すずしろ日誌

介護をテーマにした詩集(じいとんばあ)と、天然な母を題材にしたエッセイ(うちのキヨちゃん)です。ひとりごとも・・・。

命をもらって・・・

2007-04-13 00:33:12 | ひとりごと
 今日は祖母の命日だ。私の祖母は明治の女らしく、とても凛としたクールビューティだった。今写真で見ても、明るい顔はしていない。厳しい顔をしている。しかし、どこまでもどこまでも美しい。
 そんな祖母だが、私には優しい祖母だった。あまりに幼くて記憶にあることの方が少ないのだが、いつも手をひいてお買い物にいった記憶がある。
 「あ~ぶら買いに、塩買いに~」
そんな唄を歌っていた気がする。たぶん3歳になっていたかどうか位の記憶だ。その後、私たち親子は田舎を離れることになる。
 そもそも私は、田舎に戻る予定はなかったのだ。父の仕事の関係で、親子で姫路にいたのだから。幼稚園の入園も決まって、真新しい制服に袖を通した頃、祖母が倒れた。
 いつどうなるとも分からない祖母の記憶は実はない。私は田舎に戻って、地元の幼稚園に遅れて入園したその日、交通事故にあって生死の境をさまよっていたのだ。運ばれていく時、私は母に「ばあちゃん、ひとりでうんち出来んのじゃけん、ばあちゃん見よらな」と言ったらしい。私は自分が死にそうだという実感が全くなかった。頭部をひどく打っているのに、鮮明に話すのは返って良くないのだと、医師は告げた。
 私が峠を越した頃、祖母はこの世を去ったそうだ。しばらくして、その事実を病院で聞いた私は「ふ~ん」としか言わなかった。恐いくらいにその場面は覚えている。「ふ~んって・・・」と涙ぐむ母の悲しげな顔も。私には言葉の意味が理解できていなかった。
 私がその事実を受け止めたのは、退院して祖母の姿が実家にないことに気づいたときだ。その時、私ははじめて泣いた。
 今でも、私の命は祖母に貰ったと思っている。だから、なおさらこの命は大切に無駄なく生かさなければと考える。弱い気持になった時は、祖母の厳しい美しい顔を思う。そして、私も誰かに命をつなげるような、凛とした生き方を目指そうと思う。


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ぎゅっ(バックナンバー)

