高江雅人  竹工芸職人の独り言  竹工房オンセ

高江雅人  竹工芸を初めて37年、徒然なる出来事をアップしています。

若き竹細工職人を目指す人達へ 2

2007年08月07日 04時29分44秒 | 後継者育成

今までの竹職人の世界では自分の所から出す生産者価格は知っていても、最終上代(お店でいくらで売られているのか)を知らない人がほとんどである。日当が1万円なので三日かかって作ったら3万円と、実に簡単な計算である。

しかし、市場価格を知らなくて作品作りが何時までも出来るものなのだろうか?

当時私が問屋に提案した物は 上代10000円なら12000円。5000円の物なら6000円分のボリュームを持たせた2割増しの商品提案であった。10000円の物と11000円の物ではあまり違いはないが、10000円と12000円相当の作品を並べてみると、素人の人が見ても10人中9人は違いが判る。では、「3割以上ボリュームのある仕事をすれば、もっと他との差が出るのでは?」  その通りであるが、それは作り手が息切れしてしまう。その作品の注文が来ると嫌な気分になってしまうのである。

2割り増しの仕事にも1年、2年経つうちに自分の実力となって吸収されてくる。また、2年後には、その時の2割り増しの仕事を提案していくのである。沢山作ることで手が慣れ、作業工程にも数を作るように変換されていく。 1.2×1.2=1.44 4年経った時には他のメーカーより1.5倍近い作品力に差が出来て来るのである。問屋とも交渉してオフシーズンに計画的に注文を出して貰う。それが理解していただけない問屋とは取引を中止した。

私が竹の学校を出て直ぐには、自分の作品を写真に撮り10枚ずつプリントして10冊のアルバムを作り、そのアルバムの中に生産者価格と希望上代を書き込み問屋に持って回った。そうする事で問屋の人に顔を覚えてもらったり、新しい注文を遣ってみないか?とオーダーを貰ったりした。そのうちにレパートリーも増え、広がりを持っていった。他の生産者より一味違ったアピールをすることは大事である。

                   つづく 

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