老いたマスターの経営するスナック「戸論戸」それから老夫婦二人の天ぷら屋「若竹」そしてレトロな雰囲気を醸し出す喫茶店「蚤の市」。
いずれもちょくちょく行く店だ。
ドライカレーが突然食べたくなった。今じゃそういう昔懐かしいものを出す店、めったにあるもんじゃない。そんな固定観念が僕の中に住みついていた。
そんなある日、目の前に燦然と現れた。いや、すでにあったのだ。今まで見るとはなしに見ていた。すでに風景の一部になっていて薄寂れた四階建てのビルの二階にその店はあった。まるで蜃気楼が不意に現われたかのようだ。勿論新しく開店したわけではない。店のメニューにはナポリタン、レタスチャーハンなど懐かしい食べ物が勢ぞろい。
ここのマスター、実に話しが好きで始まってしまうと止まらない。早稲田大学バスケット部で活躍していて卒業と同時に大学に残りそのままコーチ、監督を歴任、20年ほど前に辞めたという。卒業生には、有名企業の重役をやっているとか、お決まりの自慢話が始まる。時々店に来てくれるという。年齢は80代前半。
天ぷら「若竹」。ここは老夫婦2人が仲良くやっている。旦那は、銀座の天ぷら屋でしばらく修行した後、池袋に「若竹」をオープンし40年近くなるという。旦那は70代半ばの寡黙な人だったが奥さんはしゃべりだすと立て板に水。
この2軒が相次いで店を畳んだ。少なからず衝撃を受けた。
そういえばこんな話をしていた。
二人とも持病を抱えていた。マスターは心臓病、天ぷら屋の旦那は、忘れてしまったがあまり聞きなれない病。
仕事を続けているのは、生活のためと健康のため、それに辞めたら国民年金とわずかな貯金そして退職金もない。それが頼みの綱だという。どこまで本当かわからないが。
コロナ禍において、収入の道を閉ざさないよう頑張る姿に、なんというのか尊いというのか、何か心に沁みるものを感じていた。
近くにあった中華「福しん」も廃業した。このコロナ禍。訪れる人も少ない、感染も怖い。廃業もなんとなくわかる気がした。
レトロな雰囲気の喫茶店「蚤の市」のことか、、?うむ。これは次回話そう。といっても読む人がいるか?ま、これは独り言のブログだから、、、(笑)