スーパーでの買い物もいよいよ最終章に近づいていた。
あとはレジを済ませるだけ。
ふとそこで気づいたものがあった。
たしかもう酒はないはずだ。
浮かんだ酒を頭に並べた。洋酒、日本酒、焼酎それともビール。思い巡らせた。何にしよう。
酒を飲めば赤くなる。
酒の強くない僕にとって、酒はどういう位置づけにあるのだろう。
なくてもまったく問題ない。つまり酒は必要がない、はずだ。
だけど買おうとしている。
酒は嫌いか? と問えば好きである。
いわゆる酒雑魚である。
寂しさを紛らわせてくれる。一時的でも孤独感を和らげてくれる。気分が高揚し楽しくしてくれて腹の底から笑える。とにかく幸せな気分にさせてくれる。
毎日酒を飲む、そこまで好きでもない。
NHKのドキュメンタリー番組でドキュメント72時間という番組がある。これを観ていて、角打ちという言葉を知った。将棋好きの僕にとって興味ある言葉だった。
角打ち。酒屋の一角を立ち飲みスペースにして飲むことだったようだが、今は立ち飲み酒屋でひとり酒を楽しむことらしい。
ひとり酒か。……酒好きだったら、行ってるかも……。
この日は、白鶴大吟醸720mlを買った。
一週間に二回飲む。
熱燗にして。そのとき口ずさむのは♪熱燗とっくりのくびつまんで。もう一杯いかがなんて♪
これを飲みきるのは一カ月後。次の予定はもう決めてある。焼酎「佐藤」の黒720ml。