たままま生活

子育ての間にこっそりおでかけ・手作り・韓国語・・・。
多趣味な毎日を紹介します。

『人生』つながりの2冊

2013-01-18 21:49:58 | 韓国文学
今年の李箱文学賞はキム・エランでした。
最年少なんですって。

留学していた友達がオススメしてくれた
『두근두근 나의 인생』、日本でも翻訳出版が決定しています。



物語は心は17歳、体は80歳の少年アラムの視線で語られます。
早老症、と言えば日本ではドキュメンタリー番組もあったのでなんとなくわかる人も多いと思います。
韓国ではそこまで認知度は高くなく、この小説で初めて知った人も多いそう。

病気が悪化していく中で、本のページも決まっていますから
ある意味カウントダウンしているような切ない感じもあるんですが、
病気にくじけず、明るく前向きなアラムに読んでいる私たちが励まされます。

彼を扱ったドキュメンタリー番組を見たという女の子との交流や
思春期の恋にあこがれる気持ちなど、読んでいて本当にドキドキします。

実は彼の両親は韓国では珍しく高校生でできちゃった結婚していて
物語はその妊娠が分かったころから始まります。
望まない妊娠を嫌がったから子供が病気になったんじゃないか、と母親が自分を責める場面がつらいです。
「若さ」を実感することのないアラムには(というか、この小説には)
両親のまぶしいような若い恋愛が必要だったのだと思います。

最後にアラムは両親にとっておきのプレゼントを残します。
(ここでまた涙)

さわやかで読みやすい小説ですが、欲を言ったらもっと若いときに読めばよかった!!
はは。
というわけで若い友人たちにめちゃくちゃおすすめしています。
日本語版が出たら、韓国語を読めないお子さんたちにもめちゃくちゃおすすめしてください。


で、ちょっと大人の私たちのための恋愛小説がこちら。
은희경의 "태연한 인생"
ウン・ヒギョンの直訳すると『泰然たる人生』…すいませんね。
でも韓国語でも태연하다 が 인생 を修飾するのは珍しくて新しいね、と言われていたので
そんなものかもしれません。



こちらも、「ドキドキ」と同じく
リューの両親の熱烈な恋愛話からスタート。

他に登場人物は大人になったリューと一時期大恋愛をした
中年作家、キム・ヨソプの華麗な?というかだらしない恋愛遍歴と

キム作家が大学で文芸創作を教えていたときの教え子で
今は映画監督のイアン。

イアンはキム先生を出し抜いて彼を映画に出演させようと作戦を練ります。

ところで、イアンの映画に出資する財団にはリューも在籍しており
一同そろう会が企画されます。
(もちろんイアンの仕掛けで・・)

とっても会いたいけど、会いたくないような・・・
鏡に自分を映してみると腹は出てきたわ、髪は薄くなったわ・・
キム先生、いい年こいて乙女のようです。
いえ、衰えを感じ始めた男性だからこその微妙な心理なんでしょうか。

全然、泰然としてないじゃーん、と思いますが

泰然としているとはリューとかリューのお母さんとか、
女性のほうかな?


女性関係の派手なキム先生は奥さんと離婚を前提に別居中。
一人暮らしなので、カフェでモーニングコーヒーを飲み、
カフェで創作をし(ようとしてできなくてぐずぐずする)、
カフェで新人賞の応募作を読み、ご飯も食べます。

午前中から開いているのは三つあるけど、あの店は雰囲気がいまいちで
こっちは雰囲気はいいけど客がうるさいから、もう一つの店にしよう、なんて
このあたり細かい描写がウン・ヒギョン作家のカフェへのこだわりが出ているかもしれません。

ウン・ヒギョン作家は初めて読みましたが、
文章が長い割にユーモアもあって読みやすいです。好きかも~。

こちらで小説の一部分が紹介されています。
ちなみにキム先生が新しいガールフレンドになりそうな若い女の子に語っている場面です。

(↑文学集配員、ちょっとページ構成が変わりました。)