2007-04-11 22:45:11 | じいとんばあ
    ぎゅっ

 何だかとても愛しくなって
 思わず ぎゅって抱きしめてしまう
 あなたは決まって 笑って抱きしめ返す
 まるで孫や子供にそうするように
 頭を撫でてくれる

 抱きしめられてるのは
 たぶん 私の方
 そんなあなたの真っ直ぐな思いに
 甘えているのは 私の方

 それでも やっぱり
 ぎゅってしてしまう
 あなたのために 何かしたい
 そして
 あなたのぬくもりが
 私を支えてくれている


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愛は地球を救う号

2007-04-11 00:29:21 | ひとりごと
 本日第一回目の訪問入浴を迎えた。ご存じの方もおいでとは思うが、一応説明したい。 訪問入浴は自宅の浴槽を使う場合と、訪問入浴車の浴槽を使う場合がある。立地条件や自宅の居住環境など様々な事情で変わるが、大体は後者である。
 訪問入浴車はその中に浴槽などがばらばらで積まれており、車そのものにお湯を入れて運び車で沸かすことが出来るのだ。そして、ばらばらの浴槽やホースや諸々をスタッフが自宅まで運び、自宅の部屋まで運んで組み立てる。(コマーシャルとかで見た人もいるだろうが、山道で車が入らない場所など、かなり重いこれらをうんせうんせと運ばなければならない)ベッドのそばにスペースがあれば、ベッドから「せーの」で、浴槽に入れる。専用のネット(ハンモックのようなもの)があり、その上に横たわる。ゆっくり湯船につかり、身体を洗い、シャワーで流す。排水は長いホースで屋外まで運んで捨てる。
 うちの「愛は地球を救う号」は、ホームに温泉が出ているため、運ぶのも「温泉水」である。だから、自宅にいながらにして温泉に入れるのだ。湯冷めがしにくく好評である。
 一人訪問入浴が終わると、一度会社に戻り、浴槽類をすべて洗浄し消毒する。お天気なら天日干ししてから、次にまたお湯を溜めて出発する。結構手間である。
 さて、我が家に今日「愛は地球を救う号」がやってきた。父の体調もよく、寝室の隣の部屋に浴槽をセットして入浴した。ナースによるバイタルチェックの後、いよいよ入浴。寝てはいるお風呂は初めてで、とまどいもあったようだが、スタッフの丁寧な応対と「温泉」の気持ちよさで、父の感想は上々だった。母も大変喜んでいた。スタッフも普通の入浴だけでなく、父は腹膜透析のチューブが入っており、その出口部の消毒とガーゼ交換もある。担当ナースは初めての経験(腹膜透析)だったようだが、手際よくこなしてくれた。
 母が用意したお茶類は「仕事ですので」と遠慮されたらしい。(ちなみに私が訪問入浴に行っていたころは、いただいていた。一応お断りするのだが、田舎は田舎の流儀があり)
 何にしても、好スタートだった。次回を家族共に楽しみにしている。
書いているうちに、昨日の話になっちゃった・・・。


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訪問入浴

2007-04-09 20:24:48 | ひとりごと
 いよいよ、父も明日から訪問入浴がスタートする。家風呂に私が勤務と折り合いを付けながら入れていたのだが、それでは回数も入れないし、第一コンスタントに入るわけにはいかない。父の体力も歩行の安定感も低下しているわけで、私の腰もきつくなっており、父の負担も考え、ついに・・・という感じだ。
 勤め先のスタッフに頼むのは、こちらもあちらも気疲れする部分もあるが、頼みやすくもある。第一スタッフがどういう人物かまったく分からないよりはいい。
 担当ケアマネージャーの丁寧な説明も両親は好感を持ったようで、今から楽しみにしている。今日事前調査にスタッフが訪れ、その丁寧な対応にも安心していた。私も一安心だ。とにかく試してみないことには、分からない。それから、少しずつやりやすいようにお互い話をしていこう。
 さて、シャンプー、石鹸、タオル、ガーゼの交換キット、etc.何から準備しようかな・・・と母も今からどきどきだ。
 「お茶・・・がええかな?コーヒー?ジュース?お菓子は?」
あ、そっちも心配かあ。
 明日仕事から戻ったら、両親から(特に母から)いっぱい報告があることだろう。嬉しい報告だといいなあ。スタッフを信頼して、おまかせするか。


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王様の耳(バックナンバー)

2007-04-07 19:04:51 | じいとんばあ
    王様の耳

 毎日毎日 自分に言い聞かせる
 優しくあろう 穏やかであろう
 だけど
 心に溜まった澱が 体の節々に溜まってくる
 膝が痛い 肩が重い 指が動かない
 毒が体に回って 心が悲鳴を上げる

 王様の耳はロバの耳
 王様の耳はロバの耳
 河原に掘った大きな穴に 心の中の毒を吐いたら
 少しは楽になれるだろうか
 この世の中の ありとあらゆる悪口雑言を
 地中深く 叫びたい

 王様の耳はロバの耳
 王様の耳はロバの耳
 だけど 
 アシのささやきが風に乗って
 私の毒をまき散らしたら
 たぶん誰よりも
 自分自身が嫌いになる

 どうすればいいの
 どうすれば 人も自分も救われるの

 答えが見つからない
 見つからないから 又毒を溜める
 そして 喉を突き上げる

 毒を吐かなきゃ
 やっぱり毒を吐かなきゃ
 小さな小さな穴を掘って
 小さな小さな毒を
 少しずつ少しずつ吐いてみる

 慌てて穴に土をかぶせて
 あたりを伺うと
 他にもいくつか 土の山

 ああ そうなんだ
 みんな毒を持っている
 みんな悩みながら 戦ってるんだ

 “怒りは未熟者のわがままさ”
 そう書いた墓標を
 土の山に深く差し込む


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口内炎・・・?

