遺す言葉

つぶやき日記

遺す言葉(511) 小説 希望(完) 他 神は無力

2024-08-18 12:35:09 | 小説
             神は無力(2024.8.11日作)



 
 神よ もし あなたが存在するのなら
 この広大無辺の宇宙の中の小さな星 地球で
 今 現に引き起こされている
 あの地 この地に於ける悲惨な出来事
 数限りない惨状悲劇をどのような眼差しで
 御覧になっておいでですか ?
 神よ 現在 あなた方がこの世界を創ったと信じる
 数多くの人々が あの国 この国に存在する中で 
 あなた方はその人達に何を望んで 何を
 お恵みですか ? この地球上
 あの国の人々が帰依信奉する あの神
 この国の人々が帰依信奉する この神
 国の数だけ存在すると思われる神 神々
 数多くの神々 その神とはいったい
 どのような存在なのですか ?
 只今現在 この地球上 世界各地で繰り返される 
 様々な惨状悲劇 そこに眼を瞑り ただただ
 豪奢 絢爛 金銀財宝で飾り付けられ
 磨き上げられた神殿神社仏閣 その中で
 あなたの存在を世界に吹聴する
 神の下僕(しもべ)と称する者達に あなたの
 尊さ 偉大さを喧伝させて あなたはただ
 この世を超越した存在として 眠っておられる
 それのみですか ? その神 神々とは
 この人間社会に於ける存在として
 どのような価値と意義をお持ちなのでしょう
 お題目で飾られただけの神
 虚飾で彩られただけの神 もし
 あなたがそれだけの存在であったとするのなら
 神はこの世に存在しない
 神などこの世界には居ない
 それと同等 同じ事ではないのでしょうか ?
 そうです 私は思います
 この地球上 世界には神など存在しない
 全知全能 世界の人々 人類の苦難 苦境
 救い得る神など存在しない 人は 人類 人間は
 この広大無辺 宇宙の中に
 ポツンと放り出された孤独な存在
 誰に頼る事も叶わず
 誰に縋る事も出来ない
 孤独な存在 それが人間 人間社会
 その孤独な人間 人間同士 只今現在
 あちらの国 こちらの国 互いに
 憎しみ いがみ合い ののしり合って怒りをぶっ付け
 挙句の果ての惨状悲劇 その繰り返し
 神よ 世界のあちこち 各国各地に存在する神々達よ
 もし あなた方が存在するのなら   
 あの国 この国 各地の人々 数限りない世界の人々が信じるように
 人類 人間を超越した存在としての能力 その力を
 存分 充分に発揮して 只今現在
 この世界 地球上で絶え間なく繰り広げられる
 数限りない惨状悲劇を一刻も早く
 お収め下さい・・・・・否 否 否 !
 それは不可能 無理な事
 やっぱり神など存在しない
 この世の惨状悲劇を救い得る
 優れた神など何処にも居ない この地球上 この世界
 只今現在 絶え間なく繰り広げられる数々の惨状悲劇
 収め得るものはただただ人間 人間のみ
 広大無辺の宇宙の中 誰に頼る事も叶わず 誰に縋る事も出来ない人間 その人間のみ 
 人間 人の持つ心 真心 良心 世界の惨状悲劇を救い得るただ一つのもの
 世界各国各地 おのおの帰依 信奉する幾多の神々
 その神々 神達が この世の惨状 悲劇を収め得るなど
 あり得ない この世界 あの地 この地で勃発
 絶え間なく繰り返される醜い争い
 自国の神 自身の帰依 信奉するあの神 この神
 それらの神々故に引き起こされる醜い争い 愚かな諍い
 世界各地に於けるあの神 この神 その神々達はただただ
 悲劇の根源 災厄受難 その源 それだけの存在
 もう沢山 ! うんざりだ 
 全知全能 無限の力の神など何処にも居ない
 この宇宙 宇宙の中の小さな星 地球 地球に於ける
 孤独な存在 人間 人間
 誰に頼る事も叶わず
 誰に縋る事も出来ない
 そんな人間のみが この世の醜い争い
 愚かな諍い 蛮行 愚行 収め得る
  無能な神々 空疎な神 もう沢山だ !
 人 人 人 ただ 人
 人の心 真心 良心 この現実社会の悲惨な出来事
 醜い争い 蛮行 愚行 収め得るものは ただ 人間のみ
 人間 人 人 人 人の心 真心 良心 現実社会の悲惨な出来事 
 醜い争い 蛮行愚行 収め得るものはただただ
 人間のみ 人間 人の心 真心 良心 心 心 心 ただ心 
 人間 人間 人間 人間の心 真心 良心 この世界 地球上
 あちらこちらで勃発 繰り返される
 醜い争い 愚かな行為
 収め得るものはただ人間 人間 人の心 真心 良心
 無能で無力な神などではない
 他者を敬い 他者を尊ぶ人の その心 真心 人の 良心 それのみ
 全知全能 人間社会の愚かな争い 愚行蛮行 収め得る
 偉大な神など何処にも居ない !
 

