高江雅人  竹工芸職人の独り言  竹工房オンセ

高江雅人  竹工芸を初めて37年、徒然なる出来事をアップしています。

若き竹細工職人を目指す人達へ 1

2007年08月06日 07時44分13秒 | 後継者育成

最近、沢山の竹細工職人の卵さんたちが見学に来る。そんな彼らに伝えておきたい事を書いてみた。

伝統工芸に携わる職人の世界はこの25年、四半世紀の間に大いに様変わりしてしまった。

伝統の「伝」とは、古くから伝わる材料加工や製作技術の伝承であるが、伝統の「統」とは時代を反映し、何がニーズに合っているか?を考えまとめる事である。古い物を後生大事に作り続けることでは無い、時代に合った物、新しいニーズを作り出していける作品を作ることである。

22年前、私が竹細工を始めた頃は まだ量産型の花篭がたくさん売れていた時代である。バブル景気もまだ健在で、高級花篭も作れば売れ、竹問屋も何を仕入れてもどうせ売れるのだからと少々質の悪いものでもどんどん仕入れていた。竹の訓練校を出て1・2年でも作品が売れるので作家になったと勘違いした職人も大勢いた。

ところがバブルが弾けると同時に高級花篭は売れなくなり、注文は止まってしまう。問屋は問屋で目先の利益を追うばかりで「職人を育てるとか、業界を支える」などの意識はまったく無くなってしまった。

問屋が在庫を取らず、売れる時期にいる分だけしか注文しなくなってしまった。

《竹には売れるシーズンがあり春から夏が忙しい、問屋はオフシーズンにも来春売れるだろうとリスクを背負って、市場と生産者とのクッションになっていた。その分卸価格で随分安く仕入れるのだが!》 

リスクを背負わなくなった分、仕入れ価格を高くしてくれれば良いが仕入れ価格は今まで通りで、今まで100個単位の品物を1個、2個と注文してくるようになる。オフシーズンには割れ関せずと片方だけに都合の良い様に様変わりしてきたのだ。

作品も素人に毛の生えた様な作家もどきの作品や高額な単価を付ける事に慣れてしまった大家の作品はほとんど売れなくなってしまった。適正価格で力のある作品だけが売れていくことになる。問屋も何でも売れた時代ではないので、ある程度売れると予測できる物しかオーダーを出さなくなってしまった。すると、力のある作家にはオーダーが集中する事になる。      つづく

竹工房オンセ

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