田中雄二の「映画の王様」

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「午後のロードショー」『メジャーリーグ』

2022-03-08 10:46:09 | ブラウン管の映画館

『メジャーリーグ』 (89)(1989.6.29.丸の内ルーブル

 一言で言えば、単純でたわいもないストーリーであり、しかもストレート主体だから結末もすぐに予想がつく。それに、この映画を見たからといって、特に人生に影響があるわけでもない。けれども、この映画を見てまず思ったのは、うやらましさ以外の何物でもなかった。

 例えば、自分が肩入れする弱小球団を、せめて映画の中だけでも優勝させてやりたいと思ったとする。日本で言えば、横浜大洋ホエールズなどがいい例だろう。

 その、長年優勝から見放された大洋が、憎き読売ジャイアンツを相手に、優勝を賭けた一戦を行う…なんてことは、大洋ファンなら夢に抱く光景であろう。だが、果たして日本でこれが映画になるだろうか。たとえ、選手のキャラクターが架空のものであったとしても、大洋も巨人も、名前やユニフォームや球場を、映画の道具としては使わせないに違いない。

 それに比べて、この映画ときたら、弱小チームと化したインディアンスと仇敵ヤンキースが実際に登場し、映画の中で、とはいえ、見事にファンの夢を実現させているのだ。

 加えて、管理野球なんて言葉が存在しない、個性豊かな選手たちが体現する野球本来の面白さが見られる。中でも、ウィリー・メイズ・ヘイズ(ウェズリー・スナイプス)が傑作だ。

 演じる俳優たちの見事なプレーぶり、それに応える観客=エキストラの楽しみ方…。これこそが、タイトル通りのメジャーリーグの魅力なのである。残念ながら、日本の野球も映画もこうはいかない。

 ところで、この映画は、野球を扱いながら、その副産物として、最近、女にやり込められて立場が弱い男たちの復讐劇として見ても面白い。これだけは、日本もアメリカも変わらないようである。

【今の一言】横浜大洋ホエールズが横浜ベイスターズとなり、38年ぶりに優勝したのは、この映画の公開から約10年後の1998年のことだった。

実際のインディアンスも強豪チームに!
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/e61e97a102e17c6b99617bc60abfdb36

「映画で見る野球 その2」『メジャーリーグ』ほか
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/80952a2821739214c4c86f2aec76f65d

 

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