          神とは人が人として生きる上で
          自身を律する為に
          自身の心の裡で秘かに育む存在 
          頼るべき存在ではない




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             希望(完)



 
 
 修二は窓際の一つのベッドを占めていた。
 修二が浅い眠りから醒めると女将さんの姿があった。
 ベッドの傍でテーブルの引き出しを開け、中の整理をしていた。
 女将さんは修二の気配に気付くと振り向いた。
「眼が醒めたの ?」
 女将さんは言った。
 優しい眼差しだった。
 修二は黙っていた。
 それでも以前、しばしば見せた人を寄せ付けない険しい表情はなかった。
「さっき、医師(せんせい)が来たの。あと一週間で退院出来るって言ってたわよ」
 女将さんは言った。
「一週間ですか ?」
 修二は静かに言った。
 特別に喜びの感情も湧いて来なかった。
 退院の近い事は日々、充実度を増して来る体調と共に感じ取っていた。
 実際には修二の快復は奇跡に近いものだと医師は言った。
「若さに加え、並外れた体力が命を持ち堪えさせたんでしょうね」
 医師は言っていた。
 出血多量でその場で死んでいても不思議は無かった。ーー
 背中までも突き抜け兼ねないナイフの傷は首に近い動脈をも傷めていた。
 出血多量で十パーセントにも満たない可能性の中で快復手術は行われた。
 女将さんは午後一時過ぎの暇な時間帯をみては顔を見せてくれた。
 マスターも二度、顔を見せてくれた。
 鈴ちゃんは修二の体調が良くなるのと共に、また悪口の冗談を言った。
「踏んでも蹴っても死なないね。見上げたものよ。大したもんだわ」
 鈴ちゃんに悪意の無い事は分かっていた。
「鈴ちゃんだって、踏んでも蹴っても死なないよ」
 修二は言い返した。
 母親は顔を見せなかった。
 連絡が取れないという事だった。
 修二はむしろホットした。
 母親の顔など見たくもなかった。
 北川と鳥越は逮捕された。
 防犯カメラに映った映像と共に、修二がマスターの店で働いている事が動かし難い証拠となっていた。
 ナイフは北川、鳥越、二人共家宅捜索を受けたが発見されなかった。
 問い詰められた北川は、境川へ捨てたと言った。
 それでも発見はされなかった。
 何処かへ流されてしまったのか ?
   ナイフの行方は不明のままだった。
 マスターは二度、警察に呼び出された。
 北川達が頻繁に出入りしていた事と、修二が働いていた事で事情聴取を受けた。
 改めて<ブラックキャッツ>のリーダー傷害事件も関連付けて聞かれたらしかったが、結局はマスターの責任が問われる事はなかった。
 その話しを聞いた時、修二は何故とはなしに安堵した。
 マスターに迷惑が掛からなかった事が嬉しかった。
 退院後の生活に付いては思い悩む事は無かった。
 マスターは早く身体を治して店に戻って来いと言ってくれていた。
 事件の結果、どの様な刑が科せられるのか分からなかったが、いずれにしても、どんな結果が出ようとそれはそれでいいと思った。
 総ての結果を受け入れる覚悟は出来ていた。
 時計屋の老夫婦が二人共怪我もなく、無事だったと聞いた時には心の底から嬉しかった。溢れる満足感と共に、自分の行動が決して間違いではなかったと、改めて認識した。
 気持ちの奥には死んだ婆ちゃんの姿があった。
 婆ちゃんが喜んでいてくれる様な気がしてならなかった。
 ーーだからこそ、どんな罰を受けようが受け入れる事が出来るんだ、と思った。
 女将さんはその日も二時を過ぎてから帰って行った。
 一人になると改めて退院後の生活に付いて思いを馳せた。
 或いは、何年か拘束される結果が出るかも知れないと思ったが、それはそれでやっぱり受け入れる覚悟は出来ていた。
 総て良しだ、と修二は思った。
 たとえどんな結果が出ようとも怖れる気持ちはなかった。
 総てを受け入れる覚悟が出来ていた。そして、その果てに見ていたものは新しい自分の世界だった。今度の出来事の総てを清算する事に依って、全く新しい、真っ新な世界が自分の眼の前に開かれる気がしていた。
 警察には、もし事情聴取された時には一切、包み隠さず話す心算でいた。
 総てを清算した後の生活に付いては思い悩む事は無かった。
 マスターは度重なる修二の不祥事にも係わらず、また働かせてくれると言っていた。
 今度こそ真面目にしっかり働いて、マスターの気持ちに報いたいと思った。
 北川や鳥越を裏切った事に関しては、それ程、心配していなかった。
 マスターが背後にいる限り彼等が修二に対して手荒な行動に出る事は出来ないという思いが強かった。
 マスターはその世界から足を洗ったとはいえ、依然として大きな力を持っている事は女将さんからも聞いて分かっていた。
 修二は女将さんが帰って一人になったベッドの上で眼を閉じると、改めて自分がこれから生きて行く新しい世界への希望に胸を膨らませ、深い満足感に包まれていた。




