すずしろ日誌

介護をテーマにした詩集(じいとんばあ)と、天然な母を題材にしたエッセイ(うちのキヨちゃん)です。ひとりごとも・・・。

心穏やかではない事

2013-08-02 19:29:31 | うちのキヨちゃん
 うちのキヨちゃんは鹿児島出身である。鹿児島の実家は既に無く、キヨちゃんは帰るべき家が無い。男兄弟は戦争に取られて亡くなっており、一番上の姉が鹿児島にいたが、その伯母も数年前に他界した。
 福岡にすぐ上の姉がいて、何くれと無く面倒を見てくれているが、伯母もよる年波には勝てず、最近は介護サービスを利用しながら養生している。
 実は鹿児島にはもう一人伯母がいて、いつもキヨちゃんは心配していた。病院に入院していたが、この度長男が本州の自宅に連れて帰ったのだ。
 そういうと、退院して長男が在宅介護していいじゃないか・・・と言う話であるが、そう簡単な事ではないのだ。
 どういう事情があったのかは、ほとんど付き合いの無い私たちには分からないが、県外に住む子どもたちに代わって、度々世話をしてくれたのは、一番上の伯母であり、伯母亡き後はその息子さんやお嫁さんである。
 息子さんにしたって、決して元気なわけではなく、闘病生活をしながら・・・である。また福岡の伯母や従兄弟たちもあれこれ心配して動いてくれていた。
 キヨちゃんにしても、連絡がつかないといっては、長男に電話して自分の息子を叱るように意見して来ていた。
 それが、病院を出なくてはならなくなり、どうしていいのか分からない状態だったのだが、地元の施設に受け入れ先があったと長男が迎えに行く事になったのだ。
 この仕事をしていて、そんなに簡単に施設に空きがあるなんて、しかも県外からの受け入れで、よくあったものだと感心していたが、連れて行く日にばったり従兄弟の奥さんが出会い、事情を聞くと家につれて帰って介護するという。
 車で何時間もかかって、車で1泊して寝たきりの年寄りを運んだと聞いた時は寒気がした。キヨちゃんが
 「ご飯はどなにしたん?」
と聞くと、弁当を買って食べたという。果たして伯母がコンビニ弁当を食べられる状態かどうかも分からず、心配ばかりだ。本当に覚悟の上で始めるのだろうか。
 キヨちゃんにしてみれば、どんなことがあっても、結局はかわいい甥だから、心配もする。姉の事はそれ以上である。しかし、私は許さない。
 今までの伯母たちや従兄弟たちのことを思えば、どんなに気まずくても立ち寄ってお礼を言って帰るべきだ。それをばったり出会わなければ、逃げるように連れ帰るつもりだったのではないか。しかも、施設なんて嘘をついて。
 どんなに遠くても、施設にいれば、キヨちゃんを連れて行くことも出来る。しかし、家では会わせる事も難しくなる。それも悔しい。
 どうか、私の考えがはずれ、きちんと介護してくれて、
 「私が見損なっていたね。悪い事言ったね。」
とキヨちゃんに話せる日が来ればいいのだけど・・・。


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2 コメント

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こんにちは (たぬっぺ)
2013-08-03 14:50:46
とても簡単に介護のことを考えている人達って多いですよね。
祖父が車いすに乗っていた時、叔父が段差も排水溝も気にせず突き進んでいく姿に父は恐怖を覚えたそうです。
父が簡単そうにやってるから自分にも出来ると思ったとか。それはおいらや妹がいたからで。。。

でもね、すずしろさん。そんなでも連れて帰ってもらえるだけ幸せなのかもしれません。
先日、病棟の患者さんが意識がなくなって息子さんに職員が連絡を取ろうとしましたがなかなかとれずやっととれたら今度は来てもらうのに苦労したとか。
幸い持ち直して今は元気になりつつありますが高齢なのでこの先もいろいろと心配です。
どうして親を人任せに放っておけるのだろう?
おいらにはわかりません。
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たぬっぺ様 (すずしろ)
2013-08-03 21:34:21
擁護するわけではないのですが、たぶん、みんな色々事情があるのだとは思うのです。
だから、今回自分で介護しようと思ったことは、認めてあげるべきかもしれません。
ただ、人としてきちんとしてほしかったし、心底伯母が心配だったりするので・・・。
返信する

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