田中雄二の「映画の王様」

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『花戦さ』

2017-06-06 17:08:38 | 新作映画を見てみた

史実を超えた自由な発想



 時は安土桃山時代。花僧の初代池坊専好が、前田利家邸で豊臣秀吉に披露したとされる「大砂物」の伝説を基に、京都の町衆でもある専好(野村萬斎)が、生け花で豊臣秀吉(市川猿之助)に物申すという新たな物語を創造した。織田信長(中井貴一)、千利休(佐藤浩市)、利家(佐々木蔵之介)、石田三成(吉田栄作)ら、多彩なキャストが脇を固める。

 父・三國連太郎が『利休』(89)で演じた役を、今回、佐藤が演じたことに時の流れを感じるが、この映画の監督は、佐藤が新境地を開拓した『起終点駅ターミナル』(15)の篠原哲雄だけに、今回の感情を抑えた利休像も、俳優・佐藤浩市にとっては大きな役になったのでは…と感じた。

 脚本は大河ドラマ「おんな城主 直虎」の森下佳子。その史実を超えた自由な発想、あるいは、狂言(萬斎)対歌舞伎(猿之助)のいささか大げさな演技合戦を、楽しめるか否かが、この映画に対する評価の分かれ目となるだろう。

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