小野田寛郎元陸軍少尉を描いた『ONODA 一万夜を越えて』を見た際に気になった、小野田の発見者となった鈴木紀夫を描いたNHK制作のドラマ&ドキュメント「小野田さんと、雪男を探した男~鈴木紀夫の冒険と死」(18)を見てみた。
冒険家を目指した鈴木紀夫(青木崇高)は、小野田発見の後、ヒマラヤで雪男発見に没頭し、雪崩に遭い、妻子を残して37歳で生涯を閉じる。考えようによっては、どうしょうもない男なのに、小野田(塚本晋也)はもちろん、妻(山田真歩)や母(もたいまさこ)をはじめ、家族や友人たちから愛され続けた不思議な魅力の持ち主。
もちろん、このドラマがその魅力の全てが描いたわけではなかろうが、このドラマでの青木、他のドラマでの堺雅人、『ONODA 一万夜を越えて』での仲野太賀と、鈴木を演じた俳優を並べてみると、何となく彼のイメージが湧いてくる気もする。
自分と同い年の作家・島田雅彦が、当時「非常に軍人らしい表情をした小野田さんの脇で、にやけてる若者っていう。ぽっと出てきた、どこの馬の骨って言ったら失礼だけど、そういう人が(小野田を)見つけちゃって、やるなあという感じがした。70年代のあの混乱の中で正しくやっていこうと思う人ならではの、非常に面白い人」と語っていたが、まさに自分も同じような印象を受けたものだった。
このドラマは、時代を表すために、ビートルズをはじめ、当時のロックやポップスをBGMとして大量に使っているが、これはあまりにも安易かつ逆効果。耳障りで、せっかくのドラマに集中できなかった。ディレクターの趣味だったのだろうか…。
『ONODA 一万夜を越えて』
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