2007-04-06 11:49:36 | ひとりごと
 私はよく「口内炎」ができる。しかも、大体同じ場所なのだ。下唇の内側、右側。そして、一回出来るとなかなか治らない。
 ビタミン剤を飲んでみたり、肩こりをほぐしてみたり、いろいろ試すのだが、かなり時間がかかるのだ。
 口内炎と言えば、以前こんなことがあった。
 今の職場に就職して間もない頃、おなじみの「口内炎」が出来た。それこそ、ビタミン剤を飲んでみたり、食事に気を付けたりしたのだが、治らない。同時期に口内炎になった同僚が治っても、私は治らない。あまりに長いので、ついに病院にいくことにした。
 ドクターに状態を説明し、口内炎を診てもらう。すると、ドクターはおもむろにこう言った。
 「これは、口内炎ではありませんね。」
 「へ?」
 「口内腫。腫瘍です。悪い物じゃないと思いますが、大学病院に紹介状書きますから。」
・・・・・。私は目の前が暗くなる思いだった。「腫瘍?」どうしよう。悪い物じゃないったって、紹介状?大学病院?こんな場所だし、切開するとかなったら、どうしよう。
 しかし、悪いことは重なるもので、そんな矢先に人事異動。私はしばらく土日休みの部署へ。まだ、職員にもなじめず、仕事にも慣れず、私はどうしても「お休みください」とは言い出せなかったのだ。そして、病院に行くことも出来ず、時間が過ぎていった・・・。

 ところが、そんなことをしているうちに、「腫瘍」は跡形もなくなくなってしまったのだ。紹介状は車のダッシュボードでセピア色に。
 あれは、本当に「腫瘍」だったのだろうか?口内炎が出来る度、心配になるのだが、どうしても病院へは行けない私である。

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けじめ(バックナンバー)

2007-04-04 22:48:25 | じいとんばあ
    けじめ

 私が 勤め始めた頃
 幼なじみのばあやんがいた
 幼い頃から 孫と同じように世話してくれて
 ご飯もたびたびご馳走になった

 私の入社を 心から喜んでくれたばあやんは
 次の日から 私を名字で呼んだ
 厳しかったばあやんは
 そうすることで けじめをつけたけど
 二人きりの時だけ こっそり名前で呼んだね
 そんなばあやんに
 私も名字で呼んで 応えた
 そんなばあやんを 尊敬してたから

