すずりんの日記

動物好き&読書好き集まれ~!

小説「雪の降る光景」第3章14

2008年05月31日 | 小説「雪の降る光景」
 私はベッドに半身を起こしたまま、依然顔を上げようとしないボルマンの足元に、手に持っていた2cm程もある報告書を叩きつけた。彼は、パン!という乾いた音に肩をひくつかせ、背もたれの無いイスの上で体勢を斜めにしたが、転げ落ちるのだけは必死に堪えてやっと顔を上げた。彼が怯えて許しを請うている犬のような顔をしたので私は思わず噴き出した。
「なぜって、私は過労で倒れたのだろう?大事を取って君が私を入院させた。そうだろ?え、ボルマン?」
彼の目が、声を殺して笑っている私の顔を捕らえて放さなかった。
「ボルマン、何をそんなに怯えている?何か私に知られてはまずいことでもあるのか?」
私は、コメディアンのように、手の平を上にして肩をすくませた。
「ボルマン、言っておくが、私は何も知らない。何もな。私の体がどんな病魔に冒されているか、君とドクターが私を、私の体を何に利用しようとしているか、君たちが私の眠っている間に何を話していたか、何も・・・」
 ボルマンは、ついに堪え切れずに、イスを倒して立ち上がった。
「私に敵対したハーシェルのことをばかな奴だとなじったのは確か君ではなかったか?」
ボルマンの拳がぶるぶると震えていた。
「君は、そうだ!君は我々を裏切った。だから!」
「だから、私が病に侵されて誰の手も煩わせずに死んでいくのを待っているわけか。ボルマン、君が勘違いしているようだから一言言っておく。君には私は殺せない。私のことを殺すことができるのは今では私だけだ。私は、私の意志で、私の命を断ち切る。」
彼の心には、ベッドに横たわったまま、骨と皮だけになった右手をすっと伸ばして彼の喉を掻っ切って殺す私の姿が浮かんでいるのかもしれない。


(つづく)

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ひなたぼっこ。

2008年05月30日 | 
写真は、ちぃとしーです。

冷たい風が吹いて、せっかくの陽射しも、
あたたかいとはなかなか感じられませんね。

でも、家の中ではそんなに強く風も入ってこないので、
開けている窓のそばは気持ちが良いみたいです。
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エコを考える。

2008年05月29日 | ちょっとしたこと
先日、21世紀環境展に行ってきました。

そして、自分もちゃんとエコしようと決めました。

1、マイ箸、エコバッグを使う。
2、ペットボトルは買わない。
3、使わない電化製品のコンセントを抜く。

今までなんとなくやったりやらなかったりしていたこの3点は、
ちゃんと徹底します。

そして、この写真

エコプランツと言われる、
有害物質などを吸収、軽減等してくれる植物で、
観葉植物の多くがエコプランツらしいのです。

右がポトス、左がユッカ。

早くも一部、ネコたちに葉が噛み切られてますが、
徹底するだけでなく、楽しく育ててエコしていきたいですね。


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これで良いのかも。

2008年05月28日 | 
1つ目のハウスは、
どうもこの使い方で定着したみたいです。

ちぃまで仲間に入りたいようですね。
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ようやく決着。

2008年05月27日 | ちょっとしたこと
以前ほんの少しだけ働いていた会社は、こんな会社でした。

その1

その2

で、解雇になりました。

その3

それからすぐに解雇予告手当を請求できるかを監督署で相談したところ、
労働期間や条件を見た上で会社側が解雇予告手当を払う義務がある、とのことで、
相変わらず、「給料だけは払ってやる(つまり解雇予告手当なんか払う義務は無い)から取りに来い」
という主張一点張りの会社側に内容証明を送りました。

1週間以内に解雇予告手当を払う旨の通知をしても音沙汰が無かったので、
再度監督署へ行き、私の解雇予告手当請求を受理してもらい、
監督署の担当者が直接会社の代表に私の請求を伝え、
会社側が間違いなく手当を支払う義務があることを話し、
会社側がそれを行わない場合は法律違反であり、
場合によっては裁判で争うことになることを伝えました。

