すずしろ日誌

介護をテーマにした詩集(じいとんばあ)と、天然な母を題材にしたエッセイ(うちのキヨちゃん)です。ひとりごとも・・・。

質問(バックナンバー)

2007-04-24 19:04:48 | うちのキヨちゃん
 子供が物心付くと「何故何故どうして?」と質問責めにして、親を困らせるものらしい。けれど、大人になると往々にして知らないことがあっても、聞けなくなる物である。私なども友人の話に「知ったかぶり」で参加して、後でこっそり調べたりすることが良くある。
 しかしうちのキヨちゃんは今でも分からないことはすぐ聞くから素晴らしい。
 昔、冬のある日、父と三人でドライブに出掛けた。フロントガラスがどうしても曇ってしまうので、父はエアコンを調節したり、拭いてみたりしていた。
 「なあなあ父ちゃん。なんで(どうして)曇るん?」
 「ん?そりゃあ、外が寒うて中がぬくい(暖かい)からじゃ。」
 「へえ。外が寒うて中が暖かかったら曇るん?」
ほほえましいこんなやりとりの後、キヨちゃんはこう結論づけた。
 「だったら、中も寒うしたら曇らんのとちがう?」
・・・間違ってはいないぞ!確かにその通りだ。しかし、凍えながらのドライブは勘弁して欲しい。
 又思わぬ質問に「知ったかぶり」の私たちの化けの皮が剥がれてしまう場合もある。
 ある日、私は父にカシミヤのセーターをプレゼントした。大喜びの父は
 「おお、カシミヤじゃ。軽いのう」
と彼女に話していた。そこでキヨちゃん。
 「なあなあ父ちゃん、カシミヤって何?」
すると父は
 「うん。インドの上の方にな、カシミール地方ってのがあってな・・・」
素晴らしい!!さすがは父。
 「そこに育つ蚕じゃ。」
・・・・惜しい。カシミールまで出たのに・・・。
 「ほんならこれは絹と同じなん?」
キヨちゃんの質問に間違いに気づいた父だが、「大人」は後に引けないのである。
 「・・・うん。似たようなもんじゃ。」
たぶん、似てないと思うのである。


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コメント (2)
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