先般、東京都世田谷区で71歳の夫が認知症の68歳の妻を殴
打し死亡させた悲しい事件があった、本人は「寝ようと思った
のに何度も話しかけられ腹が立ち、腹や頬を殴ったけど死ぬほ
ど殴ったかは記憶にない」と供述している、老々介護、高級住
宅地での事件、介護認定は?地域包括センターへの連絡は?施
設入居の検討は?新聞記事を読みながら私の両親のことを思い
出した。
13年前両親とも86歳のとき父は認知症になった、要支援2
だったがケアマネジャーに相談、デイサービスに定期的に通う
ことにした、老夫婦二人だけの生活、妄想、幻覚、「母ちゃん
に男がいる、金が盗まれた、このままでは自分の身が危ない、
母ちゃんと離婚するから家を探してくれ」と懇願、なんとか説
得しようとしたが最後は「母ちゃんの男に殺されてもいいのか」
と怒り、日を追うごとにエスカレートしていった。
母にとって地獄の半年だったが、父は持病の肺の病気で入院す
ることで認知症の恐怖から母も私も解放された、その後父は人
工呼吸器をつけたまま半年後になくなった、そして、あれほど
認知症に嫌悪感を持ってた母が9年後、父と同じレビー小体型
認知症になり壊れていく母を目の当たりにしたときは正直うろ
たえた、今でも鮮明に覚えている亡き両親の晩年の思い出であ
る。