。
次に、もう少し具体的な論点にふれてみよう。
この項続く。

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マスコミ関係者A 「西部さん、私たち社会党支持です。社会党政権の誕生を望んでいます」 私 「それは結構ですが、どういう理由で社会党を支持なさるんですか」

2019年06月26日 22時43分15秒 | 全般

以下は前章の続きである。
マスコミを幾重にもおおう紋切型の文体 
たとえば、ある酒場でマスコミ関係者四人ばかりに誘われて酒席を同じくしたことがある。
マスコミ関係者A
「西部さん、私たち社会党支持です。社会党政権の誕生を望んでいます」

「それは結構ですが、どういう理由で社会党を支持なさるんですか」


「西部さんも昔左翼をやっていたから知っているでしょうが、今のソ連を見てもわかるように一党独裁はいけませんよ、一党独裁は!」

「それはよくないですが、ソ連の場合は共産党以外の存在を許さず、国民にも投票させないというかたちでの一党独裁ですし、自民党の場合は国民が投票した結果の長期安定政権です。ちょっと違うんじやないかな、というより全然違うんじゃないかな。'自民党の一党支配打倒'と叫ぶことは、'国民打倒'と叫ぶのと同じことになりますよ」

「そんなこといったって、単独はよくないよ、単独は」

「たしかに単独はいいとはいえませんね。ところで皆さんにはお子さんがおられるでしょう。子供が単独の友人しかもっていないと、人格上の歪みも出るかもしれないから、複数の友人をもってほしいと思う親の気持ちはよくわかります。しかし息子の二番めの友達がスリとかカッパライだとしたら、複数だからいい、とはいえませんでしょう。社会党はいい政党だということを積極的にいわずに、単独反対だけではちょっと弱い議論ですよ」

「ともかく初体験はいいもんなんです。社会党政権を初体験として迎えようじやありませんか」

「……ところで皆さん、オカマをほられたことがありますか。私もありませんがね。この店を一歩出るとオカマバーがたくさんあります。でも僕は初体験をしにいこうとは思わないなあ」 
こんな酒場の会話それ自体はどうでもいいことであるが、ここで指摘したいのは、一流のジャーナリストと目されている人々が、一党独裁反対、単独政権反対、初体験歓迎といった種類の、聞こえはいいが、ちょっと思考をはたらかせれば何の意味もない言葉だけを頼りにして、日本政治にかんする自分たちの判断を組み立てているという事実である。 
これらの言葉を紋切型の文体というのなら、紋切型は少なくないどころではない。
マスコミを幾重にもおおっているのがこの種の紋切型文体なのである。 
いつぞやある大学で助手が学部長を惨殺するという事件があったとき、各紙の見出しに「衝撃、キャンパスを走る」とあった。
ちょうど夏休みの時期であった。
大学の教師であったことのある私は、夏休みのキャンパスがいかに閑散としているかをよく知っている。
あの静かなキャンパスのなかを、いかにすれば「衝撃が走る」のか、私には想像がつかない。
さらにいうと、紋切型も文法的に正しく表現されていればまだ救いはあるのだが、ときとして間違った紋切型すらみられる。
これはかなり前の話だが、ある新聞に「埼玉県議会、みだらな決定」という見出しが載った。
私は埼玉県議会がポルノの解禁でも決議したのかと本文を読んでみると、本文にも「みだらな決定」と表現されている。
ところが内容は「みだりな決定」ということなのだ。
つまり昨日決めたことを今日覆し、また明日には逆の決定を下そうとしているというふうに決定が二転三転にしたことにかんする報道なのだ。
「みだり」と「みだら」の区別すらできないような新聞記者もいるのである。 
もう一つ。つい最近、リクルート裁判がはじまったとき、ある被告の大きな写真が掲載されており、その下に「不安気な、緊張した顔」というキャプションがついている。
しかしその写真の人物は恰幅よく傲然とあごを上げていて、どうみても不安気ではないし、緊張している様子でもない。 
要するに、裁判所に入る被告の顔は不安気で緊張していなければならない、という紋切型が繰り返されてるだけのことなのだ。
またそうしたキャプションをつけることによって、その被告は自分の罪に脅えているということをほのめかし、かくして犯罪は実在するという予断を読者に与えようとしているのである。
次に、もう少し具体的な論点にふれてみよう。
この項続く。

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以下はアメーバでの昨日の検索数ベスト50である。

2019年06月26日 22時38分16秒 | 全般

1

合計して8億ドルである。この金額は当時のものであるので、貨幣価値を今の時代に換算してみる。

 

2

TBSが反日的報道をする理由を知っていますか?

