数日前から車の調子がイマイチ(右前輪付近から異音がする)だったので、有明にある車屋さんに預け診てもらっていた。すると、異常音は何もナシという結果が出た。僕に聞こえて、他の者に聞こえない。そんなミステリーじみた話があるのか? と内心訝りながらも車を引き取って、その足で信州方面に向かった。
この日は、雲一つない空が遠い彼方まで冴えわたっていた。そんな青空の下、車を走らせること五分。レインボーブリッジがスカイブルーに染まった空の下に見えてくる。まもなくそこを通過するのだと思う間もなく、車はもう目前に来ていた。急ぐ旅ではない。ゆっくり車を走らせる。すると、前方に東京タワー右手に東京スカイツリーが見えてきた。絶好のロケーションだ。しかし運転している最中、センチメンタルな気分に浸っている場合じゃない。チラッとそれを見てやりすごす。
車の渋滞もなくそのまま高速四号線に入り中央高速に。そして休憩、八王子手前の石川PAに入る。SAやPAに入ると小生、無為徒食の時間を建物内で過ごすのが好きだ。土産物を観たり、特段欲しかったわけでもないモノを買ったりする。実に、ぶらり旅の楽しみ、旅の醍醐味だ。
予報通り、チトばかし暑かった。ソフトクリームを買った。理由のない買い物には徹底して目を光らす相方もこの日ばかりは大目に見てくれた。PA内の『八王子ラーメン麺や石川』のゾーンに、空いてる席を見つけそこに座り食べた。
何気に外を眺めていると、窓際に置いてあるボックスを見つけた。そこに『お客様の声をお聞かせください』とある。お客様? といえば、ここでは僕のことだ。僕の声を、か? うむ、聞かせてどうするの? 良いことがある? 聞かせれば美声の点数でも出るのか? そしてこれがオペラ歌手への登竜門だったりして。そう思うと、一人で可笑しくなりほくそ笑んだ。よし、やってみよう。ボックスの上に細い穴が開いている。聞かせるには、ここしかなさそうだ。なるべく目立たないよう声を出した。「あ~、もしもし」………。反応がない。もう一度、今度は「ラッスンゴレライ」………。ウケない!^ ^;;
ふと気づいた。自分のこの姿。突然気恥ずかしくなりゆっくり振り返る。慌てて顔を伏せる者がそこにいた。もうこの歳だ。顔も赤らむこともない。旅の恥はかき捨て、と自分に言い聞かせる。
勝沼インターで降りた。ナビがあると実に便利だ。思ってもみなかった道に誘導してくれ、目的地まで連れていってくれる。しかし、記憶に全く残らないのが難点だ。笛吹川温泉坐忘という旅館にはインターから二十分ほどで着いた。
旅行を満喫できたかどうかは、温泉そして料理、スタッフのおもてなし。それに尽きる。ここの温泉はアルカリ性で肌に滑らか。部屋もきれいだったし朝晩の食事も申し分なかった。料金的にもまさに手ごろで、ここはもう一度行ってみたい旅館の一つとした。
美味いものというのは大抵塩分も大目、更にその料理の量も半端じゃない。こうなれば、血圧上昇もやむをえない。その翌日から血圧はかなり高くなった。戻すには数日間はかかる。仕方ないか!^ ^;;
毎度思うのだが、温泉旅行もこれさえなければ最高なのだ。つまり、美味いものには塩分相当控えめに、そしてその量はそこそこでいい。わがままを言っている?^^