             完




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               takeziisan様


                連日の猛暑 お変わりない事と思います   
               何時も 有難う御座います
                この暑い夏 山の風景はいいですね 心が洗われます        
               それにしてもあちこち よくお出かけです
               写真を見る事によって思い出もまた 新たに甦るのではないでしょうか
               「夏の思い出」 何時 聴いてもいい歌です
               これもラジオ歌謡から生まれた歌ですね 朝と夕方 決まって流れ
               何時しか耳に馴染んだ歌でしたが 見た事も無い尾瀬の情景がまざまざと
               眼の前に浮かんで来て作詞の江間章子 作曲の中田喜直の名前もこの時
               記憶しました 懐かしい歌です 確か石井好子さんが唄っていたと思います
                ジェルソミーナ 日曜は駄目よ この曲もよく耳にしました
               旅芸人の男がふと立ち寄った地で 洗濯物を干しながら一人の女性が口にしていた
               この曲と共に甦るジェルソミーナの面影 切ないですね
               人はどのような存在であっても それなりに存在意義を持っている
               そう思わせる結末です フェリーニの傑作ですね
               ところが 日曜は駄目よ これは観ていないのです
               何故だか この主題曲と共に評判になった映画なのですが
               今も観てみたい映画の一つです
                ゴーヤ 我が家でも妹の家のゴーヤが食べきれないのでと
               お盆のお墓参りの帰りに貰って来ました
               熱さのせいで しなしなになってしまったのですが
               水に浸けたら快復しました
                カガッポシイ 初めて聞く言葉です
               輝く に掛かる言葉でしょうか 面白く思いました
               方言には 思わぬ深い意味が込められている場合が多いですね
               参考になりました
                有難う御座いました