 

3

国民に対して説明責任のあるA級戦犯記者どもは以下の3名。①読売新聞 越前谷知子

 

4

立川断層の調査では埋まっていたコンクリート電柱を断層と見間違えて、東京に巨大地震が来ると騒いだ男

 

5

彼は実態は北朝鮮の工作員であると言っても全く過言ではない人間である。

 

6

NHK、TBS、テレビ朝日、朝日新聞などの偏向報道が何故あれほど酷くて執拗なのかを完璧に明らかに

 

7

さらに、日本は戦前韓国に残した資産を放棄している。これはインドが英国から独立したとき、イギリス人

 

8

韓国人に歴史の真実という「パンドラの箱」を開けさせないのである。だから韓国人は歴史の真実を知らな

 

9

韓国に対し現在の貸付金残高が国家として貸し出し中の67兆5800億円(本来、1982年に完済予定

 

10

重信房子支援者が勤務していた高槻市の光愛病院の創設者は日本赤軍の前身である共産主義同盟(ブンド

 

11

ドイツ人は日本が嫌いだ。ロシア人は準白人だから日露戦争で日本に負けてもそう気にはしなかった。

 

12

中国では携帯電話が完全に盗聴され、私がどこにいるか、という情報も常時簡単に把握されています。

 

13

私は、小此木政夫がこんな発言をしているというだけで慶応大学を軽蔑するし、

 

14

私と同様に、日韓議員連盟って一体なんなんだ、と思っていた人たち全員が、目から鱗が落ちる論文である

 

15

こんな場面がまるで正しい事であるかのように放映するNHKは…

 

16

ベルギー公使アルベール・ダネタンの本国への報告調査では

 

17

(知っていて報道しない?)…NHKは紛れもなく中国や朝鮮半島の情報機関の工作下にある組織である

 

18

確かに英語に統合失調症という名称はなく、schizophrenia(精神分裂病)のままである。

 

19

すなわち、在日韓国朝鮮人に各TV局は、乗っ取られていると云う事です。

 

20

辻元清美や福島瑞穂は典型的な在日朝鮮人の反日思想です。

 

21

米国の大統領が日本の首相を国賓待遇で迎える際には夫人同伴であることは言うまでもない。

 

22

デーブ・スペクター「韓国は何がしたいんでしょうね。(ボロクソに言う)」 ワイ「今後絶対に韓国には

 

23

それは、韓国社会の「権力集団」とも呼ばれる「民弁」に所属しているということだ。 

 

24

ハリウッドが中国資本に籠絡され出したという報道が伝えられた頃から殆ど観なくなった。

 

25

この事実までも創始改名を日本に依って強要された等と言って国際社会で日本を攻撃し日本を貶める材料に

 

26

日韓関係、石破茂らの綺麗事 なぜだろうか。秘密は、彼ら自民党有力議員たちの「韓国利権」にある。

 

27

まったく正反対の結果が出ているにもかかわらず、こんな見解をひけらかす。

 

28

NHKの報道部を支配している朝鮮総連や中国の工作下にあるような連中を野放しにして置く事はできない

 

29

筆者はNHKの放送後、九州国際高校と経営母体の日章学園トップへのインタビューを何度も申し入れた。

 

30

世界共産主義革命のためにアグネス・スメドレーと枕まで交わしてきた尾崎秀実がやたら小さな存在に見え

 

31

彼らは、ただ「自己陶酔型シャッター症候群」にかかっているだけなのです。

 

32

以下はgooにおけるリアルタイムのベスト10である。

 

33

NY.Timesやワシントンポストなどは反日プロパガンダの工作下にあるといっても全く過言ではない

 

34

以下はgooにおけるリアルタイムのベスト10である。

 

35

要するに、あれって、ババアのモテ自慢だったと気が付いたわけ(笑)。 

 

36

米国と並ぶ世界最高の知性と自由を持った本当の民主主義の国である日本を自虐している等は…

 

37

It is a popular page yesterday on goo.

 

38

古代朝鮮半島を支配していたのが日本人だった…新羅王家に流れる倭人の血

 

39

以下はgooにおけるリアルタイムのベスト10である。

 

40

歴史の真実を直視しない韓国人に未来はない。まずは大本を正すべきだ。話はそれからだ。

 

41

この正体不明の女性が日本ではなくフランスで、このような事を行う事についての怪しさを疑う知性もない

 

42

NYT記者の田淵広子といえば、慰安婦問題で狂信的に日本を断罪したことで悪名高い。

 

43

さらに、日本は戦前韓国に残した資産を放棄している。

 

44

要はマスコミに騙されず、きちんと男系男子による皇位継承の意味がわかる人が増え、声をあげていくこと

 

45

民衆への搾取と圧政で為政者に対する忠誠心が薄くなっている。

 

46

前章の事実から鑑みれば福島瑞穂は明らかに韓国のエージェントを務めていたのだと言っても全く過言では

 

47

ソーラーパネルを山の斜面に置くなど最悪。安全面を考慮し、なにもないだだっ広い場所に置くべきです

 

48

私もフェミニズムに傾倒していたので日本の企業では男尊女卑が激しいと刷り込まれて、欧米企業への憧れ

 

49

「悪魔の詩」を訳した筑波大の五十嵐助教授が首を切られて殺されたのは大韓機事件の4年後だった。 

 

50

「男女共同参画利権8兆円産業で女性を食い物にしているのはお前たちだろ!」と言いたい。

 

 

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it is a popular page yesterday.