そんなこんなで約1ヶ月。

ようやく会社側が、給料と解雇予告手当の両方の支払いを約束し、
先日受け取りに行きました。

こうして、やっと、妖しい会社と縁を切ることができました

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まずは、すず。

2008年05月26日 | 
まずは、すずが入ってくれました。

店頭ではもう夏向けのベッドが並んでるっていうのに、
まだヌクヌクしたいみたいですね。
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やっぱりデカい。

2008年05月25日 | 
窓際に集まった、ねね、りん、てんです。

デカいのは、見ておわかりですね。りんです。

てんは、外の風景を見上げてるのか、
りんの巨体を見上げて「でけ~」と言ってるかは不明です。

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小説「雪の降る光景」第3章13

2008年05月24日 | 小説「雪の降る光景」
 アネットとクラウスが来た日の夜遅くに、その日の公務を終えたボルマンが病室に顔を出した。今日1日の各方面からの報告書を私に手渡し、彼は、先ほどクラウスが座っていたイスに座った。
「君の妹さんたちが来た時、私もちょうどドクターに用があってここに来ていたんだ。」
ボルマンは私の反応を見ているのか言葉を切ったが、私はそれに気づかない振りをして身を起こし、身なりを整えた。
「君の病状についていろいろ聞かれたよ。」
「例えば、どんなふうに?」
私は、今度は渡された報告書を読み始める振りをした。
「兄さんの検査の結果はどうだったんですか、退院はいつ頃になりますか、私たちに何かできることは、・・・。」
「それで、君は何と答えたんだ?」
私は報告書に目を通しながら彼の返事を待った。
「君自身は、・・・そういうことは一度も聞かなかったな。」
私は一瞬手を止めてボルマンの方を向いたが、彼は手を組んで顔を下に向けたままだった。
「ボルマン、君は、妹の質問に、何と答えたんだ?」
「君だ!君のことだ!なぜ私に聞かない?なぜ私を問い詰めんのだ!」
急に感情的になった彼とは逆に、私は異常なほど事務的だった。
 彼が急に声を荒立てた理由を私は知っていた。彼は恐れているのだ。自分と同等の地位と自分よりほんの少し大きな権力と総統からの絶大な信頼と総統への絶大な愛情を持った自分より10歳以上も年下の男。自らの手を血に染めて穏やかな顔で他人の心臓を引きちぎり握りつぶす。そしてハーシェルを罠にはめ、なぶり殺しにした。彼はそんな私を恐れ、ひどくびくついていたが、私にはそんな彼の姿がひどく滑稽に見えた。


(つづく)

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2個目。

2008年05月23日 | 
100円ショップで2個目のハウスを買いました。

もちろん、100円じゃないですよ

今回のは1個目のより大きいからか、それとも色が派手だからか、
みんなちょっと尻込みしています。

それでも他のネコたちは、すぐ近くを通ったりしてる中、
意外とてんが過剰反応してますね。

ようやくここまで近づけました
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窓際です。

2008年05月22日 | 
写真は、しーとちぃです。

ちぃが、思いっきりカメラ目線ですね。

今日は久々にあったかかったので、
逃亡防止のネットをして窓を開けてます。

まだ風が入ると肌寒いですが、心地良いです。
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間違ってるよ。

2008年05月21日 | 
写真は、ねねとてんです。

先日買ってきた三角屋根のハウスが、
もう今はこんなになってます。

中に入るより、この方が暖かいんでしょうか?

気に入ってくれてはいるみたいですが、
なんだか複雑な気持ちです
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正体は、すず。

2008年05月20日 | 
部屋の片隅にこんな黒い塊が現れました。

正体は、すずでした

今日は大荒れの天気でしたね。
札幌も、ずっと雨で、肌寒い1日でした。
だからなのか、最近のすずのお気に入りはこの場所です。

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笑ってる?

