長野県のりんごの木に名前を彫る印鑑屋さん。見た目もユニークで濃い「への字」の眉、愛嬌のある目が印象的だ。特徴がはっきりしているので漫画にしやすい顔だ。
この人も私と同じく脱サラ組で、10年ほど前「遊印」の師匠について脱サラした時は日に20万も25万も売り上げがあり、「直ぐに蔵が立つぞー!」と錯覚したそうだ。しかし、世の中そんなに甘くない。売れるとなると誰でもがマネをするのが世の常、あっという間に同業者が増え現在は地方巡業のドサ回り。少し、茶化して書くとこんな感じだが、実直で正直な方だ。ただのりんごの木に色を塗って名前を彫っていく、100%自分の作品だ。仕入れ商品はないほんとに腕一本で食べている職人である。
山形県から来ている「山ぶどう」の戸田寒風さん。もともとは「笹野一刀彫」の職人として「お鷹ぽっぽ」という飾り人形を作っていたそうだ。
山形に古くから伝わる「あけび細工」や「山ぶどう細工」を地元のドライブインなどに卸していたそうだが、現在は山形物産展を中心に全国のデパートに出店している。何軒か山葡萄を扱う業者さんと一緒になるが、ここの作品が「品物の割りに一番安い」と思う。最近は山葡萄のブームに乗って作りの雑な作品も多く見受けられる。「こんな、いい加減な作りの籠がこの値段?」とびっくりするときもある。また、「これはどう見ても国産物ではない、中国製だな!」と思える物も沢山ある。 そんな中、国産物でしっかり編み込みそれでこの値段。ある意味、この値段が適正価格なのかも知れない。ブームにのって高額な作りの悪い 作品も沢山出回っているこの業界において真面目な作り手として、実直な人柄が表れている人だ。
しかし、東北の人はたいてい話す言葉が聞き取りにくい。