高江雅人  竹工芸職人の独り言  竹工房オンセ

高江雅人  竹工芸を初めて37年、徒然なる出来事をアップしています。

若き竹細工職人を目指す人達へ 4

2007年08月09日 03時21分44秒 | 後継者育成

これから竹細工で身を立てて行こうと思っている人は、小さくても一国一城の主であり、経営者である。自分でアイデアを出し、デザインを起こし、販路を作っていく。今までは作品だけを作れば良かったが、今はもうほとんど問屋制度が崩壊しつつある中、自分でお客様に届けるまでの販路を作りきることが一番大切なことになってきた。

私の販路作りにはルールを作ってある。一地域一店舗、一月一回のペースで (年12回、竹の場合はシーズンがあるので春から夏にかけて12回、その分秋から冬のオフシーズンは出店しない) 今の所少しオーバーペースであるが、若い職人達が育ってきて現場にも出てもらっている。少しづつバトンタッチをしている所である。一地域一店舗と決め、同じデパートに出た方がお客様も育ってくるし、デパートも大切にしてくれる。

東京では 新宿伊勢丹、日本橋三越、渋谷東急。横浜では高島屋。名古屋の松坂屋本店、大阪では梅田阪急と難波高島屋。広島三越と主要都市の一番店に出店している。何処の売り場に持っていっても売れるものではなく、私どもの作品とお店のグレード、お客様層の三つが合わなくては売れるものではない。恐らく、近くのイオンとかジャスコに1年置いていても一つも売ることは出来ないだろう。ところが、自分の作品と客層が合うお店では驚くほど良く売れるのである。

自分の作品を冷静に分析して、どういうお店で、どんなお客様に、どういう飾り付けで販売するのか?努力して見て下さい。努力しても結果が出ない時もあるが、努力しない限り結果を出すことは出来ないのだから。

良い作品を作ることは当たり前、如何に価値を高めて伝えることが出来るのか?

自分に合った生産システムと、身の丈に合った販路を育てることが大切だと思う。無駄な事もいっぱいして、失敗をどんどんした方が良い。イヤな思いも何度もして、唇を噛み締める日、夜眠れない日を過ごす事もあると思う。でも、それを一つ一つ経験して越えてくる事が自信になり、経営者としての巾を作ってくれる。

成功はお金だけの価値観では計れない物、自分の考えた事を自分の手で形にしていく、自分を信じてハラハラドキドキしながら生きている実感を味わい、結果としていくばくかのお金が残っていれば幸せ‥‥。

インターネットの発達に伴って、消費者にアピールする方法は格段に広がっている。竹の世界でもやり方、考え方次第で成功することはいっぱいあると思う。諦めた時が負けであり、続ける限り道は開ける。人を欺くことをせず、誠実にやり続け、自分の出来ることからチャレンジして下さい。

竹細工の職人を目指す若い人たちに、こんな事を一先達として伝えておきたい。

(つい、こないだまで自分も若いと思っていたのだが?)

                    終わり

竹工房オンセ

コメント
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