すずしろ日誌

介護をテーマにした詩集(じいとんばあ)と、天然な母を題材にしたエッセイ(うちのキヨちゃん)です。ひとりごとも・・・。

悪い酒

2016-06-23 21:34:25 | うちのキヨちゃん
 うちのキヨちゃんは焼酎を飲む。ずっと飲んでいたと言うわけでもないが、元々鹿児島で姉妹はみんな酒豪だ。キヨちゃんも焼酎は結構濃い。だが、むらがあって飲む時は晩酌が続くが、
 「飲まない。」
と決めたら当分飲まない。まあ、例えば医師などに言われたりするとだ。
 さて、濃い酒を飲むので、減りも早い。この前買ったと思ってもすぐ無くなる。それでも、悪い酒ではないので、無くなる前に私が気付いても買ったりもする。
 しかし、時々キヨちゃんは悪い酒になる事もある。父がいた頃も、メンタルの弱いキヨちゃんは、父の出稼ぎの間(私は大学で寮生活)、一人が寂しくて飲んでは泣いていた過去がある。また、介護疲れでちょっと悪い酒になった時期もあった。
 さて、これが最近は私の残業や自分の身体が思うように動かないことへのイライラから、飲んだら日によって悪い酒になる。
 昨日は20時まで残業だったので、これは絶対に怒っていると思いきや、普通に起きてきて、それからくりりんと3人でわいわいとテレビを楽しんだ。
 ところが、今夜は、
 「流石に続いたら切れるだろう。」
と、本当は全然仕事が追いついていないのだが、明日に記録を回して、とりあえず19時過ぎで終えて戻ったのだ。
 くりりんが言うには、早めに戻ったくりりんが一緒にトマトを収穫したり、お風呂を準備して先に入ってもらったりした頃は、普通と言うか上機嫌だったようだ。しかも「VS嵐」の日だ。
 それが飲みながら待つうちに悪い酒になった。私の、
 「ただいま」
をきっかけに、どっから出るんだと言うような声で慟哭した(小芝居は入っているが、号泣と言うか慟哭と言うかとにかく、ものすごい声だ)。
 「あああ、母ちゃんは足が痛い。こんな体で這いずりまわって、ようやっと炊事して。」
 後色々ぐずぐず言っていたが耳に入らない。見ると湯呑の底に焼酎がちょっぴり残っている。
 「あのな、飲んでグズグズ言うんなら飲まれん!私やって遊んでもんたんちゃうけん。」
 「母ちゃん、酒や飲まん・・・、ちっとしか飲まん。グズグズや言うたことない。ずっと辛抱しよる。」
半分以上焼酎の水割りはちょっとではないと思う。湯のみだし・・・。で、愚痴聞かない日の方が無いじゃないか。
 まあ、それでも、ベースには、
 「わかっとる。お前も仕事じゃけん、可哀想なと思うけん、しよるんじゃ。」
がある。
 「だから、出来る時はしたらええし、無理な時はせんといて。」
と言うも、
 「すぐにするなするな言うけど、母ちゃんがせなんだら事足らん。」
と言う。まあ、性分だわな。
 しかし、それこそ酒が切れるように、くりりんが離れから食事に来た頃にはすっかり機嫌は直っていて、VS嵐の続きを存分に楽しみ、世間話をして眠った。
 何のこっちゃの酒である。

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コメント
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