今日の新聞とネットのニュースに大相撲の三段目力士 響龍が死去したと書いてある。
新聞の見出しには首付近強打、ネットの見出しには頭を強打と書いてあった。
響龍の死去の原因になったと思われる取り組みの動画がネットに出ていたので見た。
響龍は相手力士のすくい投げに、頭から落ちていっている。
そして落ちた頭の頭頂部が丁度、俵(たわら)のところに突っ込んでしまった。
なので、俵(たわら)が響龍の頭の動きのストッパーの役割を果たしてしまう。
頭が俵(たわら)で固定されて動かなくなった状態で、すくい投げで崩れた体勢の150キロもあろうかという巨体が突っ込んでいったから、慣性の法則で、響龍の頭部と胴体の間、つまり、後頭部から首にかけての中枢神経が集中している部分に、ちょっと想像を絶するような力が瞬間的にかかってしまったという状態になっている。
土俵の真ん中で倒れていれば、俵(たわら)が頭の動きを止めることはないから、巨体が頭に突っ込んでいっても、頭もそれに応じて前方に移動するので、あのような事故は起こらなかったと言って差し支えないと思う。
まさに、不運に不運がかさなってしまったとしか言いようがない。
本当に究極の不運という気がする。
5年ほど前に、豊真将という力士が、日馬富士との相撲で、膝が俵(たわら)と腰の間にはさまるような形で倒れ、そのときもそのために豊真将の膝に過大な力がかかり、豊真将はその場でうごけなくなってしまった。
あのとき、テレビで解説をしていた北の富士さんは、「よくよく、運のない人だね、この豊真将という人は、やっと上がってきたと思ったら、怪我だもんね」とおっしゃっていた。
本当に、もう、運としか考えられないようなことが、この世界では起きるものなのだなとしみじみと思う。
豊真将の場合は、あの怪我が結局、引退につながったけれど、響龍の場合は、本人がなくなるということにつながってしまった。
本当に、息子さんを大相撲に預けた、ご家族は、もう、やり場のない気持ち、むせびあげるような気持ちでおられることと思う。
もちろん、力士を預かっている、親方や部屋の人もそうだけれど。
奇しくも何日か前に王貞治さんが
硬式ボールが体に当たった時の痛さを知らない人は野球を語ることはできない。
同様に、土俵の(稽古の)厳しさは、実際に、それを体験した親方や力士にしかわからない。
という主旨のことをおっしゃっていたことをまたしみじみと思い出した。
やはり、あの土俵の中で、鍛え上げた巨体の男同士が、ぶつかり合う時の、恐怖感とかそういうものは実際にそれを体験したものにしかわからないと思う。
素人が軽々しく口を挟める世界ではないし、もし口を挟むとしても、やはり、実際にそれをやっている人にしかわからないものがあるのだという畏敬の念をもって発言するべきだということを思った。
相撲の世界だけでなく、どんな世界でも、本当に、道によって賢し という言葉もあるように、実際にその世界を体験した人にしかわからないということはいくらでもあるとおもう。
他人の道というものを尊重することも大切だし、また、困ったことがあったら、その道の人を頼っていく、その道の人に相談してみる、そういう気持ちも忘れないようにしたいものだと思った。
響龍さんのご冥福を謹んでお祈り申し上げます。
どうぞ、毎日が無事でありますように。それを一番に願っていきたいと思う。