 ばあやんの終末が近づいた頃
 私のことを名前で呼んで
 「帰りたい」ってつぶやいた
 帰ろうね 元気になってもう一回お家に帰ろうね
 精一杯 声をかけた

 優しい優しいばあやんは
 家族を少しうたた寝させて
 そのスキを狙って 旅立った
 「私がうとうとしたから」

 取り乱した家族は そう言って泣いたけど
 ばあやんは きっと見送られるのが辛かったんだ
  
 ばあやん
 もう ばあやんって呼んでもいいよね
 もう 私をちゃんづけで呼んでいいよ

 わがままだって 言って良かったのに
 無理だって 言って良かったのに
 甘えたって 良かったのに・・・
 けじめなんて
 つけなくて よかったんだよ


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進化し続けるキヨちゃん

2007-04-03 11:14:33 | うちのキヨちゃん
 うちのキヨちゃんの天然ぶりは、度々紹介しているので、もうみなさんも詳しくなったことだろう。しかし、進化を続ける彼女に、私はまだまだ付いていけない。
 以前、携帯電話に話しかけると、勝手に文字になって送信され、それが「メール」になると信じていた話を書いた(メール、参照)。
 これが彼女なりに進化すると、どういうことになるか分かるだろうか?
 ある日、私はキヨちゃんと買い物に出掛けた。途中から生憎の雨となる。そこで彼女はつぶやく。
 「まあ、お隣洗濯物干したままだった。大丈夫かな?」
それは、大変。電話してあげなくちゃ・・・と私は車を寄せ、携帯を取り出した。ところが、私の携帯にはお隣の電話が記憶されていなかった。
 「困ったなあ。電話番号わからんわ。」
 「どんな?洗濯物、取り込んだ?」
 「いや、ほなけん、電話番号がわからんのよ。」
 「え、これカメラ付きに変えたけん、見たらお隣の様子わかるんとちがうん?」
・・・・。すごすぎる!どんな未来の電話なのだ。
 また、買い物メモが解読不可能なものがある話も書いた(買い物メモ、参照)。さて、読んだ方、問題です。これは何でしょう?覚えてますか?
 1,乳牛
 2,タンコブ・・・さて、おわかりかな?
 
 今回の新作は「ベンババアー」である。
「便・・・婆ぁ???」私もかなり考えたが、どうしても分からなかった。もしお分かりの方がいたら、表彰状ものの名探偵です。たぶん、コナンくんでも分からないだろう。何故、「ベンババアー」なのか、その根拠がわからないのだから。
 さて、答えを聞くと彼女はこう答えた。
「テッシュペーパー。私が読めたらええの。」
・・・・。良くないと思うのだが・・・。買い物する私はいつまでこの推理とつきあうのだろうか・・・。恐るべし、うちの進化する母。


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かわいい天使たち

2007-04-01 10:57:56 | ひとりごと
 先月私は研修だらけだった。疲労で口内炎は治らないは、肩は凝るは、腰やお尻も痛くて、やはり座り続けるより現場で動いてる方がいいなと感じた。
 そんな最中、私は友人の家に一泊した。二人の兄妹は「ウルトラマン」や「猫の恩返し」や「ダイナソー」の話を次々話し、交替で膝に乗ってくる。なんとも至福のひとときだった。
 その家では、子供が夜寝ないと、「ろくろっ首」が出る!といって脅すのだ。まだ「おばけ」を信じる年頃、これは結構効き目がある。しかし、お兄ちゃんんほうが、少し成長し「もしかしたら、いないんじゃない?」と思い始めていた。
 
 「ほら、ふたりとも、短い針が9にきちゃったよ。早くお布団に入らないと、ろくろっ首が来るよ。」
母親が言うと、お兄ちゃんが答える。
 「うちには来ないもん。見たこと無いもん。」
これは困ったな、手助けしなきゃ・・・と、私が口を挟む。
 「すず(しろ)ちゃんは見たよ。」
・・・。お兄ちゃん固まる。
 「う、うそだあ」
 「ううん、だってカーテンの隙間から覗いててすずちゃん恐くてお布団かぶって寝たもん」
 「すずちゃん、ほんまに見たん?」
しめた、信じてくれたようだ。そこで、つい私は調子に乗ってしまった。
 「ろくろっ首、レモンかじりよったよ。」
この余計な一言で、一家は大爆笑。母親がフォローに回った。
 「すずちゃんはガラスに映った顔を見間違えたのよ。」
 「え~、そっかなあ、すずちゃん、自分とおばけ間違えたのかなあ?」
私が、今度は落ち込んでみせる。すると、笑っていたお兄ちゃんが私を気遣った。
 「あのな、僕もすいか食べてる自分を見て、あ!カッパだ!と思ったことあるよ。」
・・・。なんてかわいい。こんな小さいのに、恥かかせないように気遣ってくれたんだ。
 体中の痛みがなくなるようだった。育てるのは大変だろうけど、子供っていいなあ・・・。


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