遺す言葉

つぶやき日記

遺す言葉 214 勘三郎二代 十八世 追善公演に寄せて

2018-11-04 12:37:07 | 日記

          勘三郎二代(2012.12.11日作)

               十八世勘三郎七回忌追善公演(11月1~26日)に寄せて

 

   何気なく眼にした

   テレビの画面では十七代目 中村勘三郎が

   軽妙な踊りを披露していた

   見るともなく眼にした画面に

   息を呑み 引き込まれた

   見たものは 演者の消えた

   踊りの主人公 そのものの動き 姿

   臭気の全くない舞台

   テレビの画面を突き抜けて

   主人公が眼の前に迫り来る感覚

   後年 十八代目 中村勘三郎の名前が持て囃され

   評判になり始めた その頃 同じ舞踊が

   十八代目により

   テレビの画面に展開されていた

   若さに満ちた舞い姿 若さが持つ

   色香 軽やかな身のこなし

   十七代目の枯淡とは異なる舞台模様

   テレビの画面が映し出す

   模様の差異 それはそのまま

   芸の上での差異でもあった

   匂い立つ若さ 軽快な身のこなし その裏に

   透けて見える 演者の姿 

   抜け切れない臭気

   踊りをおどる意識の漂う舞台

   青臭い・・・・勘九郎の影を引きずり

   以来 高まる世評とは裏腹 十八代目への

   肯定の気持ちは生まれなかった

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   テレビの画面に再び

   十八代目 勘三郎の姿を見た時には

   幾年月もの時が流れていた

   古典芸能番組

   演じる芝居の主人公

   勘九郎の影の消えた

   勘三郎 そのものの顔が

   そこにはあった 豊かな才能

   その才能の片鱗が 垣間見える舞台

   以前にも増して盛り上がる世評を

   敢えて 否定するものは何もなかった

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   親から子へ 子から孫へ

   代々 引き継がれ 育まれたに違いない

   豊かな才能 その才能に更なる磨きが掛かり

   大きな役者への飛躍

   そんな予感が生まれた矢先

   平成二十四年 2012年 十二月五日 死去

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   十八代目 中村勘三郎は生まれ持つ才能

   その完成の待たれた

   これからの役者であった

 

          すべて良し(2012.10.11日作)

 

   早熟の天才 駆け抜ける

   束の間の栄光

  

   愚鈍の才 積み重ねた努力

   苦難苦闘の日々

 

   成し遂げられた 一つの道

   朝日に輝く道

   夕陽に浮かび上がる道

   

   追憶の中

   終わり良ければ 

   総べて良し

 

   やがて来る道  

   無