この駅に降りたったとき、どこか異様な変化に気付いた。何だろう、訝しく思っていると、すぐある老人のことが頭に浮かんだ。異変は、彼独特のすえた臭いだったのだ。そういえば最近会っていない。
9月25日14:45に店に入った。冷たい雨の降る金曜日の午後だった。
二、三年ぶりだろうか、ここに来たのは。山手教会の地下にある喫茶店。ここは昔、ジャンジャンというライブハウスだった。どこか、通が行くような店で名前だけは知っていたが、通を自認できない僕が行くことはなかった。
1969年にオープン、2000年にクローズ。
出演した人たちを見るとそうそうたる名前が並んでいる。吉田拓郎、井上陽水、ユーミン……などのミュージシャンや、東京乾電池、バナナマンなどの芸人、芝居の寺山修司など。
そこで妙なことに気づいた。アルファードの名前がなかったことだ。暫し固まり、束の間思考を巡らせる。……何故だ、……! おっと、これは冗談。「お呼びでない、こりゃまた失礼いたしました」^^となる。^^
今は、名前をミヤマと変え喫茶店として営業活動している。おそらく当時のままの構造だろう。そう思って眺めると、なぜかワクワクしてくる。あの辺がステージだったのか? と想像もしてみる。すると、生の彼らを見たことのない僕の前に彼らが現れ、ここで演奏をしてくれるような、……そんな錯覚を覚える。
これをみごとな変身というのだろうか……?
店内でパソコンを開けた。小一時間ほどしてふと思った。この店、儲かってるのかなー? いかんせん僕はウインナーコーヒー一杯で2時間近く粘っている。余計な心配か?
隣の席の距離も近く、話にノった人たちの会話音量が若干気になる程度。店の居心地が良いせいで、他の客も落ち着きはらって帰る気配がない。客の回転はお世辞にもいいとはいえない。「いらっしゃいませ」の声もほとんど聞こえてこない。ウインナーコーヒーは約600円。さすがに申し訳ないという良心がもたげる。ちょうど小腹も空いてきたのでバンズサンドとコーヒーのセットを頼んだ。
17:15に店を出た。地上で、妖怪ウォッチの大御所・老怪アニキンニャンを探した。臭いはすれど老怪だけあって姿が見えない。結局見つけることは叶わなかったのだ。ジャンジャン^^