すずりんの日記

動物好き&読書好き集まれ~!

小説「雪の降る光景」第3章終

2008年08月16日 | 小説「雪の降る光景」
 「エバはどうしている?」
いきり立っていたボルマンは、はっと我に返った。
「彼女は、別荘でおとなしくしているよ。」
「エバも、覚悟を決めただろうか。」
今まで自分の身の振り方しか頭に無かった彼は、エバが、自分の愛した男に最期の時にさえためらい無く付いて行く強い女であったことを今さらながらに思い出し、彼女がとっくに総統との心中を決めているであろうことを、今初めて実感した。
「ボルマン、彼女と二人で、という条件付きで総統に来ていただいたらどうだろう。総統と二人きりより、三人の方が私も和やかに話ができそうだ。」
 エバは、いわゆる男顔負けのキャリアを持つような強い女ではなかった。私と同じく、アドルフ・ヒトラーの身に何かあったら迷わず自分も死に臨むというような強さはあったが、それを除いては、彼女は政治には全く興味の無い、楽観的な、唯の美しく弱々しい女であった。
 彼女はアドルフ・ヒトラーを愛している。そして総統もまた、彼女のことを、自らの狂気を抜きにして思考できる唯一の存在としていた。エバ・ブラウン無くして今の総統は無かっただろう。アドルフ・ヒトラーが自らの狂気で破滅すること無く、独裁者としての今の地位を築くことができたのは、彼女を彼が愛していたからに他ならなかった。死の影が常に付きまとっている総統の傍に居て、エバの二度の自殺が未遂に終わったのは、成るべくしてそうなったに違いなかった。彼が、一国を狂気へと導く独裁者に姿を変えるのには、彼女が死ぬわけにはいかなかったのだ。
 そう。それは、ハーシェルのいない今の私の生命が意味を成すものではないように、総統とエバもまた、お互いを切り離しては自らの生命は存在し得ないのだ。

 1週間後、私は、二人と会うことなく病室を後にした。再び旧友の亡霊に会いに行くために。そして、自分の死に場所を見つけるために。



(第3章終わり。第4章へつづく)

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

暑いのに、抱っこ。

2008年08月15日 | 
今日は朝から雨です。
でも、涼しいというより蒸し暑い。

それなのに、最近になって
てんやしーが抱っこ好きになってきました。

今まで甘える先はねねやすずだったんですが、
彼らがうっとうしがると私のとこに来ます。

かわいいんですけど、・・・暑い!

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

入院を前にして思うこと。

2008年08月14日 | ちょっとしたこと
皆さん、知ってますか?

最近は、手術の輸血用に
自分の血を前もって取っておくんですよ。

私も先日、2回に分けて合計800ml、取ってきました。

さて、手術を待つ今思うのはただ1つ。


それは、



子宮筋腫と卵巣腫瘍を取って、
どれだけお腹周りが細くなるか



不安より、むしろ楽しみです

コメント (6)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

まだまだ暑い。

2008年08月13日 | 
今日はなんだか、風があるのに、
蒸し暑い1日です。

なのにこの密着度。
見ているだけで暑い!

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

仲間に入れて!

2008年08月12日 | 
写真は、ねね、ちぃ、すずです。

ねねとちぃが寝ているところに
すずが無理やり入ってきました。

だいぶはみ出してますが、
すずはそれなりに満足そうです。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

一番長いのは?

