『ベスト・キッド2』(1986.10.21.日本劇場)
この映画のような続編物は、製作側が前作のヒットを受けて柳の下の二匹目のドジョウを狙った物が多く、得てして前作よりも出来が悪いし、下手をすると前作のイメージを壊してしまう物すらある。
それが分かっていながら見てしまうのは、どこかの作家先生の本の題名にもあったが、ひとえに“ラストシーンの後の夢追い”(余韻に浸って登場人物たちのその後に思いをはせてしまうこと)に他ならない。
この映画の場合も、前作は『ロッキー』(77)の小型版というイメージを抱かせながらも、ハリウッド映画としては珍しく、日本人(ノリユキ・パット・モリタが演じるミヤギさん)がまともな人格を持った人物として登場し、孤独なアメリカ人の少年ダニエル(ラルフ・マッチオ)が、ミヤギさんとの心のふれあいの中から成長していくというテーマが爽やかに描かれていた。
それが同じ日本人としては喜ばしくもあり、誇りを持って見られるような映画だ、と好感を持つことができたのだ。それ故、その後の二人の動静を描いたこの映画も気持ち良く見られるだろう、と思ったのが大間違い。
今回は舞台を沖縄に移しているのだが、まるで日本のB級映画のようなストーリーと、アメリカ人の目から見たエキゾチックな沖縄の風俗、習慣の描写が多く、見ていて情けなくなってしまうほどだった。前作では日本人をきちんと描いていたのに…。やはりいまも日本のイメージはゲイシャ、フジヤマの世界に過ぎないのだろうか。
この映画のラストを見ていると、どうやら3が作られる可能性も高そうだが、何とか最初の“心”に戻ってほしい。あの『ロッキー』が撮れたアビルドセンならできるはずだと思うのだが。
【今の一言】30年前か。この映画を見たマリオンの日本劇場もなくなるのだとか…。