ケンのブログ

日々の雑感や日記

柿の木が倒れる

2021年07月12日 | 日記
実家の二階で寝転んでいて、下に降りていくと父が「柿の木が倒れたぞ」という。

廊下の窓から庭を見るとたしかに柿の木が倒れている。

「これで柿の木もおしまいや。昔は何本か庭にあったけどな」と父が言う。

そうだな 僕の記憶にあるだけでももう何本か昔はあったなと思う。

幼稚園の頃、友達が遊びに来るとその柿の木に登っていた。

友達のHくんは木登りがうまくで、本当に木のてっぺんに近いくらいのところまで登っていた。

僕は幼稚園の頃から高所恐怖症だったので柿の木も自分の背丈くらいの高さのところまでしか登れなかった。

それ以上、登ろうとすると足がすくんだから。

幼稚園の頃の写真で友達のHくんは柿の木のてっぺんに近いところまで上り、MくんもHくんの足元くらいのところまで登り、僕はやっと自分の背丈くらいのところまで登った状態で3人を写したものがあった。

その写真が僕の高所恐怖症を如実に示しているようで、僕はその写真を人に見せるのが子供の頃恥ずかしかった。

なので、あまり人には見せなかった。

おとなになると高いところが怖いって別に恥ずかしくないけれど、子供の頃は男の子なのにという感じでなんか恥ずかしかった。

倒れた柿の木をみるとまだ小さいけれど実がいっぱいなっている。

そうか今年は実がよくなる年だったんだなと思う。

子供の頃、庭の柿が実るともいで家族でよく食べたなと思う。

今日は雨が降って風が強かったから、水分を沢山含んだ幹が風であおられて、幹の途中の部分で木が折れて倒れたという感じだった。

葉がいっぱい茂っていてそれがクッションになったせいか、木が倒れる音はそれほどせずに、僕は二階にいて木が倒れることに気づかなかった。

庭に倒れた柿の木を見ながら
「考えてみれば、この木は僕が子供の頃からあったから、もう最低でも50年はここにあったことになるね」と僕は言った。

「いや、お父さんが子供のときにはもうこの木はあったよ」と父が言う。

「ええ、なんで、そんなこと知っとるの」と僕が言う。

「それは、昔は、側溝伝いに、よその家の庭の脇も通ったから、この木があることは知っておったよ」と父が言う。

そうか、僕の実家=僕の母の実家だけれど、父の実家も、その同じ町内で道路を隔てて斜め向かいの家だと今更のように気づく。

斜め向かいの家どうしで、お見合い結婚。いかにも僕の父母の世代の話だなと思ってしまう。

映画、「男はつらいよ」にも、タコ社長がお見合い結婚で、結婚式の日に、お見合いのときに見たのとはちょっと違う顔の女性が来たので(お見合いのときの女性の方が容姿が良かったような気がするという話だったと思う)、タコ社長がそのことを仲人に問い正すと仲人に「お見合いのときは妹を出した」と言われる話が出てきたと記憶している。

それで、まあ、昔はそんなもんだったんだと言うことで、とらやの家族の話が盛り上がるというストーリーの展開だった。

そういえば「男はつらいよ」の、山田洋次監督や、渥美清さんも僕の父とほぼ同じ世代なのだなと思う。

まあ、昔は、同じ町内同士でお見合い結婚で、結婚相手の庭の柿の木も子供の頃から知っていた、というのもタコ社長のお見合い結婚の話に、ちょっと似た雰囲気のところもあるなと思う。

不思議に、柿の木がなくなるという寂しさはそれほどなくて、そんな記憶を、掘り起こすとなんだか懐かしい気持ちになってくる。

倒れた木を撤去してしまうと寂しさがこみあげるかもしれないけれど、、、。

まあ、それはともかく、いちにちいちにち無事に、健康に過ごせますように、それを第一に願っていきたい。