たままま生活

子育ての間にこっそりおでかけ・手作り・韓国語・・・。
多趣味な毎日を紹介します。

慟哭―神よ、答えたまえ パク・ワンソ著

2014-04-29 18:29:06 | 韓国文学
韓国の旅客船沈没事故のニュースでは、
泣き叫び体を投げ出して悲しみを表す家族の様子を見て
同じように胸を痛めた人、
驚いた人、
不快に思った人もいたことでしょう。

特に高校生たちはうちの子と歳も変わらないので、暖かく溢れ出すような若さもわかるし、
救えなかった命を思うと言葉もありません。
ニュースを見ながら読んでいた本です。


『慟哭―神よ、答えたまえ』は私も大好きなパク・ワンソ作家が
息子を失った後の日記です。

日記には息子の死が受け入れられない作者の、激しく苦しい心のうちがつづられています。
完璧で罪のない息子に何の罪があって死んだのか、
こんな間違いを犯すなんて、神様、あなたなどいないのではないか、
それとも息子をなくす、というのは私自身の罪なのか。

キリスト教者であった作者の問いかけは、神へと向かいます。

息子の死のショックに打ちひしがれる作者は、母を心配する娘の家で、
身を寄せた修女院で、末娘の暮らすアメリカで、
神に問いかけ、自分に問い続けます。

日記に記された慟哭の言葉たちは、包み隠さず正直でなまなましく、
私たちの胸を打ちます。

私はキリスト教者ではありませんが、
宗教がなんであれ、また宗教の有無を超えて
ぐっと胸をつかまれる文章でした。

翻訳者の加来さんによると、この本はシン・ギョンスク作家が津島佑子さんに紹介したことがあるそうで、
探してみました。

―一読者として、血の涙が出るような悲痛な作品を読んで、朴婉緒さんはこのように何かを書いていらっしゃらなかったら、あの刑罰のような時間に帰ることはできなかったのだろう、と思いました。作家とは、もしかして死んでいくその瞬間にさえ、自分の死を言葉で表現しようとする無謀な人間かもしれません。


本自体はコンパクトで、愛らしいイラストもたくさん入っている作品です。


テーマが重い作品は時として、読み終わると打ちのめされてぐったりしてしまうこともありますが、
この作品はじっくり向き合い、背筋を伸ばし明日に向える作品でした。


ぜひ、手に取って読んでみてください。

書店にはないかもしれないので、念のためアマゾンにリンクしておきますね




この本が紹介されていた『山のある家、井戸のある家』集英社と
『산이 있는 집, 우물이 있는 집』현대문학。
この2冊も、美しい韓国語と日本語で書かれた本です。
大人の女性らしい韓国語を身に着けたい、と思う人にもお勧めします。


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