2008年05月19日 | 
写真は、ねね、ちぃ、てんです。

いつも笑っているような寝顔の、てん。
ご馳走を食べている夢でも見てるんでしょうか?

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ネコ砂迷走中。

2008年05月18日 | 
今まで買っていたネコ砂は、
ヒノキの消臭効果のあるペレットタイプ。

消臭効果が気に入っていて、値段も安めだし、
今まで数年にわたって同じものを使っていました。

だけど、ど~も飛び散りが気になる!

今までのも、飛び散りが少ないのをアピールしているんですが、
あんまりその効果は見られません。

で、新しく試してるのが、写真のネコ砂

これはおからを使っているもので、
飛び散らないのが特徴だとか。
一度、以前のと混ぜてトイレに敷いたところ、
見た目では飛び散っているのはやっぱり以前のものが多いみたい。

これはちょっと試してみる価値はあるかな~。

みなさんのところではどんなネコ砂使ってますか?
良い知恵があったら教えてください

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小説「雪の降る光景」第3章12

2008年05月17日 | 小説「雪の降る光景」
 私は、淡々と言葉を続けた。
「私は、間違っていた。」
「何をそんなに責めているんですか?」
もはやクラウスの返事は必要なかった。彼の反応に関係なく、私はただ伝えたかった。
「私たちは、どうしてお互いに一番触れられたくないことを話し合えなかったのだろうか。その部分を越えて初めて、相手の思いに応えることができたのに。」
クラウスは、身動ぎ一つせずに私の言葉を聞き入っていた。
「私は、君と、もっと対話をしたかったよ。もっと深いところで君のことを認めたかった。ナチと反ナチの立場でね。」
クラウスは、ベッドの傍らの丸イスに腰掛け、私との目線が同じ高さになったのを確認して口を開いた。
「あるいは、・・・そうすることも可能だったかもしれません。でもそうならずに今まで来たのは、それはそれなりに意味があったからだと、私は、そう信じたいですね。」
「しかし、少し遅すぎた。」
クラウスは、言葉を発せずに私に反論した。私は今にも涙を流しそうだった。無論、涙の代わりに涙腺から血が滴り落ちるように思えてならなかったが。
 私は瞳を閉じて大きくため息をついた。彼にはまだ言っておきたいことがあった。
「私がもう一度、君たちと出会うことができるのなら、その時はぜひ、君の気の合う友人として迎えてくれないか?」
彼は、私の最期を感じていたに違いない。そしてそれは私の言葉で確信に変わったのだろう。一瞬きれいに切り揃えられた自分の爪に目を落とし、再び私に向いた顔は変わらず笑顔だったが瞳は涙で潤んでいるようだった。
「大歓迎ですよ!もちろんアネットもそう言うと思います。私たち3人がそれぞれ互いを違う人間として、認め合い、そして反発し会えるような、そんな出会いをいつか、してみたいですね。」
「そうだ。私たちはいつか、遠い未来にどこかで再び出会うことができるだろう。その時までに、この長く悲しい戦争が終わり、私たちが今までずっと背負い続けてきたものが昇華してくれれば良いんだが。」
優しい、義弟の眼から、とうとう涙がこぼれて落ちた。
「必ず、必ず、そうなりますよ。絶対です。」
「そんなに容易く言い切れるのか?君は神様か?」
彼を泣き止ませたくて、私は精一杯の笑顔を彼に向けた。
「いいえ。私は、人間です。」
彼は流れた涙を拭おうともせず、胸を張った。私は一瞬体中の痛みが一斉にどこかへ消え去ったような感じがした。
「私もだよ。」
私がそう言うと、クラウスはパンくずだらけの裾で、涙を拭った。
 目を閉じると、今までほんのわずかにしか存在していなかった、人間としての私が、クラウスに思いを伝えて満足そうに病室の天井を仰いでいる私に、静かに語りかけた。あの、チャップリンも、ヒトラーも、私たちと同じ、“人間”だったのだ、と。

(つづく)

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