2019年06月26日 22時28分15秒 | 全般

1

辻元清美の両親の国籍は韓国なんでしょうか? 国籍が韓国である噂は多かったので、 帰化の噂の真相を調べてみますと、

2

現在、「脱原発利権」なるものが生まれつつある。孫正義・小泉純一郎・細川護煕・菅直人の動きに注意。

3

この小泉が、松沢病院に入院歴があるということについては、小泉家の極秘事項になっている。

4

トップページ

5

そして、辻元清美の選挙区である、大阪10区、高槻市は日本赤軍の関係者・支援者の多い土地で知られているそうですよ

6

以下は、辻本の以前の「私は国壊議員や…」発言の全文を確認しようとして検索中に発見した記事である。

7

建立学校,在您的国家首次建立义务教育体系

8

有名なのは、橋本龍太郎元首相を籠絡した中国人女性通訳のケースだ。

9

如果化妆是对的,任何女孩都可以是美丽的。

10

その歴史の真実を替え、国民に嘘を強要し続ける国… これが悪の帝国であり… 韓国よ、君たちの国の事だ。

11

可以说这是民主党政府创造的国家灾难

12

「朝鮮人は一般に、頑固で、気難しく、怒りっぽく、執念深い」とあるが、まるで現代の韓国について語っているようだ。

13

NHK、TBS、テレビ朝日の偏向報道が何故あれほど酷くて執拗なのかを明らかにしている。

14

君達は1910年、突然、破格の待遇の日本国民になったのだから日本名を名乗るのは当然でもあった。

15

韓国よ、 君達の品性が世界最低の下劣さであることに気づく事は… 反日教育を続けている限り永遠にないのだろうが

16

以下はアメーバにおける今日の公式ハッシュタグランクイン記事一覧である。

17

Jepun mempunyai kehormatan untuk memenuhi dunia pada akhir abad ke-19.

18

Only Love Can Break Your Heart

19

なおかつ人質や貢ぎ物を受け取り、朝鮮半島全域を支配する力があった国に対して、なにを根拠に優位性を唱えるのだろう。

20

CIA(中央情報局)のある論文によれば当時、大使館内の会話は完全に盗聴されており、ルーズベルトの判断がいかに安全保障上、危険で愚かだったかを論じています。

21

Même si les stocks étaient épuisés, la plupart d'entre eux se sont battus sur le champ

22

One of These Days

23

古田博司教授の結論である「古代の専制国家」である事を証明している新聞記事である。

24

「朝鮮には階級がふたつしかない。盗む者と盗まれる側である。両班から登用された官僚階級は公認の吸血鬼で、人口の五部の四をゆうに占める下人は文字どおり下の人問で、

25

Razzle Dazzle Rose - Camera Obscura

26

つまりミイラ取りがミイラになったわけで、アメリカをうまく取り込もうとした大英帝国が逆にアメリカによって潰されたというのが、二十世紀の二つの大戦における世界史的な意義だといえます

27

Unknown Legend

28

It has always been consistent; I feel that many feminists are not popular among men

29

客の一人が「私は日本人だ」と叫ぶ声があった。親日国で宗教問題もない。何かの間違いではという響きがあったが犯人は笑って彼を撃ち殺した。

30

小泉訪朝の少し前に金正男が転がり込んできた。金賢姫の証言を得ていれば田中真紀子も黙って彼を手放すことはなかっただろうし、正男も義弟に殺される運命から逃れることもできただろう

31

その上、両班(貴族)たちは我先に逃げ出す。 そのことを秀吉軍は知っていたから、あっという間に占領できたのではないか。

32

このイベントを主催したのが、元朝日新聞の記者・松井やよりと元挺対協代表だった韓国の尹貞玉だったからだ。

33

Wolf Parade - Same Ghost Every Night

34

Il dopoguerra è iniziato con la violazione della Dichiarazione di Potsdam

35

Toute fille peut être belle si le maquillage est bon.

