この日のアニキンの歌は妙に切なく聞こえた。
心がこもっているという感じだ。そんな風に思いながらベースを弾いていると、ふと、暗い店内の片隅に一人の女性がいるのを見つけた。
仄かな灯りが彼女の顔を照らしていた。整った顔立ちと涼しげな眼差しで大人の女という雰囲気+を醸し出していた。
サパークラブという性格上決して不似合いの女性ではない。だが今まで見たことがなかった。
我々のバンドの誰かのファンだろうか、いやいやそれはあり得ない。ミーちゃんハーちゃんを相手にしてきた我々のバンド、今は仕方なくこういった店に出ているが、これこそ不似合いだ。
ということはこの店のオーナーの彼女か、それともあの無骨なマネージャーの女? いやそれこそない気がする。
しかしこの女性がすごく気になった。
といっても、我々には、もして俺には高嶺の花である。
そろそろエンディングソングも終わりに近づいた。
ああ。
この女性はこの後どういう行動をとるのだろう、
Tobe continued3