遺す言葉

つぶやき日記

遺す言葉(534)小説 <青い館>の女<23> 他 大切な事

2025-02-09 12:45:54 | 小説
             大切な事(2025.1.28日作)



 人が生きる上で最も大切な事
 今日より明日を もっと 
 良く生きようとする 心
 それでも人は しばしば 明日をもっと
 良く生きようとして
 悲惨なものにしてしまう
 欲望に捉われる人間の業その結果
 人は 人が持つ二つの心 良心 欲望
 その 良心に従い真摯に生きる その時にのみ
 明日は約束される 
 人が持つ欲望 
 欲望は底なしの 泥沼
 一度踏みいれた足を引き抜く事の難しさ 困難さ
 歩く毎に足は深みにはまつてゆく



     全智全能の神など存在しない
     宗教上の神が人間の苦難 苦境を救う事は出来ない
     究極に於いて人の苦難 苦境を救い得る力を持つ存在は
     人の持つ善意 心と行動でしかない




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              <青い館>の女(23)



「惣治さんの奥さんか ?」
「そうよ、御長男の奥さん」
「それならそうと、早く招待状を出さなければ歳の暮れだし、みんな予定を組んじゃうだろうになあ。それこそ御歴々が集まるのだろうから」
 わたしは不満を重ねて言った。
「あなたがそこまで心配する必要は無いのよ」
 妻はわたしの不満だらけの口調に匙を投げた様に言った。

 都内の有名ホテルで行われた飯倉肇夫妻の結婚六十周年を祝うダイヤモンド婚は盛大なものだった。
<スパーマキモト>の存在など意に留める人など居ないであろうと思われる程に、著名な企業を代表する著名な人々が夫人同伴で顔を揃えた。
 政治家もまた然りだった。
 売り出し中の若手を始め、元大臣なども何人か顔を見せていて、未だ衰えぬ飯倉肇の影響力を誇示している様に見えた。
 金屏風を背にして一段高い場所の椅子に座った飯倉肇夫妻はひどく小柄で、彼はまるで好々爺に見えた。
 政治の世界で今なお、噂される影響力を持つ人の様にはとても思えなかった。
 以前にはわたしも何度か挨拶だけはした事があって、恰幅の良い身体から滲み出る迫力に圧倒される思いを抱いた記憶があるが、今ではそんな気配も見えなくてそれも歳のせいかも知れなかった。
 式は二部形式になっていた。
 一部では祝辞や様々な挨拶が型通りに行われて、それが済むと次の間に移っての立食パーティーになった。
 わたしの妻は濃紫のイブニングドレスに豪華な洋蘭の花飾りという装いで出席していたが、芸能界から有名女優達も数多く出席している中でも彼女の華やかさは引けを取らなかった。
 還暦を過ぎてやや太り気味に見える体躯からは貫録さえもが滲み出ていて、胸元を露出した衣装も不自然ではなかった。
 わたしは妻の衣装に合わせてのタキシード着用だった。
 普段、着馴れないせいもあって一足歩くのにもぎごちなさが伴った。
 パーティーへの出席自体に乗り気ではなかったわたしは、体調への不安と共にウイスキーの水割りグラスを手に、自ずと会場の片隅でぽつんとしている時間が多くなった。
 その中で次第に増して来る疲労感と共に益々厭世的な気分に陥り、こぼれる様な笑顔で談笑する煌びやかな衣装の人々に皮肉な眼差しを向けて眺めていた。
 それにしても・・・・と、わたしは思った。
 妻と二人、小さな結婚式や祝事にはこれまでも何度か出席していたが、これ程大きなパーティーには出た事の無いわたしには妻の顔の広さが驚きだった。
 経済界の御歴々は無論の事、芸能人や大学教授といった人達ともまるで古い知己ででもあるかの様に親し気に言葉を交わしていて、それが少しも不自然ではなかった。
 妻はせっせと出歩いていた陰で、こうした人達との人脈も抜かりなく築いていたのだろうか ?
 それが<スーパーマキモト>の経営にどれだけ寄与していたかとなると、わたしには判断出来ない事であったが、義父の顔の広かった事もあって、多分、いろいろな方面で力になっているのだろう。
 妻が遠くから手招きした。
 わたしが人と人の間をすり抜けて行くと、妻は傍に居た五十歳がらみの男をわたしに紹介した。
「こちらの方、T農産大学の浅川教授よ。流通関係が御専門だから御見知り置き戴いて何かと御相談に乗って戴いたらいいわ」
 浅川教授はテレビのおふざけ番組などにもよく出ていて、わたしは顔だけは知っていた。
「浅川です。どうぞ宜しく」
 教授は右手を差し伸べ、今どき、怪しげな商人でさえ見せないであろう様な、ひどく下卑た感じのする愛想笑いを浮かべて如才なく言った。
「マキモトの会長で、わたしの連れ合いです」
 妻はわたしを教授に紹介した。
「牧本です」
 名刺を差し出しわたしは、極力、不機嫌さを抑えた笑顔で丁寧に挨拶した。 
 この教授にわたしは日頃から好感を持っていなかった。
 愚にも付かないおふざけ番組の中で、なんの取り柄もないタレント達に迎合してふざけ合っている姿をしばしば眼にしていた。
 大学教授らしい品位の欠けらもないそんな姿にわたしは、こんな教授に講義を受けている様では学生達が勉強する事もなく遊び惚けているのも無理の無い事だと思っていた。
 わたしはだが、長年、妻や義父の下で頭を抑え付けられ続けて来た哀れな男の習性で、教授に抱いている日頃の不満も包み隠して愛想笑いを浮かべ、挨拶したのだった。
 教授はわたしが差し出した名刺を受け取ると、一瞥もくれずに右手の中で丸め、
「済みません。わたし、名刺を持っていないものですから」
 と、妙に冷ややかに見える例の笑顔で言った。
 恐らく教授は、その抜け目の無さで素早くわたしと妻との力関係を見抜いていたのだ。
 わたしが牧本家では取るに足りない存在でしかないと値踏みしていたのだ。
 実際に教授が名刺を持っていようがいまいが、わたしにはどうでもいい事ではあったが。