36

Nanjing massacre coverage of Honda Katsuichi, which is a business that is

37

国連特別報道者などという肩書を有している史上最低の男であるデヴィッド・ケイと、こんな男を採用している国連と言う史上最低の組織に贈る。

38

L'après-guerre a commencé par la violation de la déclaration de Potsdam

39

要はマスコミに騙されず、きちんと男系男子による皇位継承の意味がわかる人が増え、声をあげていくことが重要なんです。

40

Anyway, Japanese-style liberals use their position and force to push their ideas and philosophies

41

以下はアメーバにおける今日の公式ハッシュタグランクイン記事一覧である。

42

以下はアメーバにおける今日の公式ハッシュタグランクイン記事一覧である。

43

If it is for thought, fabrication, falsification, concealment do not hesitate.

44

I can't help feeling that Ueno-san and Asahi are also typical of 'Japanese-style liberals.'

45

立命館大の准教授に納まり日本女性と結婚したバングラ人がいつの間にかイスラム国の司令官になっていたと産経新聞が伝えた。あの国の素性を表に出していたら少なくとも日本女性一人は救えた

46

민주당 행정부가 창안 한 국가적 재앙이라고 할 수있다.

47

I respect him that he is an excellent example of the Great talents matures late.

48

Japanese-type liberals are still clinging to the communist system even if it collapses.

49

Jedes Mädchen kann schön sein, wenn Make-up stimmt.

50

Qualquer garota pode ser bonita se a maquiagem estiver certa.

 

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以下はアメーバにおける今日の公式ハッシュタグランクイン記事一覧である。

2019年06月26日 22時23分18秒 | 全般

公式ハッシュタグランクイン記事一覧

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さすがに日本側も「いつまでバカを言っているんだ」と反論した。その交渉を務めたのが、外交官の久保田貫一郎で「戦争もしていないのに戦時賠償は支払えない」と言ったんだ(笑)

2019年06月26日 22時12分53秒 | 全般

でも、日本は当時の久保田のように、正論はちゃんと言わなきやダメだ。と題して2018-06-28に発信した章である。
以下は一昨日、発売された月刊誌WiLL今月号に、米朝会談の核心、トランプの金正恩“褒め殺し”戦術がスゴイと題して掲載されている高山正之と井上和彦の対談特集からである。
一昨日発売されたWiLLとHANADAは日本国民全員が購読しなければならない月刊誌である。
見出し以外の文中強調は私。
北の次は中国―近く英最新艦空母「クイーン・エリザベス」が南シナ海へ…
褒め殺し戦術
高山 
今回の米朝首脳会談結果、何とも評価しづらい形になった。
井上 
確かに共同声明で非核化のプロセスが明示されず、しかも最大の焦点であった「完全かつ検証可能で不可逆的な非核化(CVID)」は謳われませんでした。 
さらに、交渉期間中の米韓合同軍事演習中止を一方的に約束したりと、当初のトランプ大統領の意気込みを考えると、これらの譲歩に首を傾げ、果たしてどのような思惑があるのかと危惧する声が上がるのも当然でしょう。
ただ、その一方で、トランプ大統領の金正恩委員長に対する歯の浮くような称えぶりは、やはり後戻りは許さないという北朝鮮の退路を断つ“褒め殺し”戦術という見方もできます。
高山 
だいたい旅費もホテル代も出せないふざけた国に、トランプは「日本が約束している一兆円くらいは出せばいい」と言っている。 
ま、北朝鮮とのかかわりの中で、拉致問題と金銭問題は必ず出てくるからな。 
朝鮮絡みのカネの話は戦後すぐの李承晩の戦時賠償要求だった。
戦争もしていないのに「21億ドルよこせ」と。
韓国は日本にあれだけ世話になっていながら「いや、ずっと戦争してきた」。「我々は連合国軍の一員だ」と言った。
井上 
いったい彼らは何を言っているんでしょうか。
韓国は連合軍でも戦勝国でもありません。
高山 
彼らは言い出したら聞かない。
マッカーサーも困って「朝鮮人等は戦勝国民に非ず、第三国人(the third nation)なり」と言った。
今、「三国人」と言うと蔑称だと批判してくる。
まったく蔑称じゃない。
文句を言うんだったら、マッカーサーに言え(笑)。 
それでも聞き分けがない。
さすがに日本側も「いつまでバカを言っているんだ」と反論した。
その交渉を務めたのが、外交官の久保田貫一郎で「戦争もしていないのに戦時賠償は支払えない」と言ったんだ(笑)。
井上 
その通りですね。
高山 
久保田は李承晩側が「日本は朝鮮半島を植民地支配し、民を奴隷状態に置いた」とカイロ宣言に乗っかって批判すると「日本は韓国ではげ山を緑にした、鉄道を敷いた、港湾を建設し、水田を造成した。そのために国家予算から毎年一千~二千万円も出して半島のインフラ整備をやったではないか」と反論した。
まさに正論で、社会党の鈴木茂三郎もその通りだと手を叩いたほどだ。
井上 
そうした歴史を知らないんでしょうね。
高山 
1951年、サンフランシスコ講和条約締結のときも、韓国は戦勝国としてその場に出席させろと主張した。
そのときは米英日が力を合わせて「ノー」と言った。
それが韓国という国の実態なんだ。
井上 
その後、李承晩ライン(韓国側が独断で設定した韓国と周辺国との間の水域区分と資源と主権の保護のための海洋境界線)を敷いて、日本側の漁船を拿捕したり、襲撃したりした。
しかも竹島を不法占拠までするようになった。
高山 
それもあって日本側も久保田発言を撤回しなかった。
韓国側も引っ込みがつかない。
カネは欲しいが頭を下げたくないで、結局十年も交渉は中断した。
日本は構わないけれど向こうは背に腹はかえられない。
結局、向こう側が先にしびれを切らした。
井上 
朴正熙大統領時代ですね。
高山 
向こうは「賠償」という言葉を引っ込め、「経済協力」みたいな言葉にし、額もうんと削って1965年に日韓基本条約が結ばれた。 
それでも外貨準備高が18億ドルのとき、5億ドルも出している。
この歴史を踏まえて、北朝鮮も「一兆円を出せ」と言ってきている。
でも、日本は当時の久保田のように、正論はちゃんと言わなきやダメだ。
この稿続く。

