Dream Gate ( 中野 浚次のブログ )   

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海老蔵の「団七」、勘太郎の「お辰」 と。 -歌舞伎座7月さよなら公演ー

2009-07-27 | 演劇


     

     7月の歌舞伎座は、玉三郎、海老蔵中心の座組み。
     夜の部は「夏祭」と「天守物語」の二本立て。まことに夏らしい狂言立てです。

     「夏祭」で海老蔵の「団七」は二度目。私は四国こんぴらでの初役は見逃したので今回が
     はじめて。

     まずは感心させられたのは、長町裏の殺しの見得のすばらしさです。
     まさに「殺しの美学」という言葉がピッタリ当てはまります。
     舅の義平次を一かせ斬っての”ウラオモテの見得”、義平次に止めを刺しての
     ”飛び違いの見得”。
     パッといっぱいに腰を落としての形があざやか。
     広い歌舞伎座の舞台だけに見映えがして、とても華やかでした。
     客席にいて、ふと国芳の錦絵をホウフツさせられました。

     「夏祭」は、本来は上方のお芝居。
     海老蔵にかぎらず、出ている東京の役者さんの上方弁がギコチナイ。正直に言って下手くそ。
     ほかの上方狂言である「河庄」や「封印切」とちがって、「夏祭」はアドリブの少ないお芝居。
     だから、無理して上方言葉を真似る必要もない。芝居のテンポが狂えばなにもならない。
     「夏祭」が江戸前だったり、荒事風なのも結構。その「勢い」こそが海老蔵の持ち味なのだから。

     江戸前といえば、髪結の巳之助。序幕の「住吉」の場だけですが、
     イキでいなせな感じがあって上出来。大和屋大当たり。
     その巳之助も同じように下手な上方弁を使う。伝染するのかしら(笑)。
     余談ですが、巳之助で『髪結新三』の下剃の勝奴をぜひ見てみたい。


     このたびの観劇のお目当ては、勘太郎の”お辰”
     中村屋三代に亘って”お辰”を観れるとは、歌舞伎フアン冥利に尽きる。

     火に焼けた鉄弓を自分の頬に押し当てる。そこに至るまでのお辰の心理
     描写、女ゆえのコンプレックス、口惜しい思いを精一杯やってはいる。
     しかも役の掘り下げも間違いがない。
     いかんせん気張ると芝居の調子がくずれるのが気になります。

     目元、口元の紅を工夫した顔(←化粧)だが、どこか可愛らしさが覗くのも問題。
     ”お辰”は、小股の切れ上がった女でなければいけない。
     ならば粋で、鉄火なところが要求される難しいお役ですよね。
     
     まだお若いから、そこまで望むのは酷というもの。
     基本の型をしっかり身につけて、お父様(←十八代目勘三郎)を超える
     ”お辰”を見せてもらいたい。

     それと、勘太郎さん!!遅れましたが前田 愛さんとのご婚約おめでとうございます。
     お幸せに 


   
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