朝から雪が振り続け、玄関先には除雪車が捨てていった雪が2メートルほどの山をつくっている。
こんな時期は、春を先取りしてパステルカラーを着て波動を上げるのが一番。今日は、レモンイエローの薄手のセーターにした。
お隣の奥さんに、ピンクのチューリップの鉢植えを持ってお見舞い。
彼女は昨年末から、放射線と抗がん剤の治療を続けている。秋には、「お正月にはコスタリカに夫婦で旅行に出るから、留守をお願いね」と元気に私達に頼んでいたのに。突然、ガンが見つかったのだ。
彼女はずーっと家にこもりっきりだったので、私が彼女に会うのは三ヶ月ぶり。丸坊主になってしまった頭をニット帽でかくし、水分の滞留で体中がむくんだ姿には、田舎道を楽しげにサイクリングしていた昔の面影はない。もともと透き通るように白かった肌は、貧血でさらに青く見える。
チューリップには、彼女が大好きな鳥、ブルージェイのカードに「春はもうすぐそこだよ」と書いたものを添えた。それを見て、やっと満面の笑みをたたえる彼女だった。
「長い冬だったね」と私が言うと、彼女はホロホロと涙をこぼした。
「辛かった。本当に、辛かった」と、ほとんど言葉にならない。
鉢植えのチューリップは、私が買ったときはまだ蕾が青く固く、花屋さんはあと10日は咲くまでかかる、と言っていた。が、私が花にお願いしたところ、翌日にはピンクの蕾がニョキニョキと出てきて、もう咲く寸前にまできたのですぐにお隣に持っていくことにしたのだった。
旦那さんも出てきて、ちょっぴり涙を浮かべて「ありがとう」と言った。
かわいいチューリップの花が、彼女の心のなぐさめになってくれれば。