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朝鮮絡みのカネの話は戦後すぐの李承晩の戦時賠償要求だった。戦争もしていないのに「21億ドルよこせ」と。韓国は日本にあれだけ世話になっていながら…

2019年06月26日 22時10分42秒 | 全般

でも、日本は当時の久保田のように、正論はちゃんと言わなきやダメだ。と題して2018-06-28に発信した章である。
以下は一昨日、発売された月刊誌WiLL今月号に、米朝会談の核心、トランプの金正恩“褒め殺し”戦術がスゴイと題して掲載されている高山正之と井上和彦の対談特集からである。
一昨日発売されたWiLLとHANADAは日本国民全員が購読しなければならない月刊誌である。
見出し以外の文中強調は私。
北の次は中国―近く英最新艦空母「クイーン・エリザベス」が南シナ海へ…
褒め殺し戦術
高山 
今回の米朝首脳会談結果、何とも評価しづらい形になった。
井上 
確かに共同声明で非核化のプロセスが明示されず、しかも最大の焦点であった「完全かつ検証可能で不可逆的な非核化(CVID)」は謳われませんでした。 
さらに、交渉期間中の米韓合同軍事演習中止を一方的に約束したりと、当初のトランプ大統領の意気込みを考えると、これらの譲歩に首を傾げ、果たしてどのような思惑があるのかと危惧する声が上がるのも当然でしょう。
ただ、その一方で、トランプ大統領の金正恩委員長に対する歯の浮くような称えぶりは、やはり後戻りは許さないという北朝鮮の退路を断つ“褒め殺し”戦術という見方もできます。
高山 
だいたい旅費もホテル代も出せないふざけた国に、トランプは「日本が約束している一兆円くらいは出せばいい」と言っている。 
ま、北朝鮮とのかかわりの中で、拉致問題と金銭問題は必ず出てくるからな。 
朝鮮絡みのカネの話は戦後すぐの李承晩の戦時賠償要求だった。
戦争もしていないのに「21億ドルよこせ」と。
韓国は日本にあれだけ世話になっていながら「いや、ずっと戦争してきた」。「我々は連合国軍の一員だ」と言った。
井上 
いったい彼らは何を言っているんでしょうか。
韓国は連合軍でも戦勝国でもありません。
高山 
彼らは言い出したら聞かない。
マッカーサーも困って「朝鮮人等は戦勝国民に非ず、第三国人(the third nation)なり」と言った。
今、「三国人」と言うと蔑称だと批判してくる。
まったく蔑称じゃない。
文句を言うんだったら、マッカーサーに言え(笑)。 
それでも聞き分けがない。
さすがに日本側も「いつまでバカを言っているんだ」と反論した。
その交渉を務めたのが、外交官の久保田貫一郎で「戦争もしていないのに戦時賠償は支払えない」と言ったんだ(笑)。
井上 
その通りですね。
高山 
久保田は李承晩側が「日本は朝鮮半島を植民地支配し、民を奴隷状態に置いた」とカイロ宣言に乗っかって批判すると「日本は韓国ではげ山を緑にした、鉄道を敷いた、港湾を建設し、水田を造成した。そのために国家予算から毎年一千~二千万円も出して半島のインフラ整備をやったではないか」と反論した。
まさに正論で、社会党の鈴木茂三郎もその通りだと手を叩いたほどだ。
井上 
そうした歴史を知らないんでしょうね。
高山 
1951年、サンフランシスコ講和条約締結のときも、韓国は戦勝国としてその場に出席させろと主張した。
そのときは米英日が力を合わせて「ノー」と言った。
それが韓国という国の実態なんだ。
井上 
その後、李承晩ライン(韓国側が独断で設定した韓国と周辺国との間の水域区分と資源と主権の保護のための海洋境界線)を敷いて、日本側の漁船を拿捕したり、襲撃したりした。
しかも竹島を不法占拠までするようになった。
高山 
それもあって日本側も久保田発言を撤回しなかった。
韓国側も引っ込みがつかない。
カネは欲しいが頭を下げたくないで、結局十年も交渉は中断した。
日本は構わないけれど向こうは背に腹はかえられない。
結局、向こう側が先にしびれを切らした。
井上 
朴正熙大統領時代ですね。
高山 
向こうは「賠償」という言葉を引っ込め、「経済協力」みたいな言葉にし、額もうんと削って1965年に日韓基本条約が結ばれた。 
それでも外貨準備高が18億ドルのとき、5億ドルも出している。
この歴史を踏まえて、北朝鮮も「一兆円を出せ」と言ってきている。
でも、日本は当時の久保田のように、正論はちゃんと言わなきやダメだ。
この稿続く。

