映画館にまつわる四つの連作短編を集めたライトノベル。全く映画に興味のない主人公が、映画館を経営するうら若き映画狂の女性に引かれて、そこで働き始めるという設定。まるで『古書街キネマの案内人』↓(大泉貴)と“兄弟”のような感じがする。
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『古書街キネマの案内人』の舞台は東京の神保町、こちらは広島の尾道という違いはあるが、ヒロインに人の心を読む特殊能力を持たせ、彼女がその能力と推理力を使って映画館の周囲で起こる小事件を解決していくという筋立ても良く似ている。
登場する映画とその(テーマ)は、『ショーシャンクの空に』(無実の罪)、『プリティ・ウーマン』(身分違いの恋)、『シザーハンズ』(異人へのいじめ)、『ペイフォワード 可能の王国』(幼児虐待)。
軽く一気に読めてしまうところがこの手の本の真骨頂。若い人が古い映画や映画館への愛を表現してくれるのはうれしいが、せっかく尾道を舞台にしたのだから、それをもう少し生かしてほしかったと思うのは求め過ぎか。