2008年08月11日 | 
しーちゃんの尻尾、長いですね~。

測ってみたら、30cmありました。

ねねとすずとりんも長いんですが、
30cmはありませんでした。

この、しーの尻尾、よくしなって
当たると痛いんですよね~。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

新入り。

2008年08月10日 | ちょっとしたこと
懲りもせず、また観葉植物を買ってきました。

手前のちっこいのが、通称「万年竹」、
ギンヨウセンネンボクです。

他の植物同様、長持ちするし、消臭効果もあります。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

小説「雪の降る光景」第3章24

2008年08月09日 | 小説「雪の降る光景」
 私は、いつか首を吊って死んでいったイギリスの将校に対して言った言葉を、そのまま今ボルマンに向かって言っているような錯覚に囚われていた。
「それにだ、我々がナチスとしての最期を迎えなければ、民衆は誰を憎めば良いのだ。我々が今までのことをあっさりと悔い改めてしまったら、民衆は、誰に死刑を宣告すれば良いのだ。我々が、ナチスであることを恥じてしまったら、民衆は、後世に何を語れば良いのだ。」
「君には君の論理があろう。それは構わない。しかし、君以外のナチスまでもが大衆のためになぜ死ななければならんのだ。君が一人で死ねば良い。私も総統も他の党員も、君と同じ思想を持ち合わせてはいない。」
 この男の勇気の無さを責めるのは止めよう。ナチスの罪を死を以って償う勇気の無い人間が、生涯陽の下にさらすことのできない自らの生を以って償う勇気を持ち合わせているとでも、彼は考えているのだろうか。
「ボルマン、よく聴いてくれ。総統を、彼を誰かが殺してやることが、彼にとって最後の、あまりにも幸福な道なんだ。」
ボルマンは、我が侭な私にはもう付き合い切れないと言うかのように、投げ遣りに足を組んだ。
「では君が全責任を取れ。君一人で、総統とこの戦争の二つを背負って死ねば良い。私はごめんだ。・・・私はナチスだ。たとえ君が死んでも、党が解散しても、ドイツが戦争に負けても、ナチスは、私の思想として生き続ける。そして、いつかまた・・・」
「そしていつかまた、世界を獲る、か?」
彼は人間だ、間違いなく。人間であるが故に愚かな行動を繰り返す。しかし、人間であるが故に、その愚かさに気づく事もできるのだ。



(つづく)

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

クロちゃん、ありがとう。

2008年08月08日 | 
写真は右がりん、左はほとんど顔が写ってませんがすずです。


すずとりんのお母さんの黒猫、
クロちゃんが、亡くなりました。


先日、クロちゃんが元気が無くなって食欲も無いと連絡があり、
すぐに病院に連れて行ったのですが、
脱水症状がかなり進んでいて、回復まで至らなかったようです。

野良猫なので詳しくはわかりませんが、
ケンカのケガなどで身動きが取れないところに、
この暑さで脱水状態になったんじゃないかと思います。

このブログでも以前クロちゃんを紹介したことがありました。

http://blog.goo.ne.jp/suzu-rin_2005/e/ff47495b4dcdcd13d916e86253b51f19

http://blog.goo.ne.jp/suzu-rin_2005/e/be3b113fe47e5ca0bb9030082b5dd6b2

http://blog.goo.ne.jp/suzu-rin_2005/e/bf7fb059517dd9f6b82cd13c220a8692

先日新冠に行ったときに会ったのが最期になってしまいました。

推定年齢10歳くらいだったクロちゃん。

牧場のスタッフにもかわいがられて、
幸せだったと思います。

クロちゃんの最後の子供、すずとりんと共に、
今度はもっともっと幸せに長生きできる命で
生まれてきてくれることを祈ります。

コメント (4)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

どっちがデカい?

2008年08月07日 | 
手前の巨大な物体は、りんです。

ちぃが入っている、ベッド代わりの
ミカン型ハウスが小さいのか、
それとも、りんがデカいのか

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

決まりました。

2008年08月06日 | ちょっとしたこと
昨日なぜ珍しく母が来たかというと、

実は、母と病院に行った帰りでした。

今年の初めから、子宮筋腫と卵巣腫瘍の治療が始まり、
腫瘍の捻転も起きず、薬も効いてると信じつつ、再検査を受けました。

結果は、


子宮筋腫は、少し小さくなり、5cm台になっていました。

卵巣腫瘍は、筋腫が小さくなってできた空間を埋めるように、
数cmさらにデカくなってました

MRI検査の画像で見た私の腹部は、
ほぼ腫瘍で埋め尽くされていました

でも、腫瘍の内容物が液体だからか、
腰の痛みも特に変化は無かったし、
いまだに腰痛以外の他の症状は無いんですよ。

昨日は手術をするかどうか確定するための再検査と、
手術前の準備としての検査や採血で、半日病院にいて、
久々に札幌が真夏日になるくらい暑かったのは、あとで知りました。

