すずしろ日誌

介護をテーマにした詩集(じいとんばあ)と、天然な母を題材にしたエッセイ(うちのキヨちゃん)です。ひとりごとも・・・。

何年生?

2009-04-21 21:34:13 | ひとりごと
 担当利用者さんのお宅に訪問した。ご家族が中座している間に、本人(おばあちゃん)が話しかける。
 「あんた、何年生?」
・・・。若く見られたとは勿論思えない(笑)。
 「う~ん、学校はとうに卒業したんよ。」
 するとおばあちゃんはこう言う。
 「そうかい。学校卒業してお手伝いしよんじゃなあ。偉い偉い。」
もはや、幾つに見えているか聞く勇気がない。
 「で、あんた何年生?」
ここから、おばあちゃんのメビウスリングに入っていく。
 「えっとねえ、学校は卒業したんよ。」
 「そうかい。ほんなら、彼氏は出来たかえ?」
 ここで、切り口が変わってきた。
 「いや、彼氏できんのよ。」
 「じっくり選びなよ。焦ったらろくでもないのに当たる。」
・・・。じっくり・・・ねえ。
 「うん。かなりじっくり選び過ぎて・・・。時間かかりすぎなん。」
 ここで、私からも聞いてみる。
 「Tさんも、じっくり選んでご主人決めたん?」
すると彼女は笑顔で
 「じいちゃんは性格のいい人で、選ぶのに苦労せなんだ。とてもいい人だった。」
 「じゃあ、いい人だからすぐに決めたんじゃ。」
しかし、それには答えず
 「で、あんた何年生?」
とメビウスリングにはまっていった。
 現場を離れて、ケアマネージャーになってから、家族と相談することは多くなったが、じっくりとお年寄りと向き合うことが少なくなった。勿論担当する人とは関わっているが、こういう何気ない会話をのんびりとまったりとする事は少ない。久しぶりに、何だか幸せな気分だった。

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コメント (2)
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