すずしろ日誌

介護をテーマにした詩集(じいとんばあ)と、天然な母を題材にしたエッセイ(うちのキヨちゃん)です。ひとりごとも・・・。

重なる時は重なるもので・・・

2007-10-13 20:06:36 | ひとりごと
 先日同僚の介護士のお義母さんが倒れた。涙目で「しばらくお休みします」と報告に来ていたようすから、深刻な事態であることは見て取れた。同時期ナースの一人が病に倒れた。折しもナース一人が産休に入ったところだから、ナースも大変だ。
 介護の現場も若者が二人退職した。
 そんな中、昨日は小学生の職場体験学習の受け入れがあった。休んでいる人の勤務調整で、たまたま上の人もみんなお休み。私が中心にやることになった。
 ところが、フロアー担当を見ると、一人は真っ青一人は真っ赤な顔をして仕事していた。ふたりとも「胃痛」と「悪寒」を辛抱しながら、働いていたのだ。午前中に一人がリタイヤ。もうひとりは「がんばる!」と無理をしていたが、まわりが「無理しないで」と諭して午後には返していた。
 人手のない中、小学生の歌や演奏を聴いて貰うために、入所者を誘導する。ありがたいことに、入所者は大喜びしてくれた。それから、見守りながら子供たちに車椅子を押して貰って、食堂まで誘導。配膳や一部食事介助も体験して貰う。午後はシーツ交換の体験。小学5年生でリボン結びが出来ない子供がいることに驚く。さらにフォローに入った先生の手つきも怪しかった・・・。
 気を遣いながらも何とか体験学習は終わった。その後しばらくシーツ交換をしたあと、私は通院介助に出た。人手のないときだったが、高熱で付き添いのいる方がでたのだ。大きな病院ではないので、さほど時間はかからないと思ったが、点滴の指示。
「点滴はここでしますか?持ち帰ってしますか?」
そう聞かれたので、ナースに確認する。スタッフが少ないのだから、少しでも早く帰りたい。だから持ち帰った方がいいはずだった。ところがナースは困惑していた。
「さっきな、ナースのひとりがお義父さんが危篤になって帰ったん。私ひとりじゃ手が回らない!」
・・・。それでは点滴してから戻るしかない。
 戻ってみると、ちょうど食事の時間。食事介助、排泄介助、着替え・・・と仕事をこなして、勤務時間を終えると少ない人数で現場に残ったスタッフは疲れ果てていた。私もくたくただった。
 しかし、重なるときは重なるものだ・・・。
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おばちゃんの間違い電話

2007-10-12 00:34:27 | ひとりごと
 田舎に限った事ではないのかもしれないが、おばちゃんの間違い電話がとても多い。本人は間違えるつもりは毛頭ないのだろうが、目が薄かったり、指が勝手に違うところを押していたり・・・とけっこうな確率で間違える。
 うちのキヨちゃんにしてみても、1212という番号を見ながら、「1212」と復唱しながら指は1122と押しているのだから、ほかのおばちゃんたちも似たり寄ったりだろう。
 先日うちに間違い電話がかかった。
「あ、うちです。カットして欲しいんやけど・・・。」
話し方から行きつけの美容院にかけたいらしいことは解った。
「すいません。うち美容院じゃないんです」
「まあ、すいません」
ここまでは、どこでも同じ光景だろう。しかし、田舎のおばちゃんはここからが違う。まず、結構な確率で後数回かかってくる。3回目くらいにはついついこちらからアプローチをかけてしまう。
「え・・・っと、どこにかけたいんですか?」
「A美容院。」
「それは何番ですか?」
「22-1122」
「えっとねえ。それは確かにうちの番号ですねえ。書き写し間違えてませんか?」
「いや、確かにこの番号にかけたし、いつもこれで繋がるんじゃ」
まちがうけれど、結構な確率で、おばちゃんはそれに気づかない。なんとか解ってもらったら、今度は質問される。
「何番にかけたらええんだろう?」
「104できいてみてくれますか?」
しかし、これで安心してはいけない。結構な確率で、もう一度かかってくる。だから、念のために、こちらでも美容院の電話番号を調べておく。
 案の定、またかかってきた。
「あれ、おかしいなあ。104で聞いたらな、1112じゃって言うんよ。で、そうかけたのに、またあんたが出た。」
「そうみたいですねえ・・・。たぶんねえ、指がね1122って押してるみたいですよ~。もう一回、ゆっくり押してみてもらえますか?」
こんなやりとりがあって、ようやくおさまるのである。
 ところが上には上がいたものだ。会社の同僚がこんな話をした。
「間違い電話があってな。お店と間違えたらしいん。でな、『去年送ってもらったスダチが美味しかったので、送ってください』って言うんよ。で、うちは違いますし、そのお店はもうありませんよ。って言うたらな、『どこかお店知りませんか?』って言うんよな。聞いたら県外の人でな。でも店とかそんなん知らないし、冷蔵庫見たらうちのスダチと栗があったけんな、送りましょうかって話になったん。で、準備しよったらな、また電話。『主人に怒られました。見ず知らずの人にご迷惑なって』って言うん。でも、もう荷造りしとったけん、送ることになったん。」
 おばさんは、間違い電話でも転んだままでは終わらない。そして、田舎の若者はおばさんの間違い電話に寛容である。そしてお人好しである・・・。

