これは今週の月曜のことだった。
ラッシュのピークが終わった頃に僕は池袋に到着する。
池袋北口は、多くの中国人が生活している。いっとき、このあたり一帯中国人に乗っ取られるのでは? と皆が危惧する時期もあった。中華料理店然り、エステ、中国人専門スーパー等々、あらゆる業態の企業が軒を連ねるようになった。
右向いても左向いても、その風体からは日本人か中国人かの判断がつかない。言葉を聞いて初めてどっちかが判る次第だ。
駅の階段を上り会社に向かおうとしたとき、スワッ! 黒装束軍団!
前方から黒のTシャツに何やら黄と赤の文字がかかれた旗を掲げた集団が歩いてきた。その彼らが、なにやらシュプレヒコールをあげている。目算してざっと2~30人。ボソボソ、という感じの声だったから喋っている中身は解らない。
しかし! これはあまりにタイミングが良すぎる。流石に彼らも日本国内ではデモは出来ないだろう。きっと大人しく鳴りを潜め、じっと収まるのを待つ。それが関の山、そう踏んでいた。
まさか、が現実に起こった?
テレビに映った中国国内の衝撃的映像からすればその比ではない。しかし、だ。
この日、人身事故の影響で電車の遅延が酷くもはや遅刻寸前の状況だった。いくら好奇心旺盛の僕でも、流石にここに立ち止まっているわけには行かない。で、歩を進めた。
……………………十五歩足を進めたとき、好奇の誘惑が最高潮になって僕を襲った。
相変わらず、誘惑に弱い。
かつて女の誘惑にも勝てなかった? ノスタルジックに今これを思い出してる場合じゃない。
十五歩戻った。
旗がひらめいたとき、カレーの文字が僕の目に飛び込んできた。さらにオープンの文字が、翻った旗の裏側に見えた。黒地の布にカレーの文字ガが黄色、オープンが赤。
……………………マジっすか〔カトゥーン中丸君風に〕
紛らわしいことするなよな( ̄○ ̄;)
僕は老体に鞭打って会社に急いだ。(※『老体に鞭打って』→実際は若いのに、こう書いたほうがウケると思って、敢えてこうした。)