ここは新宿歌舞伎町。
反対側から歩いてみようと、西武新宿線の新宿駅を職安通り方面の改札口から出た。職安。正確には職業安定所。懐かしい呼び名。今は職安でなくハローワークという。
行く手を阻むように大きな大久保病院がそびえたっていた。ここも建て替えてずいぶん時が経っているが、あまだまだ近代的だ。
歌舞伎町交番が見えた。以前は違う場所にあったが、ここに越してきて久しい。
そういえばアシベ会館は? 少し近づいて行った。
あれだ。ビルの一面に4階ビリヤードの文字が見えた。遠巻きに目を凝らした。
当時は、偉容を誇っていた建物も僕の目には異様に映るだけ。まるで廃墟の建物にしか見えない。古びた壁面に、文字なのか、模様なのか、絵なのか、ちょっと判断がつかない。文字が剥げ落ちたりしていて、解読するのも困難。……あ~? アルファベット。A・C・B。
ミラノ座も、完璧に姿を変えていた。
訳がわからないというか、斬新というか、格好いい建物に変貌はしていたが、一体何の建物なのかわからない。美術館? 博物館? しかし、いまさら映画館というわけでもないだろう。昔と違って商売にならないくらいの斜陽産業。
ラ-セーヌのビルが跡形もなくなくなっていて新しいビルを建築していた。
今から40数年前、ここは一応ジャズ喫茶のジャンルに含まれていた。というより、歌謡喫茶という方が似合っていた。
コマ劇場も新しく生まれ変わっているし、コマ通りの骨格は変わらないが店舗はずいぶん変わっている。
タイトルからして、アニキンの変貌と錯覚した人も多いのではないだろうか。これは特別奇をてらったものではない。すでに彼は変貌しまっている。だからあえてこのタイトルでの日記はありえないわけだ。それに髪の毛の再生もなくなってツルっ剥げになってしまっているようだ。