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               takeziisan様


                パソコン この厄介者無ければ今の時代不便
              なんとか最低限の知識で使用はしていても変わる度に四苦八苦 
              つくづく時代遅れの身を感じる始末 それでも敢えて
              新しさに挑もうという気にもなれません
              まあ 必要なものだけに使えればいいと諦めています
               今年でサポート終了との事 さあ どうしよう
              また思案投げ首 その時はその時 腹を括るり仕方がありません
               立春になってのこの寒さ それでもこの地方は雪も無く なんと過ごし易い事かと
              雪に埋もれる地方の景色を見る度に思わぬ感謝の気持ちさえ湧いて来ます
              勿論 この地方でも景色は冬枯れ 公園の木々は葉を落とし枯れ木の色
              ただ 春よ来い 早く来い と願う気持ちのみです
              そんな中でのロウバイ 鮮やかな黄色 無論 この地方でも見られます
               アオジ メジロ共に懐かしい名前です
               白菜漬け 羨ましい限り
              自分好みの味付け自在 なんと贅沢な事か 
              農家の方々 漁業の方々 地方のなんとはない生活を映したテレビの番組を見るのを
              下らない番組群の中で唯一楽しみにしているのですが
              見る度にその豊かさに羨望の眼差しを向けて見ています
              今年の野菜のバカ高さ 羨ましい限りです
               いずれにしても去年から今年 日々 生きて行く事の息苦しさ困難さを
              日毎感じています
               この寒さもあと少し どうぞ御身体を大切に
              有難う御座いまし



               albi-france

                有難う御座います
               小梅ちゃん ぬいぐるみに見えて ちょこっと坐った姿は
               人間の子供の様にも見えて思わず笑ってしまいます
               これではなかなか手放す事は出来ませんね
               わたくしは昔 亀やオウムを飼った事がありますが
               死なれた時の痛みが大きくて 以来 生き物は飼っていません
               それでも このような写真を見ると改めてその人の気持ちが分かって来ます
               どうぞ 大切にして下さい
                焼き立てパン 子供の頃 焼き立てのアンパンを食べた事がありますが
               あの時のなんとも言えぬ旨さは以来 経験した事がありません
               毎日の食卓に焼き立てパン わたくしの昼食は乾いた食パン二枚
               羨ましい限りです それでもパン好きの人間
               なんとなく満足しています
                中身は大人になれず 幾つになっても同じ事
               でも それが若さの秘密かも知れません
                有難う御座いました
              
               

              

              




               


























    
 
 
 
 

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