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貧血、低アルブミン、低血糖・・・

2007-10-10 08:07:15 | ひとりごと
 父の介護をしていて、気になるのは血液検査の結果である。
 父は貧血がひどく、アルブミンが極端に低い。そして、たまに起こす低血糖も恐い。アルブミンはタンパクに由来する数値である。つまり、栄養がぜんぜん足りないのだ。
 たんぱくは、腎臓が悪ければ普通高いのがあたりまえで、蛋白摂取は制限されるのが普通だ。しかし、腹膜透析を始めると、血液透析と違い、毒素と一緒にたんぱくなどの栄養素も流れてしまうらしい。だから、食の細い父にとっては、かなり頑張らなければ栄養が追いついていかないのだ。父の場合、腎臓が悪ければ制限されるはずのカリウムも不足していて、薬でおぎなっている。同じ病気の血液透析の人に「くだものが食べられていいなあ」とうらやましがられる。
 また、たまに起こす低血糖は本当に恐い。今はインスリン投与はしておらず、ごくたまに過血糖の時だけ投与している。しかし、その後気を付けなければ、一気に血糖値が下がってしまうことがある。そして、投与していなくても、突然起こすこともある。
 先日の通院日。食後2時間の血糖値が148.この数字で低血糖を起こすなんて思わなかったが、念のために缶コーヒーを半分ほど飲んで貰っていた。思いの外受診が早く終わったので、食事は帰りに食堂でとることにして、スーパーへお買い物に。疲れるので、父は車で待ってもらった。これも、いつも通りだ。
 さっさと買い物を終えて戻ると、父が
「父ちゃん、あんパンが食べたい」
と言う。
「あげパンならあるけど?」
「いや、あんパンが食べたい」
その言いぐさに危機感が無く、そのままコンビニであんパンを買って渡したが、実はその時父は低血糖を起こしていたのだ。低血糖を起こすと目が見えにくくなり、手もしびれてうまく動かせなくなる。私たちが店に入るやいなや、症状に気づいた父は、かばんから手探りでブドウ糖と茶を探し当て、震える手で口に運んだらしい。それでも心許なかったので、「あんパン食べたい」になったのだった。この際、あんパンだあげパンだと言っている場合じゃないと思うのだが・・・。
 この時から、父を一人にする時は、ブドウ糖と水分を手に持たせて離れることに決めた。
 食べて貰う事も大事。手を替え品を買え提供してみる。低血糖や過血糖も恐い。貧血も栄養不足も困る。まだまだ問題はあるけれど、気長に頑張っていこう。なにより、父が頑張っているのだから。

