テレビは、草津の本白根山の噴火した時の模様を、備え付けの山頂録画映像などで克明に流している。その時、あっ! と心の中でつぶやき、思い出がふつふつよみがえっていった。
我々は、ゴンドラのケージに楽器類を載せ一緒に山頂に登った。先に上がっていた関係者に手伝ってもらい、大急ぎで楽器等を下ろした。
ステージは、ゲレンデに出る階段部分に設えてある。そこにドラムやアンプ、マイクスタンドなどをセッティング。
周りからは奇異な視線が送られた。
そりゃそうだ。「アホか? こいつら」それがわかる。もし僕がスキーヤーだったら、そう思ってる!
でも、僕らは遊びじゃない。真剣な仕事だった。服装もスキーウエアじゃない。東京で格好良さだけを追求した、普段都会で着ているロングコート。タローはデロリンマンコート、アニキはサリーから貰ったというグレーの薄いコート。
端からどんな目で見られていようが、ウケようがウケまいが、淡々と仕事として演奏をした。これがプロだ、な~んちゃって!^^
手がかじかんで指が思うように動かない。ステージが終わると速攻で建物の中に戻り暖をとった。それを三回こなした。
かつてステージがあったその場所が映し出された。変わっていない。うれしくなった。
不謹慎か? 今それを語るか? とはいえ、思い出してしまったのだから仕方ない。
他方考えてみると、その時噴火しないでくれて良かった、ともいえる。
今があるのだから。
しかし、こんな間近に噴火口があったなんて!
そう思うと、ゾッとする。!^ ^;;