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私たちの眼前にあるのは、民主主義にたいするシュミラクールつまり「擬態」であり「振り」なのではないか。私たちの関心はノゾキでしかないのに、それに平等主義の振付がほどこされるということである

2019年06月26日 22時01分13秒 | 全般

以下は前章の続きである。
日本人に擬態民主主義を植えつけた日教組教育 
マスコミ人士が卑しい人格の持ち主だとまでは断言しない。
彼らは自分らの大衆路線が精神汚染をもたらすであろうことを懸念して、大義名分を求めもしたのである。 
その大義名分がたとえばリクルートではカネをめぐる平等主義、女性スキャンダルでは女をめぐる人権主義なのであった。
つまり民主主義的観念体系における常套文句がまたしても使用されたわけである。 
私たちの眼前にあるのは、民主主義にたいするシュミラクールつまり「擬態」であり「振り」なのではないか。
私たちの関心はノゾキでしかないのに、それに平等主義の振付がほどこされるということである。 
偽装民主主義が私たちの精神に覆いかぶさっている。
また、民主主義そのものの本質の一部として「擬態」があるというふうにいってもよい。
民衆が主権をもちうるほどに優秀な存在だとみなすことは、いってみれば、人間が神の擬態をやっていることにほかならない。 
デモクラシーの発足と同時にプラトンたちがその衆愚政治への転落を心配したのはそのためである。
トックビルが「多数者の専制」としてのデモクラシーによる個性の圧殺を憂えたのもそのためである。 
この民主主義に内在する擬態という要素が戦後日本においてどうしてこうまで無視されるに至ったかについてはいくつもの理由があるが、率直にいって、教育の効果を第一に挙げるべきであろう。 
いわゆる日教組教育といわれる民主教育を文字通り信じ、型通りに受け入れている日本人はかならずしも多いとはいえない。
多くの日本人が民主教育のなかで吐かれる平和、平等、福祉といった類いの美辞麗句にたいして空々しさを感じている。
しかし、小、中、高、大学、合わせて16年という長期にわたってその種の空文句を頭に詰め込まれ、それに応じて試験が行われ、試験の成績に応じてそれぞれの人生が可能性が定まるという民主主義的な言語システムに日本人は慣れ親しんでしまった。
それゆえ、擬態民主主義に沿っているかぎり人生を無難に過ごすことができ、ときとして褒賞すら与えられるといういわば精神的パブロフ反射運動が身についてしまったのではないか。 
新聞記者こそそうした反射運動の達人である。
彼らはなんらか激しい感情をもって権力者のいかがわしさを批判しているのではない。
ただ、民主主義的な言語体系にもとづいて権力者のいかがわしさを批判しておけば、それだけで、記事としては無難であるのみならず販売部数も伸長していくということをわきまえているのだ。
この項続く。

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その大義名分がたとえばリクルートではカネをめぐる平等主義、女性スキャンダルでは女をめぐる人権主義なのであった。つまり民主主義的観念体系における常套文句がまたしても使用されたわけである。

