船を漕ぎ始めそうになった。
はっとして時計に目を移した。
さて、そろそろ寝支度を始めるか、と、奥の部屋に行った。
物置代わりになった二つの部屋の一つ。主のいないベッドに乗り、出窓のカーテンを閉めカギをかけた。
その降り際、隅っこが定位置になったオブジェに目がいった。それは、ずっとスルーしていたギターだった。
ふと懐かしく想い、その一つ、アコースティックギターの弦に親指を、一弦から六弦へとすべらせた。
♫ぼろ〜ん♪
透き通った音を奏でる、はずだった。
音は出た、確かに。
しかし、どこか錆びついた、くすんだ音だった。
そりゃそうだ。何年も使わず放置されていたギター。明瞭で澄んだ音を期待する方がおかしいか、と自虐的に心の中で苦笑した。
キミ、もしかして、ボクのmixi日記読んだのかい?
それで、あまりにも名文だったので、感動したと。
キミの場合は、錆びていてもいい。
まだ部屋に置いてあるものな。
ボクの場合は倉庫に眠っている。
あんなにお世話になったのにね。
ゆっくりギターでも弾いて歌いたいね。
声は出ないけどさ。
> 粒あんコッペ... への返信
そうか、そうか、
君も同じような日記を書いたのか。
それはそれは、奇遇の何物でもなかった、というわけだ。
あとで、君の日記に行ってみるよ。
ところでね、このギター、今後どのようにしたらいいか。悩みの種、、、、。
うちは、ギターに誰も興味を示さない。どのようにしたらいいのか。、処分がいいのか、、、、
ウ~ン
でも、ギターだと置いてあっても、良い飾りになるからいいんじゃないですか?
私は若いころフルートとピッコロを習ってたの。
それも結婚と同時にやめて、押し入れにしまってある。小さなものだから問題ないけど、でも最後はどうなるのか、、、。
捨てるのも、捨てられるのも、なんかね~。