批判(2010.11.25日作)
(この作品は2010年に書いたものです 現在からみると多少現実社会とのずれが
あるかも知れませんが事象の本質はそれ程変わってはいない様に思えるのです)
現在を生きる者たちが 現在の社会を築いて来た
過去の人たちの生き方を安易に批判する事を
わたしは受け入れない
その人たちの努力があればこそ
曲がりなりにも 贅沢が許される今の社会がある
五十年前の日本は貧しかった
当時の社会を背負った若者たちは
貧しさから抜け出すために
必死に働いた 世界の国々から
嘲りにも近い視線や言葉を浴びせ掛けられながら
豊かな社会を夢見て
一途に走って来た 少しの贅沢が許される
今のような社会は
そんな努力の末にもたらされたものだ 無論
わき目もふらずに 一本の道を走り続けて来たあとには
歪みも生まれ 負の遺産も残された 傍(はた)から見れば
気懸りな事も
当事者には理解出来ず それが
現在を生きる人々を苦しめ 悩ます結果になった事も
数多くある そして
現在を生きる者たちが それを批判するのは
許される事だ しかし
自分たちが豊かな社会を生きている事実を忘れ
負の遺産だけを強調し 批判する事は許されない
物事には 必ず 二面がある
光りと影
光りの部分は当然の事のように 自分たちのものとして置きながら
影の部分は自分たちのものではないかのように切り捨てるのは
卑怯な態度というものだ 否定も肯定もすべて
同じ尺度で測り 評価をしなければならない
少なくとも
現在を生きる者たちはその上で 今
自分たちが何をしなければならないかを考え
歪みを正し 負の遺産を
洗い流してゆかなければならない
闇雲に 安易な批判をする事は誰にも出来る
卑怯な態度だ