岡本太郎芸術より ねぶた(2024.2.25日作)
岡本太郎芸術より
ねぶた ねぷた
岡本芸術 何処か
メキシコ芸術等からの
借り物的印象 匂い
(初期作品 傷ましき腕 秀作)
ーーメキシコ市街の壁 古い発掘物などに
しばしば見られる美の様式
青森 秋田の ねぶた ねぷた
この国 日本 東北
地元に根差した 風土が
醸し出す 美
美しいと思う
人間は自分の視点でしか
物を見る事が出来ない
悪の視点 膳の視点
人間性が反映する
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希望(11)
「おふくろ ?」
修二は思わず聞き返してマスターを見た。
「おまえと話しがしてえんだってよ。少し時間をくれって言ってる」
修二は身を堅くした。
「おふくろなんて、どうだっていいですよ」
自分には関係のない事のように修二は言った。
これからの時間、店が忙しくなるのを知っていた。
店に迷惑を掛けたくない思いもあった。
修二に取って今、一番大切なのはこの店だった。
漸く手にした落ち着いた生活を誰にも邪魔されたくなかった。
ましてや、自分達を一度は見捨てた母親だった。今更、母親面をされたくはなかった。今の修二には母親と話さなければならない事など何もなかった。
「どうだっていいって言ったって、放って置く訳にもいかねえだろうよ。行って話しをして来いよ。店の支度はいいから」
マスターは母親に対する修二の苛立ちを察したらしく、諭すような口調で言った。
「喫茶店の" らんぶる " なら落ち着いて話しが出来るから行って来いよ」
マスターの言葉に強制的な響きはなかった。
それでも修二はマスターに逆らう事は出来なくて、
「はい」
と答えていた。
日頃からマスターが何かと気を使ってくれる事に修二は感謝をしていた。
修二が二階の部屋で着替えを済ませ、店の外に出ると母親は向こう側の歩道に立っていた。
修二の姿を見ると急かれたように車道を渡って来た。
「なんだよ、随分待たせるんだねえ」
と、苛立った口調で言った。
恐らく、三十分近くは待ったはずだった。
修二は返事もしなかった。
すぐに母親の前に立って歩き出した。
「ちょっと待ってなよ。マスターに挨拶をして来るから」
母親はなおも修二を咎めるように言った。
修二はマスターという言葉で足を止めた。
母親は店に向かうと入口で頭を下げて挨拶をした。
「済いません、ちょっとお借りします」
修二に向けたとげとげしさは無くて、愛想の良さを滲ませた口調だった。
修二はそんな母親の下卑た変わり身の早さにまた嫌悪感を抱いた。
母親はすぐに戻って来た。
「何処か腰を落ち着ける場所はないかね」
修二の後を追いながら母親は言った。
修二は返事をしなかった。
母親の前に立ってただ歩いた。
「喫茶 らんぶる」は五分程の場所にあった。
その間、母親は修二の後を追うように小走りに付いて来た。
「何時(いつ)からあの店で働くようになったんだい ?」
店内に入り、テーブル席に向き合って着くと母親はまず聞いた。
修二は答えなかった。
店員が注文を取りに来た。
「何にする ?」
母親は猫撫で声で修二に聞いた。
修二はやはり答えなかった。
母親は修二の答えを待たずに、
「コーヒー二つ」
と言った。
店内は空いていた。
店員が背中を見せてその場を離れると母親は早速口を開いた。
「おまえがあの夜、姿を消してしまってから、何処へ行ったのかって随分、心配したんだよ。でも、小さい子供でもないと思って気持ちを落ち着けたんだけどね。それでね、十日ぐらい前だったかなあ、店に来るトラックの運転手さんが、おまえをあの店で見たって教えてくれたんだよ。だもんで、自分の眼で確かめてみようと思って来た訳なんだよ。いろいろ家の事なんかもあるし、おまえの居場所が分からないと何かと不便だからねえ」
母親は修二の様子を探るようにじっと見つめたまま言った。それから機嫌を取るかの様に穏やかな口調で、
「ずっと、あの店で働いていたのかい ?」
と言った。
修二は母親と向き合ったまま、不機嫌な表情で黙っていたが、その穏やかさを滲ませた口調に我慢が出来なくなって、
「うっせえな ! 俺がどうしようとてめえには関係ねえだろう」
と、怒鳴っていた。
母親は突然発した修二の怒声に一瞬、驚いた様に身体を引いたが、また身を乗り出して、
「大きな声を出すんじゃないよ ! みんなが見るだろう」
と、叱責するように言った。
事実、周囲に居た何人かの人達が視線を向けて来た。
「見たってかまわねえよ !」
修二は不機嫌な表情のまま言い放った。
母親は周囲を憚ってかそれ以上は口にしなかった。
