あなたと生きる(2022.11.8日作)
窓に鳥かご 掛けましょう
お部屋に花を 飾りましょう
あなたのために レースを編んで
あなたのために 市場へ行くの
ああ この幸せな 愛の日々
わたしはいつも あなたと生きる
閉ざした心 開きましょう
淋しい過去は 捨てましょう
あなたとつくる 小さなお城
あなたと行くの はるかな旅路
ああ この喜びの 愛の日々
わたしはいつも あなたと生きる
愛の小鳥を 呼びましょう
瞳と瞳 見つめましょう
あなたと仰ぐ まぶしい光り
あなたと綴る 愛情日記
ああ この幸せな 愛の日々
わたしはいつも あなたと生きる
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華やかな噓(3)
それだけに、
" 赤ちゃんが出来たみたい "
明子の口からその言葉を聞いた時、すぐには自分の身に起きた事だとは思えなかった。
「誰 ?」
と、まるで他人事のように聞いていた。
「三カ月だって」
すでにこの時、明子は川野の心のうちを読んでいたのかも知れなかった。重く沈んだ声で力なく言った。
「明子が ?」
川野は聞いていた。
「うん」
川野に取っては、想像さえしていなかった事だった。日々、忙しくあちこちを飛び廻って、自由に生きている・・・・そんな明子の口から、そのような言葉が出て来るとは思ってもいなかった。
川野はしばらく、息を呑んだまま黙っていた。
それから聞いた。
「で、どうすんの ?」
結局、それが二人の二年に近い夢のような日々の生活に終止符を打っていた。
川野にしてみれば、想像だにしていなかった明子の言葉に、自身の夢を奪われたくはないという思いが強かった。
次々とヒット曲を連発する売れっ子作詞家、川野の夢見る未来は輝きに満ちていた。その未来を思いも掛けないたった一つの言葉で失いたくはなかった。子供が出来れば、自身の自由は奪われるだろう・・・。
明子はだが、産みたいと望んだ。
二人の間に思いがけず生まれた隙間風。その齟齬は明子自身の身体をも蝕んでいた。
明子は流産した。
一時は生命の危険にも見舞われた。
明子の学生時代の友人、田代友里江が川野のいるバーを訪ねて来て知った。
友里江は明子の代理人という形で、慰謝料や入院費の一部を要求した。
川野が相手にしないでいると、田代友里江はバーを訪ねて来て、一杯の水割りで川野の仕事が終わるまで待っていた。
川野は他の従業員達がいる手前、田代友里江を追い返す事も出来なかった。
川野は結局、田代友里江のそのしつこさに負け、バーを辞めて行方をくらました。
ほぼ、二カ月後に腰を落ち着けたのが、渋谷のバーだった。アパートも変わっていた。
これで、厄介払いが出来た、という思いがあったが、気持ちは荒んでいた。
折悪しく、新人歌手のデビュー作の仕事が入ったのがこの頃だった。
その仕事は三回の書き直しの挙句、不採用になった。
「こんな程度の詞なんか、今どき、家庭の主婦だって書くよ。当たり前の事を当たり前に書いたって、面白くもなんともありやしない。もっと十六歳の少女の個性を引き出すような力がなくちゃあ、駄目なんだよ。せっかく、チャンスを遣ったんだけど、今回は降りて貰うよ。もう、時間がないんだ」
明子のとのトラブルで気持ちが荒んでいた事が原因とばかりも言えなかった。川野自身の才能の問題に違いなかった。
川野は崖から突き落とされたような痛手を心のうちに受けていた。
自分を突き落としたようなプロデューサを憎んだ。
自分が降ろされた歌手のデビュー作を耳にした時、川野は、
「なんだよ、こんなの。まるでハートも何もありゃしない。ただの言葉の羅列じゃねえか」
だが、売れっ子作詞家の手になるその作品は、発売と共にたちまちヒットチャートを駆け上っていった。
" こんなものが詞だっていうんなら、詞なんかやりたくねえや "
川野は福岡の高校を卒業後、漠然と芸能界に憧れて東京へ出て来ていた。
だが、当初目差した歌手にもなれず、勉強のためと思って入学した俳優養成所でも芽が出ず、アルバイトで始めたパーテンダーが何時しか正業のようになっていた。
そんな折り、当時売り出した若手作詞家が次々とヒット曲を連発して、脚光を浴びるようになっていた。