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運動会

2007-10-08 07:29:31 | じいとんばあ
山の小さな小学校
全校生徒 十数名

お母さんも 走ります
お父さんも 走ります
卒業生も 走ります
ご近所さんも 走ります
じいとんばあも 参加します

落ち着かなくて 5分もじっとしてられない
そんな あなたが 見つめてる
半日じっと 座ってる
一日何度も 「帰りたい」
泣き虫ばあちゃん 笑ってる
まるで 自分の孫みたく
手を叩いて応援する

小さな子供は 魔法使い
私たちの献身も
あの魔法には かなわない

仮装レースに 出てみたの
スプーンレースも 出てみたの
子供たちに 車椅子を押して貰いつつ
選挙さながら 手を振るおじいちゃん

今日は「帰りたい」は言わないけど
「まだ ここにいる」ってだだこねる
うれしいような
悲しいような


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衣替えもひと騒動

2007-10-06 00:18:06 | うちのキヨちゃん
 うちのキヨちゃんは片づけが好きである。それは、大変いいことなのだけれど、大抵、片づけた場所を忘れる。次使う時には、骨を埋めた犬のごとく探し回らなければならない。
 そして、キヨちゃんの片づけには油断がならない。
 「コンビニでお金を振り込んできて」
と頼まれたとする。机の上に振り込み用紙を置いて、身支度に行く。お金を用意して、さあ行こうと思うと、あったはずの振り込み用紙がない。聞くと、
 「ありゃ、まだおったんかえ。いらんのかと思うて捨てた」
なんて答えが帰ってくるのだ。
 また、父を病院に送るとき、さて、父に靴を履かせよう思うと、靴がない。自分の靴を履けばいいのに、父の靴を履いてキヨちゃんは、荷物を運んでいるのだ。ようやく父に父の靴を履かせて、私がお出掛けようの靴に履き替えようとすると、出してあった靴は見事に靴箱に片づけられている。まったく油断も隙もない。
 さらに、寒くなってきたので、衣替えをしたのだが、ここでもひと騒動合った。
 まだコタツの季節ではないのだが、父は大変な寒がりなので、電気カーペットを敷くことにした。ご存じとは思うが、電気カーペットは電気で暖めるカーペットとその上に敷くラグとの二重になっている。しかし、いきなりキヨちゃんはラグだけを敷こうとしていたので、突っ込んでみた。
 「下に電気カーペットしかな。」 
 「電気カーペットしきよるでえ。」
 「いや、電気カーペットは電気が通ってるんで。これは、上に敷くやつ」
それからふたりして探し回ったが見つからない。さんざん探し回った後に、彼女はこう結論づけた。
 「・・・、かあちゃん、間違うて粗大ゴミに出したかも・・・。」
確かにその可能性は高かった。黒くて地味なカーペットを「いらないもの」と思ったのかもしれない。
 まったく油断も隙もないキヨちゃんである。

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ギャル曽根への道は遠い・・・??

2007-10-05 00:08:03 | ひとりごと
 今日久しぶりに、回転寿司に行って来た。職場の友だち3人でである。
 この3人、とにかくよく食べる。ストレスなんてあった日にゃあ、とんでもないことになる。だから、当然、リーズナブルなお店へ。
 お皿をタワーにしてみたが、、平均一人10皿。そう考えると、ギャル曽根はすごいなあと思う。まだまだ修行が足りない・・・。
 それでも、甘い物は別腹だからと、帰りにアイスクリームを食べてしまった。
 ふと気づくと、見下ろす場所にお鏡餅が・・・。
 「明日から、ダイエットしよ・・・」
と密かに反省する私である。
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倫理観、正義感、達成感・・・