2019年06月26日 21時55分35秒 | 全般

以下は、下記の故・西部邁氏の本「マスコミ亡国論」からである。
活字が読める日本国民は全員、今すぐに最寄りの書店に購読に向かわなければならない。
世界中の人たちは、私の翻訳で、皆さんの国のマスコミも同様である事を知るだろう。
以下は前章の続きである。
日本人に擬態民主主義を植えつけた日教組教育 
マスコミ人士が卑しい人格の持ち主だとまでは断言しない。
彼らは自分らの大衆路線が精神汚染をもたらすであろうことを懸念して、大義名分を求めもしたのである。 
その大義名分がたとえばリクルートではカネをめぐる平等主義、女性スキャンダルでは女をめぐる人権主義なのであった。
つまり民主主義的観念体系における常套文句がまたしても使用されたわけである。 
私たちの眼前にあるのは、民主主義にたいするシュミラクールつまり「擬態」であり「振り」なのではないか。
私たちの関心はノゾキでしかないのに、それに平等主義の振付がほどこされるということである。 
偽装民主主義が私たちの精神に覆いかぶさっている。
また、民主主義そのものの本質の一部として「擬態」があるというふうにいってもよい。
民衆が主権をもちうるほどに優秀な存在だとみなすことは、いってみれば、人間が神の擬態をやっていることにほかならない。 
デモクラシーの発足と同時にプラトンたちがその衆愚政治への転落を心配したのはそのためである。
トックビルが「多数者の専制」としてのデモクラシーによる個性の圧殺を憂えたのもそのためである。 
この民主主義に内在する擬態という要素が戦後日本においてどうしてこうまで無視されるに至ったかについてはいくつもの理由があるが、率直にいって、教育の効果を第一に挙げるべきであろう。 
いわゆる日教組教育といわれる民主教育を文字通り信じ、型通りに受け入れている日本人はかならずしも多いとはいえない。
多くの日本人が民主教育のなかで吐かれる平和、平等、福祉といった類いの美辞麗句にたいして空々しさを感じている。
しかし、小、中、高、大学、合わせて16年という長期にわたってその種の空文句を頭に詰め込まれ、それに応じて試験が行われ、試験の成績に応じてそれぞれの人生が可能性が定まるという民主主義的な言語システムに日本人は慣れ親しんでしまった。
それゆえ、擬態民主主義に沿っているかぎり人生を無難に過ごすことができ、ときとして褒賞すら与えられるといういわば精神的パブロフ反射運動が身についてしまったのではないか。 
新聞記者こそそうした反射運動の達人である。
彼らはなんらか激しい感情をもって権力者のいかがわしさを批判しているのではない。
ただ、民主主義的な言語体系にもとづいて権力者のいかがわしさを批判しておけば、それだけで、記事としては無難であるのみならず販売部数も伸長していくということをわきまえているのだ。
この項続く。

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国民もそれにオウム返しに反応して、それらの実名を声高に繰り返した。かつてナチスがやったように、「大声で繰り返す」ことによって集団心理が形成されたのである。

2019年06月26日 14時30分08秒 | 全般

以下は、下記の故・西部邁氏の本「マスコミ亡国論」からである。
活字が読める日本国民は全員、今すぐに最寄りの書店に購読に向かわなければならない。
世界中の人たちは、私の翻訳で、皆さんの国のマスコミも同様である事を知るだろう。
以下は前章の続きである。
*この章で西部氏が指摘している事々は、そっくりそのまま、森友・加計騒動に当てはまる事は言うまでもない。あの騒動を作った朝日新聞と辻本清美・福島瑞穂等に代表される連中の卑しさが極まっていたし彼らに同調したテレビや追随した国民の卑しさも極まっていたのである。*
のぞき見趣味を正当化するために動員された民主主義や平等主義 
そこで次に「濡れ手で粟」とはどういうことなのか考えてみよう。 
政治家や経営者の所得が、この言葉によってしつこく批判されつづけている。
人々が食うや食わずの状態にあるのなら、「あの粟があれば娘を女郎にたたき売らずにすんだ」というような感情論にも切実さが宿る。
しかし、「飽食の時代」にあっての「濡れ手で粟」はとうてい真実のものとは思われない。 
いやその真実は大衆の嫉妬に根差している。
いや嫉妬ですらないのかもしれない。
リクルート事件に関しては嫉妬のような強い感情はみられなかった。それはむしろ、他人のありうべきいかがわしさにたいする好奇心にすぎなかったのではないか。
自分のところへくるはずもない株の行く方にたいして嫉妬のような強い感情をもてるわけがない。 
おそらくこのリクルート騒ぎの背景には、自分のピーピングトム、つまりのぞき見趣味を正当化するために平等主義や民主主義を動員する、という大衆の自己正当化の動機が働いていたのではないか。 
垣根ごしにのぞき見て騒ぎ立てる行為が、悪代官の悪政にたいして一揆で向かっていった百姓たちの行為よりも下卑た行為であることはいうまでもないであろう。 
見逃しにできないのは、こうした愚かしい騒ぎにまぎれて情報社会の堕落を物語るグロテスクな事態が進行したということである。 
実名公表問題がそれだ。
マスコミは、リクルート関係者の実名を挙げて、彼らをダーティだとして指弾するキャンペーンを続けた。
国民もそれにオウム返しに反応して、それらの実名を声高に繰り返した。
かつてナチスがやったように、「大声で繰り返す」ことによって集団心理が形成されたのである。
そして、ロッキードのときも同じだが、騒ぎが一応終息してしまうと、今度は公判開始や判決などの機会に、またぞろ話を蒸し返し、弾劾キャンペーンを繰り返す。
国民もその都度キャンペーンに乗っていく。
これはもうほとんど情報社会のメカニズムといってよいほどの定型化されたプロセスである。 
実際、平成元年の年末にリクルートの公判が開始されるや、大報道がはじまった。
その報道の意味内容はまったく希薄なのだが、国民が大報道に乗っていくという仕組みだけはしっかりと独り歩きしているのである。 
マスコミの大衆路線といわれているものの内容が、カネ、イロ、ノゾキでしかないというのは衆知のことではある。
それは精神汚染の拡散にほかならず、しかも汚染はますます低次元へと落ちていく。 
リクルート騒ぎにおけるカネ、政治家の女性スキャンダルにおける女、それらをピーピングトムした結果を実名を挙げつつ誇らしげに公表するマスコミ、この二年間の騒ぎを総括してみれば、要するにこういうことだったのだ。
この項続く。

