童謡ーー歌は世につれ(2011.9.6日作)
ふと 想う
昔うたわれた童謡には なぜ
あんなにも哀愁を帯びた歌が
多いのだろう
なに気なく耳にする一つ一つの歌が
優しい言葉遣いと共に 妙に切なく
心に沁みて来る
-----
人の世の大半を生きてしまった人間の
単なる感傷
ふたたび辿り得ぬ 追憶の中の日々
過去への 郷愁がなさせる
心の動きなのだろうか
それとも
この国が今よりずっと貧しく
日々の生活にも はるかに多くの
困難が伴った時代
人々がその中で 生きる事の頼りなさ
人の命のはかなさを 日々 実感し
胸に刻み込んで生きて来た それが
自ずと滲み出て
あんなにも切ない歌の数々が
作られたのだろうか
-----
歌は世につれ 世は歌につれ
歌がその時代を生きる人の心を映す
鏡であるのなら
哀しみに満ちた歌の
作られる事のない時代は 多分
幸福な時代であるに違いない
その中で もし 人が
他人(ひと)の心の哀しみ 愁いに眼を向ける
優しい眼差しを忘れずにいるのであれば
-----
この世を生きる人の命のはかなさ 淋しさは
いつの時代にあっても
変わる事はない