2007-10-03 20:01:43 | ひとりごと
 前述の「ここに 未来はありますか」について、少し書いてみたい。
 うちは田舎の老人ホームで、高齢の嘱託医がいた。ドクターは実に昔の「町医者」で、入所者からも愛されていた。腕の程は、大きな病院のドクターには及ばないかも知れないが、どんな時間の呼び出しにも応じてくれて、常にお年寄りの事をひとりひとり把握していた。来た日には必ず手をとって、声をかけて、文字通り「手当」をしてくれたのだ。
 そのドクターもよる年並みには勝てず、転倒から引退に追いやられた。折しも田舎に僅かしかない病院のドクターが、高齢で次々他界。近隣のドクターに嘱託医をお願いしても、受け手がいない。利益が少なく、しんどいだけなのに、責任があるから。
 医者の倫理観や正義感を考えたら、世間からブーイングが出そうだが、医者も人、そういわれれば仕方ない。
 ようやく嘱託医が決まっても、「夜間の呼び出しは禁止」と先制攻撃。カルテは見ても患者は診ない。それでも、ありがたがらなければならない。
 介護職も人手不足。志がなければ、こんな職場では続かない。志があっても達成感がなければ、本当にしんどい。どんなにきつくても、やりがいがあるから続くのだ。お金が少なくても、達成感があればやっていける。しかし、職場が後ろ向きだと、心がきしきししてくる。
 正直お金がたくさん欲しいわけではない。けれど、それすらなければ、人は増えない。増えなければ、負担が増えて、「やさしいひと」までいらいらする。
 「使えない新人」が入っても、厳しく指導したら続かない。命の現場だから、責任感のない人には辞めて欲しいくらいだ。しかし、次が入らない。
 一番の被害者はお年寄りだ。だからこそ、がんばりたいのだ・・・。

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ここに 未来はありますか

2007-10-03 04:18:47 | じいとんばあ
思いがあるだけじゃ
どうにもならないね
今日も また 人が去る

握りしめたこぶし
壁にぶつけてみたって
何ひとつ 変わるはずもない

医者不足 介護士不足
儲けにならない しんどいばかり
嘱託医すら受け手がない

なぜ辞めないの つづけられるの
きつくたって しんどくたって
思いだけで 続けられた
でも 心のない現場は
人を 追いつめるよ

限界だよ・・・
そう肩を落とす仲間を 励ます私も
思いだけで 立っている

あなたに おたずねします
ここに未来はありますか
あなたの目指す場所はどこですか

みんな 思いだけで 踏ん張っている
だから いろんなものを飲み込んで・・・
でももし 追いつめられた心が
現場で自分を見失ったら
誰だって 続けられない

一番大切なものなのに
心だけでは
どうにもならないの・・・

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聴覚検査

2007-10-01 21:59:19 | ひとりごと
 先日、健康診断でひっかかって、内視鏡検査をした話を書いた。実は、ひっかかったのは、それだけでなく、聴覚もかかっていたのだ。
 私はどちらかというと、聴覚には自信があった。しかし、ここ数年、何故かひっかかる。まわりがざわざわしているから?とも思うし、他の人も、
 「きこえにくいよ」
と言うので、気にしていなかった。しかし、さすがに3回ひっかかると気になる。しかも、今回の検査では
 「今から押しますよ。はい!聞こえますか?」
なんてサービスまでしてくれたのに、聞こえなかったのだ。
 今日はだから聴覚検査に行って来た。
 まずはおなじみの検査。ヘッドホンをつけて、片耳ずつ音を聞かせて、聞こえたら、スイッチを押すというもの。そして次は、片耳がヘッドホン、そして片耳には球のような物がついていて、耳の後ろの骨に添わせてかけるのだ。ヘッドホンからはしゃうしゃう、とか、さーさーというような雑音が聞こえる。反対側は骨に直接振動を送るらしい。
 不思議なことに、骨に振動を与えているだけで、耳の中にはいっているわけでないのに、ちゃんと音として聞こえるのだ。ろうあの人が話せるような機械の仕組みってこういうものからきているのかしら?
 結果、確かに聞こえにくいゾーンがあった。しかし、さほど気にすることはないとの事。半年後くらいに検査して、聴覚に変化がなければ大丈夫らしい。まずはひと安心だ。
 しかし、以前ぎっくり腰をやったときに、入所者のおばあちゃんに
 「あんた腰まがってるよ」
なんて言われた笑えない話がある。今回悪化して
 「あんた耳遠いなあ」
なんて言われる事態だけは避けたい物だ。

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