高校生の時に、スケッチをするのが好きで、
その中で、自分の手をスケッチするのにハマッたことがあります。
いろんな仕草の手をスケッチしていて、
その時描いたのが、広げた掌を横から見た絵でした。
そしてそれを、「銃で撃ち抜かれて苦悶する手」に脚色したんです。
銃弾を避けようとして撃たれた掌、という想定で。
そして、その絵を元にしたシーンが、これです。
「 私はあの日、機嫌が悪かった。先生に怒られたか、友達と口喧嘩したか、妹に朝食をぶん取られたかして(たぶん、このどれかだったと思うが)、2、3人のクラスメートと教室に入って来るところだった。その時ハーシェルは、教室の中で、彼の取り巻きと一緒にある遊びをしていた。ドアに同心円をいくつも描いて的を作り、ナイフを投げて点数を競うのだ。私はそのドアを開け、ナイフが、自分の顔めがけて飛んで来るのを見た。
その瞬間、私は、とっさにナイフを避けて、そしてその飛んで来たものを手で受けていた。その刃物は私の右手の甲まで突き抜け、柄が手のひらの手前で止まっていた。私の右手からは血が噴き出し、木目模様の柄が、真っ赤に染まっていた。―――私はうずくまっていた。しかし、痛みは感じなかった。“ここで鬱憤を晴らしてやろう”という名案が浮かび、必死に薄笑みをこらえていたからである。」
小説「雪の降る光景」第1章より
小説では、銃がナイフに代わりました。
その中で、自分の手をスケッチするのにハマッたことがあります。
いろんな仕草の手をスケッチしていて、
その時描いたのが、広げた掌を横から見た絵でした。
そしてそれを、「銃で撃ち抜かれて苦悶する手」に脚色したんです。
銃弾を避けようとして撃たれた掌、という想定で。
そして、その絵を元にしたシーンが、これです。
「 私はあの日、機嫌が悪かった。先生に怒られたか、友達と口喧嘩したか、妹に朝食をぶん取られたかして(たぶん、このどれかだったと思うが)、2、3人のクラスメートと教室に入って来るところだった。その時ハーシェルは、教室の中で、彼の取り巻きと一緒にある遊びをしていた。ドアに同心円をいくつも描いて的を作り、ナイフを投げて点数を競うのだ。私はそのドアを開け、ナイフが、自分の顔めがけて飛んで来るのを見た。
その瞬間、私は、とっさにナイフを避けて、そしてその飛んで来たものを手で受けていた。その刃物は私の右手の甲まで突き抜け、柄が手のひらの手前で止まっていた。私の右手からは血が噴き出し、木目模様の柄が、真っ赤に染まっていた。―――私はうずくまっていた。しかし、痛みは感じなかった。“ここで鬱憤を晴らしてやろう”という名案が浮かび、必死に薄笑みをこらえていたからである。」
小説「雪の降る光景」第1章より
小説では、銃がナイフに代わりました。