すずしろ日誌

介護をテーマにした詩集(じいとんばあ)と、天然な母を題材にしたエッセイ(うちのキヨちゃん)です。ひとりごとも・・・。

わいわい喧嘩

2007-12-08 23:32:02 | うちのキヨちゃん
 父が入院して、家族間では毎日にぎやかな喧嘩が起きる。内容は実にくだらない。
 キヨちゃんが自宅に泊まると
 「寂しくて眠れない」
と訴える。そのくせ、病院で何日も眠れないと身体がもたない!と安定剤を飲み、爆睡して父の訴えに気づかない場合がある。どうせなら、自宅で飲めよ!と言うことになる。
 父は点滴につながれて、毎日寝ている物だから、たまには幻覚が出る。夕べは点滴の速度を調整するつまみが動くと思ったらしく、点滴の連結部を引き抜いてしまった。結果、点滴液は漏れるは、出血はするは・・・てな事態となったらしい。
 「だからな、お薬の影響で、そんな風に見えたんじゃわ。」
 「いや、動くんじゃ」
 「動かんって」
と、不毛な押し問答をする。
 食欲のない父は朝ご飯を8時からはじめて10時までにようやく一口という日がある。かなり気長に、せかさずに見守る私でも、ついつい
 「もうそろそろ何か食べんと、薬の時間あるし、家に帰ってから困るで」
と言ってしまう。そこで
 「やいやい言うな。食えりゃ食うわ」
となる。
 腎不全の父はほとんど排尿がないので、尿意を催してから20分尿器を当てて待ち、結局出ないことがざらである。介護職の私は慣れっこだが、キヨちゃんはそうはいかないのでついついせかしてしまう。
 「母さんは私より年寄りなんやし、介護の専門ちゃうんやけん、同じにはいかんよ。」
とフォローするのだが、父にしてみれば、娘には甘いわけで、私の手柄を見つけては
 「ほ~れ、お前とは違う。」
とやってしまう。キヨちゃんもそうなると少しは拗ねてしまう。 
 今日も何だかくだらない喧嘩を三人で繰り広げたが、夕方父がスープと焼き芋を少し食べられたので、帳消しになった。みんなで
 「よかったね~」
と言い合って終わった。
 最後にほっとしたキヨちゃんが好物のコーラを飲もうとしたら、いきなり吹いて大騒ぎになった。着替えた服も床もコーラまみれである。
 「ごめんよ。私そっと持ってきたんやけどなあ。時間もたってるし、部屋がそんだけぬくいんかなあ?」
と謝る私に、キヨちゃんはこう言った。
 「いや、母ちゃんが振ったんよ。」
・・・?なぜ?炭酸を?
 「底の方においしいのが、たまっとる気がして、混ぜてみたん。」
やはり、何と言ってもムードメーカーは彼女である。ん?トラブルメーカー?

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コメント (2)
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