名古屋に移動してきて、駅前の「名鉄グランドホテル」に宿を取る。東横インなどより一回り広い部屋で落ち着いた雰囲気のホテルである。駅前の利便性からこのホテルはちょくちょく利用している。14階の部屋に泊まったのだが、窓を開けると(窓が開くこと自体が不思議だが?)よく、アクション映画の場面ででてくる、配管を通じて他の部屋にいったり、飛び降りたりする場面が思い出された。
名古屋から三重交通の高速バスに乗り、小一時間。四日市インターを過ぎた次のバス停「菰野東」で下車。器ギャラリー椿庵は国道から20分ほどあるので、ギャラリーのお嬢さんに迎に来て頂いた。彼女もフェルトのバッグを作る作家さんである。
こんもりとした森の中に開かれた別荘地の一角に「器ギャラリー椿庵」がある。街中のギャラリーと違って、お店の周りの鮮やかな緑と、落ち着いた野花が印象的だ。交通の便の悪い所なのに沢山のお客様が来られているのは、オーナーの河端さんが「良い物だけを自分で見て、選んで、紹介したい!」この姿勢を貫いているからだろう。裏山には、猪、鹿、蝶のほかにも猿も居ると言う。耳を済ましていると狼の遠吠えみたいな声も聞こえる?「野犬でも居るのですか?」と聞くと「あー、あれはお隣の大きな犬の遠吠えです」と。
お客様との遣り取りも実に楽しくて、私も一日中、笑いっぱなしであった。このお客様たちとワイワイガヤガヤしながらあっという間に夕方になってしまった。最後に「写真を取らせて下さい」とお願いすると、「三重県の恥を撮るんかい?」とまた、大笑い。
三重県から名古屋に戻るバスの中、新宿伊勢丹の担当者から電話が入った。8月15日から始まる催事の広告用の作品を送ってあったのだが、「昨年載せた作品を似ている」と上司からダメ出しがあったそうだ。他の作品を送ることになったのだが、明後日朝の撮影に間に合わせるには、九州から送ったのでは間に合わない。困った。(この電話が入った時間がもう18半を過ぎていた)無い知恵を絞って、椿庵さんに電話、こちらに来ている作品を急遽、送っていただく事で何とかなった。 やはり、広告に写真が出るのと出ないのではお客様の来かたが全然違いますもんネ。 椿庵さん、御無理を言って済みませんでした。