久しぶりにミュージカル『エリザベート』を見てきました。
エリザベートが生きた時代は、「気まぐれ」と「ダンディズム」という言葉が使われた、まだまだ男性中心の世界だった。
そんな中で、エリザベートは彼女らしく生きてゆく。当時としては極めて異例な存在であり、それがゆえに、しばしば噂話の対象になった、と言わざるを得ない。
しかも彼女にとって、慣習、儀式、しきたりにあふれる宮廷生活は、耐えがたいほどに苦しいものだった。
乗馬にのめり込んだり、詩人ハイネへの強い想い、旅行、逃避、潜伏を繰り返すという精神的に不安定な状態に陥っていったのも当然かもしれない。
『エリザベート』は、そんな「不幸な皇后」の物語である。
エリザベート役には、「歌の妖精」といわれた90年代の宝塚を代表するスター涼風真世。
姑役のソフィに、同じ宝塚の寿ひずる。ありきたりで、平凡。
トート役は武田真治。彼には中性的な魅力がある。
歌をきけば、その発声が『オペラ座の怪人』のファントムにそっくり。山口祐一郎とダブルキャスト。
狂言回し役のルキー二は高嶋政宏。
前回『黒蜥蜴』以来の舞台だが、今回はのびのびとユーモラスに熱演。しかも初演からWキャスト無しで700回を全て1人で演じている。
道化役が彼のニンかもしれない。
時代の風に立ち向っていくエリザベートの放浪の旅が本作品のテーマである。
それが舞台では、愛、死、孤独、輪舞・・・だけが前面にでて、かんじんの時代背景がいっこうに見えてこない。
社会的背景をもう少し掘り下げれば、作品に奥行きがでてくると思うのですが・・・。
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