見せる阿呆に見る阿呆

テレビの低俗性を「一億総白痴化」と呼んだのは、大宅壮一だった。

低俗なテレビを見るからバカになるのか、バカだからテレビを見るのか？
鶏が先か卵が先か、みたいな永遠の疑問かも。
どっちにしろ、お堅い報道番組までが「視聴者はみな阿呆」という前提に
たって番組を制作していることは確かなようだ。

もう先週のことだが、オンタリオ州で同性愛者同士の婚姻が正式に認められる
ことになった。女同士、男同士のカップルがシティ・ホールで結婚の誓いを
している様子やインタビューが、ニュースでクローズアップされた。
州の住民のみならず、他州や国境を越えてアメリカからもわざわざ式を挙げに
来ている。「ここトロントには北米中から同性愛カップルが続々とつめかけ、
たいへんな賑わいとなっています」とレポーターは言った。

へ？ちょっと待てよ？
CMの前は、トロントのSARS騒動をとりあげて「疫病のおかげで何億ドルの損失」
「観光業界は大変な打撃」「トロントはどこもかしこもゴーストタウンのように
ガラガラ」とか言って、誰もいない市内をカメラが映してたんじゃない？

たった５分で、「ガラガラ」から「たいへんな賑わい」に変えちゃって
誰も文句言わないの？「矛盾」って言葉は報道の辞書にないのねえ。
こーゆーのも、ビール片手にぼ?っと見てると「へええ」ってかんじで別に
疑問もなくみんな納得しちゃうよね。