川野はその姿に刺激を受けて、一時は諦め掛けていた芸能界への夢を再燃させていた、
作詞家なら、俺にも出来るかも知れない。
その結果、幸か不幸か、バーの馴染客のディレクターに売り込んだ二、三の作品がB面での採用となって、川野は一気にその気になっていた。
「この人、作詞家なのよ」
バーのホステス達がからかい半分で酔客達に紹介する言葉が心地良く耳に響いた。
川野は何時しか、作詞家気取りになっていた。
しかし、その幸運も長くは続かなかった。
最初のB面採用から順調に三つ四つの作品は採用されたが、顔馴染のディレクターが移動になると、採用はぱったり途絶えた。
川野自身の才能も早くも行き詰まりをみせて、枯れかけていた。
以来、明子と再会するまでの十五年間、川野は相変わらずバーテンダーを生業としながら、未だに作詞家への未練をも断ち切れずにだらだらと生きていた。
結婚はしていなかった。
当然の事ながら、何人かの女達との交渉はあったが、そこに深入りする気持ちもまた、湧いて来なかった。
川野に取っては最早、日常の総てが虚構でしかなかった。真実とは・・・?
明子と過ごしたあの短い日々が今では、川野に取っては彼が過ごして来た人生の中での最も充実した、もはや帰り来ぬ幸福な日々であったのかも知れなかった。
ホテルのロビーには何時の間にか、まばゆい明かりがシャンデリアの灯を点していた。
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takeziisan様
有難う御座います
美しい写真の数々 楽しませて戴きました
銀杏並木 素晴らしいですね 何本あるのでしょう
遠く山なみの見える風景が風情を添えます
このような景色の中を歩いてみたいものです
夜明けのうたの写真 見惚れる美しさです
自然が創り出す美 生半可な人間の手の及ばないところです
普段はテレビを滅多に見ないのですが この季節になるといつも
番組表を見て自然を映す番組を探しています
毎年毎年 何度見ても新たな感動と興奮に息を呑み
感嘆の声を上げています
月蝕も見ましたがすでに何回か眼にしている風景で
テレビで騒ぐ程の感動は覚えませんでした これも
長く生きている事の功罪でしょうか
柿 羨ましいです 庭に一本欲しい木ですが 狭い庭
場所がありません 以前にも書きましたが
日本の風景の原点という気がします
足がつる・・・ 年齢と共に夜 寝ている時につる事が多くなりました
あの痛さときたら息を止めて耐えているより仕方がありません
困ったものです
ワクチンは一度も射っていません 外出して他人と会う事もほとんどありませんので
副作用との功罪を考え射ちません 幸い
健康体ですので
不要物整理 我が部屋はゴミ屋敷同然 でもこれがまた
便利でもあります 当分 ゴミ屋敷の住人として過ごすつもりでいます
意地でもまだ 終活はしない心算で日々生きています
何時も楽しい記事有難う御座います また
毎回 記事に御眼をお通し戴く事に重ねて御礼致します
桂蓮様
有難う御座いす
ポワント達成 素晴らしいですね
いよいよバレーダンサー登場 というところでしょうか
それにしても人間の可能性というのは凄いものですね
バレーもそうですがサーカスなどで見るあの驚異的な体の動き
ちょっと想像も出来ない動きを平然とこなします
要するに人々が出来ない と言ってる事は やっていない
とい事なんではないでしょうか 努力次第で人はなんでも出来る
そう思いたいものです
抽象芸術は奥が深いですね でも 世間には抽象芸術を語った
まがい物ががなんと多い事か
新作が見えなかったので 旧作 他人の悟り を
拝見しました
悟りに他人は関係ない 他人は他人 それでよいのではないでしょうか
吾は吾 花は咲けば散ってゆく 鳥は日暮れになればねぐらへ帰る
言いたい事があればどうぞ御勝手に あなたはあなた わたしはわたし
わたしはわたしの真実 わたしの道を歩いて行きます
お先にどうぞ
それでよいのではないでしょうか
無 無は無限の有を含んでいます
お忙しい中 何時もお眼をお通し戴き
御礼申し上げます 有難う御座います