なんだかほっとしました。
予定が確定して、その後の予定が立って、安心しました。

あとは、万全の体調で臨むだけです

コメント (4)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

淋しい母

2008年08月05日 | 
今日は私の所に母が遊びに来ました。

1年もうちのネコたちと一緒に住んでたのに、
初めて会うてんとしー同様、
りんとちぃは素早く姿を消し、
ねねは無視して出迎えなしです。

出迎えてスリスリしたのは、すずだけ。

でも母は、ヘコむどころか、
怖がって走り回っているネコたちを
追いかけるフリをして一層怖がらせてました。

さすが母。

止めなって!って言いましたけどね。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

初めての夏。

2008年08月04日 | 
今年の夏は、てんとしーにとって初めての夏。

夏バテもせず、毎日元気に走り回って、
爆睡しています。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

雨続きです。

2008年08月03日 | 
もう、雨が降っても、
家の中では蒸し暑くないですね。

でも、ネコたちがすり寄ってくると、
途端に暑さが込み上げてきます。

写真はねねです。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

小説「雪の降る光景」第3章23

2008年08月02日 | 小説「雪の降る光景」
 ボルマンの返事を待たずに、私は言葉を続けた。
「君だけの覚悟を責めている訳じゃない。ナチス幹部の中で、私の他にもその覚悟がある人間がいるなら、私は総統に、我がナチス・ドイツの最高責任者としての全ての権力をその人間に継承させてから速やかに命を絶つように勧めよう。ただの殺人鬼としてな。もし幹部の連中にナチスを背負ったままの姿で全人類の敵となる勇気が無いなら、私は総統に、全ての責任をナチス総統としての自らの死で償うように勧めるようにしよう。」
私はさらに続けた。
「私がその役目を負えずに死ぬのは残念だが。」
私はここで改めてボルマンの返事を待った。ボルマンは、今までの人生を振り返るようにして、言葉を振り絞った。
「やはり、それしか道は・・・。」
「あぁ。もう、それしか道は無い。そして、もうこんなことは我々で最後にするのだ。」
打ちひしがれているように私の言葉を受け入れていたボルマンが、急に強い口調で言った。
「我々は間違っていない。たとえナチスが滅んでも、人間はまた、第二のナチスを造り出す。人間は、ナチスのような、自分以外の何かに常に自分の不幸な身の上の責任を押し付けていなければ生きていられない生き物だ。ナチスは必要悪なんだ。」
 ボルマンには、総統の代わりは無理だ。彼は、自分は臆病でどんな理屈をつけてでも死を免れてみせる、と言っているに過ぎない。
「どうやら君にこの大役は耐えられそうもないようだな。総統一人に全責任を押し付けるのはかわいそうだが。」
「私は、自分の言ったことが間違っているとは思えない。」
頑なにボルマンがこう言うのもわからないではなかった。しかし、なんとかしてこの死の意味を理解させなければならないのだ。
「人類が愚かだったが故に我々がここまでのし上った。それは一理ある。しかしボルマン、そうやって責任を全て転嫁させて我々のしてきたことが許されるのか?我々のしてきたことは、我々ナチス幹部の命では決して償い切れない。が、これ以上に償えるものは何も無いのだ。言葉を換えれば、償いとして命を絶つことを許されているなら、せめて逃げも隠れもせず、ナチスの姿のまま死に臨むのが我々に残された道なのだ。」


(つづく)

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする