すずしろ日誌

介護をテーマにした詩集(じいとんばあ)と、天然な母を題材にしたエッセイ(うちのキヨちゃん)です。ひとりごとも・・・。

あなまどい~前進座~

2010-09-16 22:16:39 | ひとりごと
 昨日は前進座の舞台観劇だった。作品は人情もの「あなまどい」である。

 あらすじを簡単に説明する。主人公の関蔵は徒士頭(かちがしら)である父久作と雨宿りをしていた。父久作は厳しいながらも心の優しい人であると、やり取りからうかがえる。
 そこへ足軽の金吾が病の妻を背負って通りかかる。上士に会えば平伏しなければならないのが掟。厳格な久作は「わずかな」時間、それを強いる。その後すぐ金吾の妻のためにかごを呼ぶように関蔵を走らせる。しかし、その間に妻は死んでしまう。
 怒った金吾は久作を切り捨て脱藩。そこから、あだ討ちの長い旅が始まる。新婚の妻を残し、結果実に34年の旅。その間、寝食にも苦労し身をやつしていく。
 一方妻も帰らぬ夫を待ち続け、家禄を預けた親類から生活費を止められながら34年の時間を過ごす。
 この後、様々な出会いや金吾との再会、そして戻ってからの話になるのだが・・・(長いので詳しくは調べてください)。
 あだ討ちは時代劇でもよく扱われるが、ルールは知らなかった。あだ討ちの申し立てが必要なこと、あだ討ちのあだ討ちは許されないことは知っていたが、あだ討ちを申し立て受理された途端、本懐遂げるまでもしくは相手の死が証明されるまで、帰ることが許されないことは知らなかった。だから、そのほとんどはあだ討ちできぬまま、帰宅することも出来ずに生涯を終えるのだという。
 そんな中で、新婚間もない妻を残して、それまで禄をいただいて食べていたのに、野菜を売ったり野宿をしたり物乞いをしたりしながら敵を探す。もはや武士の姿ではない。
 帰る当てのない夫を待ち続ける妻も凄いと思う。再会した時はお互いの顔も分からないほど年老いていた。
 話はこの二人の愛情が軸だが、長い年月を経て「会いたかった」と手を取り合う敵同士の孤独も胸を打つ。他の登場人物の有り様もそれぞれ深い。
 最前列のセンターなどという滅多にない席にあたり、俳優さんの目の中の涙のきらめきやはらりと落ちるさままで見て取れた。そして、34年と言う月日を見事に徐々に老けていく見事さ。見た目だけでなく、人生を通して人格なども変わっていく様が素晴らしい。
 久しぶりに感動した舞台だったので、涙があふれ、スタンディングオベーションで応えた。
この舞台の初演のあと、手をつないで帰るカップルが多かったという。残念!相手がいなかった。皆様、30年以上、誰かを待てますか??

*お昼ご飯。 見た目よりボリュームのあった丼。サラダバーと根菜類の沢山入ったスープがお変わり自由で640円。


*年甲斐もなく買ってしまった20%オフの秋物。



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コメント (5)
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