言うまでもないが、うちのキヨちゃんは自分の世界を持っている。本人にそのつもりはないのだろうが、何年一緒に暮らしても同じ星の住人にはなれない。
先日キヨちゃんは新しい整体に行った。今まで一度行ったことはあるが、性に合わないのと金額がネックなのかそれ以来利用はなかった。というよりコリや痛みに縁遠い人だったのだ。
ところが最近年のせいもあって足を引っ張って歩くことが多くなった。そこで親戚のおばさんが通っている整体を紹介してもらった。どこまで本当か分からないが、一目でその人の患部が分かるという。おばさんに至っては話を聞いてもらっただけで、半分治ったというからある種びっくりである。
少し心配もしたがキヨちゃんはとても気に入ったようで予約までしてきた。
「もうなあ、仕方も丁寧なし、やってもろうてから楽なし。模型があってな、内臓のことまで全部分かるように説明してくれたん。」
キヨちゃんは喜々として語った。
「内臓の中ではな、心臓だけなんやって。」
得意そうに語るキヨちゃんの次の言葉を待ったが、いくら待っても続きはなかった。
「・・・。心臓だけが何なん?」
「・・・。知らん。」
キヨちゃんの言う分かるように説明とはこんなもんである。
また昨夜は大変蒸し暑く寝苦しい夜だった。私もエアコンを入れてみたり早くから網戸にしたりした。眠い目をこすりながらキヨちゃんを訪ねると彼女も眠れなかったらしい。
「もう、暑うてな。扇風機つけても消してもたまらんし。そうじゃ、明るいけん眠れんのじゃと思うて、灯篭消したらちっと眠れた。」
キヨちゃんは迷いもなくそう言った。灯篭とは言うまでもなく父の盆灯篭である。先日火入れをして、盆中点けるあれである。
「母ちゃん、灯消したら父ちゃんもんて来れんでよ。」
そういうと、初めてキヨちゃんは失敗に気がついた。
「父ちゃん、迷子にならんともんてきてよ。」
慌てて父に手を合わせるキヨちゃんであった。
ここをクリックしてお立ち寄りください。
先日キヨちゃんは新しい整体に行った。今まで一度行ったことはあるが、性に合わないのと金額がネックなのかそれ以来利用はなかった。というよりコリや痛みに縁遠い人だったのだ。
ところが最近年のせいもあって足を引っ張って歩くことが多くなった。そこで親戚のおばさんが通っている整体を紹介してもらった。どこまで本当か分からないが、一目でその人の患部が分かるという。おばさんに至っては話を聞いてもらっただけで、半分治ったというからある種びっくりである。
少し心配もしたがキヨちゃんはとても気に入ったようで予約までしてきた。
「もうなあ、仕方も丁寧なし、やってもろうてから楽なし。模型があってな、内臓のことまで全部分かるように説明してくれたん。」
キヨちゃんは喜々として語った。
「内臓の中ではな、心臓だけなんやって。」
得意そうに語るキヨちゃんの次の言葉を待ったが、いくら待っても続きはなかった。
「・・・。心臓だけが何なん?」
「・・・。知らん。」
キヨちゃんの言う分かるように説明とはこんなもんである。
また昨夜は大変蒸し暑く寝苦しい夜だった。私もエアコンを入れてみたり早くから網戸にしたりした。眠い目をこすりながらキヨちゃんを訪ねると彼女も眠れなかったらしい。
「もう、暑うてな。扇風機つけても消してもたまらんし。そうじゃ、明るいけん眠れんのじゃと思うて、灯篭消したらちっと眠れた。」
キヨちゃんは迷いもなくそう言った。灯篭とは言うまでもなく父の盆灯篭である。先日火入れをして、盆中点けるあれである。
「母ちゃん、灯消したら父ちゃんもんて来れんでよ。」
そういうと、初めてキヨちゃんは失敗に気がついた。
「父ちゃん、迷子にならんともんてきてよ。」
慌てて父に手を合わせるキヨちゃんであった。
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