こんなところにシェーンが!
2000年に始まった『X-メン』シリーズの第9作。シリーズを支えたウルヴァリン=ローガン(ヒュー・ジャックマン)の“最後の戦い”を描く。
時は2029年。老いたミュータントのローガンとチャールズ(パトリック・スチュワート)の前に、謎の少女ローラ(ダフネ・キーン)が現れる。ローラの命を狙う武装集団から逃れるため、ウルヴァリンは衰えた体に鞭打って戦いを繰り広げるが…。
先年、西部劇『3時10分、決断のとき』(07)を撮ったジェームズ・マンゴールドは、今回も激しいアクションの根底に、3人の逃避行という西部劇的な要素を盛り込んでいる。その点では「車を使った西部劇」とも言われた『マッドマックス 怒りのデスロード』(15)と通じるところもある。
だが、『マッドマックス~』が終始ドライなタッチで押し切ったのに比して、この映画は『シェーン』(53)を引用することで、ローガンの孤独や、ローラとの心の絆などを浮き立たせ、見る者のウエットな感覚を刺激する。
だから、もし『シェーン』の引用がなかったら、この映画のラストシーンへの感慨は全く違ったものになっただろうと思うのだ。意外な形とはいえ、こうして西部劇の魂が受け継がれていくのはうれしい限りだ。