コーヒーが運ばれて来た。
それぞれの前に置かれると母親は自分の分には備え付けの砂糖とミルクを入れたが、修二のものには入れようとしはしなかった。
修二の反発を恐れているのが明らかだった。
修二は椅子の肘掛けに両腕を掛け、背中を後ろに持たせ掛けたままの姿勢で、何時、母親の前から立ち去ろうかと考えていた。母親と話す事など何も無かった。
「修二ねえ、おまえ、母ちゃんを怒っているんだろう ?」
母親はコーヒーを掻き混ぜ終わるとその手を止めて修二の顔に視線を向けて言った。
修二を問い詰めるかのような厳しい口調だった。
修二は怒りの滲んだ表情のまま返事もしなかった。
母親はそんな修二には構わずに如何にも不快気な口調で言葉を続けた。
「でも、仕様がないじゃないか。母ちゃんが働きに出なければ、何処からもお金が入って来るところが無かったんだから。父ちゃんに掛かった医者代だって大変なもんだったんだよ。それに元々、父ちゃんがあんな風になっのも、父ちゃんの責任なんだよ。毎日、酒ばっかり吞んでいて、いくら注意しても聞かなかったんだから。見てみなよ、父ちゃんが死んだって、家が火事になったって、保険金の一銭だって入って来やしないじゃないか。みんな父ちゃんが吞んじゃったんだよ」
「父ちゃんの事ば悪く言うな ! 父ちゃんは酒ばっかり呑んでても、仕事は毎日真面目にやってた !」
修二に取って父を貶す事は冒涜だった。ましてや他の男に走った母親がそんな言葉を口にする事など、猶更、許せなかった。
母親はしかし、修二の反撃にも怯まなかった。
更に不満も露わに言葉を重ねた。
「それは仕事は毎日やっていたよ。でも、倒れる前の一年ぐらいは大事な事はみんな、母ちゃんがやってたんだよ。心臓は悪くなるし、肝臓は悪くなるしで、父ちゃんの身体はガタガタだったんだから。だから、母ちゃんの言う事を聞いて、少しでも酒を控えていたら、こんな事にはならなかったんだよ」
修二も父親の身体の悪い事は知っていた。
父親の唯一の欠点が酒好きだった。
そんな父だったが、修二には何時も優しかった。夜釣りに連れて行ってくれたり、ホオジロを入れる鳥かごを作ってくれたり、友達のように優しかった父親だった。
高木ナナのCDを聴く為にプレイヤーを買ってくれたのも父だった。
「それに婆ちゃんだって悪いんだよ。母ちゃんが夜昼構わず働いてるのに、父ちゃんの面倒見が悪いんだとかなんだとか、誰構わず言いふらして歩いてさ。幾ら働いても良く言われない家の中で二年も三年も治る見込みのない病人を抱えて暮らすなんて、おまえだって考えただけでもうんざりするだろう。家を出たくなるのも当たり前じゃないか」
修二は母親の言葉を確かに耳にしていた。だが、修二の耳にはその言葉が、何処か遠い所で見知らぬ人が口にしている言葉の様にしか響いて来なかった。
そんなてめえのせいで、俺も婆ちゃんもえれえ苦労ばしたんだ !
喉まで出かかる怒りの言葉も呑み込んで結局、口にしなかった。
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takeziisan様
有難う御座います
週番 懐かしい言葉ですね
昭和三十年当時の記憶が鮮明に蘇ります
あの家並み 古き良き時代というより まだ貧しかった時代の景色
今では遠い記憶の中の風景ですが 何故かあの頃に
郷愁を覚えます
人々が一生懸命に生きていた時代でした 今はあの当時より
多少は豊かになっているのかも知れませんが人の心の有り様では
どうなんでしょう
野球 相撲 懐かしい名前ばかりです
春の要請 地に這うように咲く花々 寒さの中に何故かふと
温もりの感情を目覚めさせます それにしてもホトケ草の強さ
わが家の屋上でも根を張り 花を咲かせます それでいて邪魔にも思えない小さな花です
それにしても見事な野菜 収穫の喜びが見ているだけで伝わって来ます
収穫の喜び 何時も羨望の眼差しで拝見しています
今年は総ての野菜が高いです 日常 無くてはならない物だけに主婦の方々の
困惑が眼に見えます
薄化粧 海辺育ちの人間にも何故か懐かしい風景です
国土の三分の二が山々 この国に生きる者の自然な感情ではないでしょうか
わたくしの中では東北地方に旅行をした時に眼にした山々の姿が
今でも鮮明に 懐かしさと共に甦って来ます そしてふと
すぎもとまさと の「吾亦紅」を思い浮かべます
美しく青きドナウ ウイーンフィルハーモニーの定番ですね
小澤征爾の追悼番組でもやっていました 映画の舞踏会場面でもしばしば登場して
ポピュラー化していますね
今回もいろいろ楽しませて戴きました
有難う御座います