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自分のピーピングトム、つまりのぞき見趣味を正当化するために平等主義や民主主義を動員する、という大衆の自己正当化の動機が働いていたのではないか

2019年06月26日 14時28分44秒 | 全般

以下は、下記の故・西部邁氏の本「マスコミ亡国論」からである。
活字が読める日本国民は全員、今すぐに最寄りの書店に購読に向かわなければならない。
世界中の人たちは、私の翻訳で、皆さんの国のマスコミも同様である事を知るだろう。
以下は前章の続きである。
*この章で西部氏が指摘している事々は、そっくりそのまま、森友・加計騒動に当てはまる事は言うまでもない。あの騒動を作った朝日新聞と辻本清美・福島瑞穂等に代表される連中の卑しさが極まっていたし彼らに同調したテレビや追随した国民の卑しさも極まっていたのである。*
のぞき見趣味を正当化するために動員された民主主義や平等主義 
そこで次に「濡れ手で粟」とはどういうことなのか考えてみよう。 
政治家や経営者の所得が、この言葉によってしつこく批判されつづけている。
人々が食うや食わずの状態にあるのなら、「あの粟があれば娘を女郎にたたき売らずにすんだ」というような感情論にも切実さが宿る。
しかし、「飽食の時代」にあっての「濡れ手で粟」はとうてい真実のものとは思われない。 
いやその真実は大衆の嫉妬に根差している。
いや嫉妬ですらないのかもしれない。
リクルート事件に関しては嫉妬のような強い感情はみられなかった。それはむしろ、他人のありうべきいかがわしさにたいする好奇心にすぎなかったのではないか。
自分のところへくるはずもない株の行く方にたいして嫉妬のような強い感情をもてるわけがない。 
おそらくこのリクルート騒ぎの背景には、自分のピーピングトム、つまりのぞき見趣味を正当化するために平等主義や民主主義を動員する、という大衆の自己正当化の動機が働いていたのではないか。 
垣根ごしにのぞき見て騒ぎ立てる行為が、悪代官の悪政にたいして一揆で向かっていった百姓たちの行為よりも下卑た行為であることはいうまでもないであろう。 
見逃しにできないのは、こうした愚かしい騒ぎにまぎれて情報社会の堕落を物語るグロテスクな事態が進行したということである。 
実名公表問題がそれだ。
マスコミは、リクルート関係者の実名を挙げて、彼らをダーティだとして指弾するキャンペーンを続けた。
国民もそれにオウム返しに反応して、それらの実名を声高に繰り返した。
かつてナチスがやったように、「大声で繰り返す」ことによって集団心理が形成されたのである。
そして、ロッキードのときも同じだが、騒ぎが一応終息してしまうと、今度は公判開始や判決などの機会に、またぞろ話を蒸し返し、弾劾キャンペーンを繰り返す。
国民もその都度キャンペーンに乗っていく。
これはもうほとんど情報社会のメカニズムといってよいほどの定型化されたプロセスである。 
実際、平成元年の年末にリクルートの公判が開始されるや、大報道がはじまった。
その報道の意味内容はまったく希薄なのだが、国民が大報道に乗っていくという仕組みだけはしっかりと独り歩きしているのである。 
マスコミの大衆路線といわれているものの内容が、カネ、イロ、ノゾキでしかないというのは衆知のことではある。
それは精神汚染の拡散にほかならず、しかも汚染はますます低次元へと落ちていく。 
リクルート騒ぎにおけるカネ、政治家の女性スキャンダルにおける女、それらをピーピングトムした結果を実名を挙げつつ誇らしげに公表するマスコミ、この二年間の騒ぎを総括してみれば、要するにこういうことだったのだ。
この項続く。

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